うみキリン

うみキリン 表紙

海にこんな大きなキリンがいたら…!?想像力をかきたてられます!海が好きな子にピッタリ!もし〜がいたら…そんな想像が好きな子にも読んでほしい1冊です。

☆3つのおすすめポイント

  1. うみキリンは、海に住んでいるキリン。海にキリン!?びっくりしたそこのあなた、うみキリンは海で人気者なんですよ。
  2. 青い海に黄色いキリン、インパクト絶大です。海に泳ぐ魚たちの華やかさも、目で楽しませてくれます。
  3. 真っ青な海、ぷかぷか雲が浮かんでいる空。大海原の描写や、キリンに近づいたところなど、遠近両方の視点に魅せられます。

☆あらすじ

広い海に、キリンが住んでいます。その名も「うみキリン」。

ちょっと不思議だけれど、海の仲間はみ〜んな知っています。

爽やかな空と海をバックに、気持ちよさそうに飛ぶ渡り鳥が1羽。その渡り鳥が、寂しいときに会うとほっとする、大好きなお友達。それが、うみキリン。

渡り鳥があと30羽くらい乗れそうな、とっても大きい顔!その横顔は、クジラと同じ大きさです。太い眉にパッチリした瞳。まつげも生えて、眼力があります。それに、たくさん空気を吸い込めそうな大きな大きな鼻の穴。渡り鳥も吸い込まれていきそうな大きさです。。

うみキリンは深い海に住んでいますが、泳ぎません。頭だけ海の上に出して、体は海の中。身長がなんと1万メートルあるので、海底に足がつきます!高さでいうと富士山の3倍くらいです。富士山もひょいとまたいでしまいそうな足の長さです。

そして、うみキリンはお母さんです。子どものうみキリンは小さく、顔も渡り鳥の体より小さいので、浅いところでしか生活できません。

お母さんの長い首が、ご飯をあげるときにも大活躍です。

また、大きい大きいうみキリンは、海藻や海に浮かんでいるものを大きな口でどんどん飲み込んでいきますので、うみキリンが歩いたあとは海がとてもきれいです。そしてうみキリンは、魚にも鳥にもとても大切な存在です。

海を眺めていたら、いつかうみキリンに会えるかもしれません。

☆際立った特徴

海にドーン!と佇むうみキリン。大海原に堂々と存在しています。

青い海に白い雲。そして、黄色のキリン。黄色が海の青色にパキッと目立ち、差し色のようです。頭には可愛い1輪の花が咲いています。

クジラやサメ、色とりどりの魚たちも青い海の中で、にぎやかに泳いでいます。どのページも夏の一場面のようで、海に思い切り飛び込んでみたくなるような爽やかさです。

うみキリンの愛嬌のある正面からの表情や横顔、海の中での動きが、見れば見るほど気になっていきます。

うみキリンは本当にいるのでしょうか。

海で、よ〜く見ると、もしかしたら……。想像力が掻き立てられる作品です。

☆書店員のレビュー

●うみキリンは、海に住んでいるキリン。海の人気者です!

うみに住んでいるキリン、それが「うみキリン」です。

海にキリンが住んでいるなんて、ちょっとへん、かもしれませんが、海の人気者です。海の渡り鳥も安心する存在で、うみキリンの上でしばらく一休みしています。

うみキリンの頭には、ピンクの1輪の花が咲いています。海上に植物が咲くのは島など陸がない限りは見られないので、鳥たちの癒やされポイントかもしれません。

うみキリンはお母さんでもあります。うみキリンの子どもは、渡り鳥の体より小さい頭、まわりの魚より小さい体、浅いところまでしか行けないほどの身長ですが、お母さんの長〜い首で餌を運んでもらえるので安心です。海藻を美味しそうに、あーん!

お母さんに温かく愛されて、1万メートルまでどんどん大きくなっていくようです。

そして、うみキリンのまわりには、海の生き物たちや鳥たちが集まってきます。

色とりどりの生き物に囲まれて、広い海でも楽しそうです。

魚がうみキリンの首や体にすみかを作って過ごしているので、「海のお母さん」のような存在でもあります。

また、うみキリンは大きな口で海に浮かんでいるものをなんでも飲み込むので、うみキリンが歩いたあとは海が綺麗になっています。

海の貴重なお掃除屋さんでもありますね。うみキリン、とても有り難い、体以上に大きな存在です。

そして、うみキリンはその大きな体から大きな声も発します。まるで風のように、ゴーッと地球の裏まで届くような声。

私は北陸の育ちですので、冬の夜中に二重窓でも室内までゴーッと轟く、日本海の音を思い出しました。あの音が、実はうみキリンの声だとしたら…なんだか安心して、気にならず眠れそうです。

また、海の大しけ。大波もうみキリンの大きな話し声で起こっているそうです。なるほど!波が立つほどの声、ものすごい威力ですね。

あなたも大きな海をじっと見ていたら、遠くに船が見えることがあるでしょう。

よ〜く見てみてください。煙突の上が丸くなっていたら…。もしかしたら、うみキリンかもしれませんよ。

●青い海に黄色いキリン、インパクト絶大です。海に泳ぐ魚たちの華やかさも、目で楽しませてくれます。

青い空にぷかぷか浮かぶ無数の雲、そして青い大海原。左右につながるページ1面に、雄大な海が広がっている絵はインパクト大です。この絵を初めて見た息子は、「(裏声で)うわ〜!!おっきい海〜!ぽっちゃ〜ん!」と、大興奮でした。

それくらい大きく広がった海。絵本の中で、広い海の上をスカイダイビングしているような、鳥になって渡り鳥と一緒に飛んでいるような気分にもなりました。

黄色のうみキリン。青い海との対比がハッキリしていて、お互いの色を良く引き出しているようです。オレンジのツノの間にピンクの花が1輪咲いているのが、かわいいワンポイントです。体の模様はアクアマリンで、黄色の体によく映えています。

また、海の色はサックスブルー、セルリアンブルー、藤色のような3色が使われていて、空の水色と区別し、爽やかさを増しています。大波が立つシーンでは、他のブルー色が増えているので、大波で海の雰囲気がガラッと変わっている描写も強く伝わってきます。やはり海の青なので、マリン系の色が多く使われているようです。雲の白も引き立ち、夏の空が思い出されます。

海の生き物たちも、サンマやアジのような色の魚からオレンジ色、薄いピンク、黄緑色が入った魚もいて、青い海に生き生きと泳いでいるようです。

ページ全体から、海のどこまでも続くような広さや、うみキリンとの楽しそうな生活が感じられます。

●真っ青な海、ぷかぷか雲が浮かんでいる空。大海原の描写や、キリンに近づいたところなど、遠近両方の視点に魅せられます。

絵の縁が黒いクレヨンで描かれ、その中にペタッと色がつけられています。

白い雲は下部分に少し影のように線が描かれ、立体感が表されています。大、中、小の3種類ほどの大きさの雲が空に並んでいて、海と空が全面に描かれているページでは、手前が大きい雲、奥に行くほど小さくなっていく雲とで遠近感が出され、斜めに描かれた水平線と組み合わさり、大海原が目の前に広がっている壮大さを感じます。

波は黒いクレヨンでくるくると描いた線で表されていますが、そのくるくるの大きさで海との距離感が違って見えます。5㎜くらいの小さいものが密集してたくさん描かれているときは少し遠い位置から、1㎝ほどに大きくなって感覚が空いて描かれているときは近くから見ているように見えます。

また、うみキリンの全身がページいっぱいに描かれている場面があるのですが、ページいっぱいに斜めの向きでびよーんとなが〜く描かれていて、うみキリンの1万メートルの身長が描かれています。端から端まで描かれていて、子どもも「なが〜いね!なが〜い!!」と、キリンの姿を上から下までなぞりながら楽しんでいて、何度見てもインパクトがあります。

また、うみキリンが大きな口で海藻を飲み込んでいく場面では、遠くにある入道雲がちょうど口の位置にあり、雲まで大きく飲み込んでいるような迫力感があります。

うみキリンがページ1面に描かれ、鳥たちが休んでいるようすも、うみキリンの穏やかで温かいようすが伝わってきます。

しかし、穏やかなようすとはうって変わって、大きな声を出すこともあるうみキリン。

大きなキリンの口から出る大声が、クレヨンのぐるぐるとしたなが〜い線で表されています。細い線と太い線とが混ざりあったぐるぐるの線から、大きいだけじゃなく、いろんな声を発しているような感じがして、うみキリンの声を聞いてみたくなりました。どんな声かな?と想像したくなります。絵からは、高いのか、低いのか、透き通った声なのか、ハスキーボイスだったりして…いろんな想像が膨らみます。

そして、その地球の裏まで届くような大きい声で高い波も起こします。高く荒れた波が大きな白波で埋め尽くされた海。大しけの海です。どこまでも続く海に、こんな大きな波をたてられる声って、本当に轟くような声なのだろうな…と思いました。

海に浮かんでいる船。海の上にあるから船だろう、まさか、「あれはキリンだ!」とはなかなか考えつきませんね。

大人が忘れかけているファンタジー感を思い出させてくれるように思いました。

子どもたちのファンタジーの世界、無限の想像力に強く働きかけるうみキリン。

うみキリン以外にも、いろんな場所で、思いがけない生き物に出会えるかもしれません。そんな目線でまわりを見たら、世界が変わって見えてくるかもしれない、と、この絵本を通して感じました。

うみキリン 裏表紙

にむさん
  • にむさん
  • 現在8歳と3歳の男児の育児に奮闘中です。
    兄が弟に絵本の読み聞かせをしてくれることもあり、そこから学ぶことも多い日々です。
    短大で介護の勉強をし、介護福祉士を持っています。