おさるのれっしゃ

おさるのれっしゃ 表紙

うっきうきうき!おさるの車掌の列車が出発するよ!キップはバナナだよ〜!動物・列車好きな子にピッタリ。

☆3つのおすすめポイント

  1. 元気な動物たちが列車に乗っています。車掌はおさるです!キップはバナナですよ、ご準備ください。
  2. 動物園さながら、36種類もの動物たちが登場。動物たちの個性がキラリと光るお話です!
  3. 色鉛筆で見事な濃淡。動物たちの毛並み、食べ物、草花も一つ一つ細かい部分まで、隅々まで描き込まれています!

☆あらすじ

おさるの列車が出発します!キップはバナナです。みなさん、準備はいいですか?

1号車のお客は、白、黒、白、黒、白黒… の、クマですね。みんなしっかりバナナを持っています。バナナ5本、いただきました。

2号車はツノが特徴の動物たち。鹿、ヤギ、トナカイ、その後ろはムフロンでしょうか。そしてその上には、さらにツノを持つ「昆虫」が。よく見ると4頭、1匹ですね。ここでもキップ5本です。

3号車のお客は、1頭で客車1台きっつきつ。ゾウです。1本、まいどあり〜!

4号車のお客は、団体割引のアリたちです。小さく、たくさんいるので1本でオッケー。

5号車はなんと美味しそうな食堂車です。バナナがメインのメニューがたくさん!4頭のブタが美味しそうに頬張っています。

雨が降ってきましたが、6号車のお客は大はしゃぎ。3頭のカバです。3本回収〜。

7号車のお客はばっさばっさ、少し雨宿りをしていた鳥たち。キップなんか持ってないし、乗りませ〜ん、と、虹に沿って飛んでいってしまいました。

そうこうしているうちに、目の前にはトンネルが近づいてきました。

しかし!8号車には首のなが〜いキリンが!トンネルにぶつからないかな…びくびく!2本いただきます!

9号車のお客は夜行性の方々。暗いトンネルに入り、本能が叫びます。おさるも思わず耳を塞ぎます。ライオン、ひょう、トラ。すごい声がトンネル中に響きます。けれど、キップはしっかりいただきましたよ。3本、ありがとうございます!

トンネルを抜けると、そろそろ終点で〜す。ご乗車ありがとうございました。

動物たちは客車を降り、森の中へと帰っていきます。

おさるの列車は一時休憩。その間に、次の列車が通ります。次の車掌はだれでしょう?

キップをしっかり持ってご乗車くださいね!

☆際立った特徴

おさるの列車にはいろんな動物が乗車しています。クマから始まり、ツノのある動物、ゾウ、アリ、ブタ、カバ、鳥、キリン、ライオン、ヒョウ、トラ…。

列車に乗っているだけですが、それぞれの個性がキラリと光っています。

車掌のおさるも動物ごとにそれぞれ対応し、一生懸命仕事をしています。

絵はすべて色鉛筆で描かれ、余白なく隅々までしっかり塗られています。動物の肌、毛並み、草花、空、虹など、素材感が感じられます。大きいところも小さく細かいところも、丁寧な重ね塗りで深みを感じられます。

そして、トンネルに入るシーンや、動物が森へ帰っていくシーンなど、絵全体に立体感と奥行きがあります。

楽しいお話と、実際に動物を見ているようなリアル感や迫力感、車掌のおさるの可愛らしさが感じられる絵本です。

☆書店員の感想

●元気な動物たちが列車に乗っています。車掌はおさるです!キップはバナナですよ、お忘れなく〜!

おさるが5匹で列車の運行を行います。

周囲の安全確認をして旗をあげるおさる、列車を動かすおさる、キップを回収する役のおさる、食堂車担当のおさる。うまく役割分担されています。

表紙のおさるの旗は赤、きっと止まれですね。絵本の中では緑。いよいよ出発です。指差し確認もオッケー!

おさるが車掌の列車、なんだか楽しそうです。

キップがバナナというのも、おさるが一番喜びそうなものですね。

クマのところでは、「まいど〜!」といったようすで帽子をあげている姿。ツノがある動物のところではバナナをツノに見立てて真似をしています。ゾウの鼻に乗せてもらったり、食堂車のごちそうを指をくわえて見ている姿もあり、可愛らしいです。

鳥がばっさばっさ、わたしたちお客じゃないわよ!と言わんばかりのシーンでは、ビックリ慌てるおさる。こんなお客さんと車掌さんのやりとり、実際にもありそうです。(笑)

どの動物にも一生懸命で、動物ごとに合わせた対応をしているおさる。臨機応変で、世渡り上手にも感じました。熱心に仕事をしているようすが愛らしい。

●動物園さながら、36種類もの動物たちが登場。動物たちの個性がキラリと光ります!

つぎつぎといろんな動物が出てきます。

まず出てきたクマ。数え方が「白、黒、白、黒、白黒!」。うしろに乗っている白黒クマ。パンダですね。強そうなクマたちのうしろに、ちょこんと癒やし系キャラです。クマは、白も黒も白黒パンダも同じクマですが、顔つきが違い、輪郭や瞳、毛並みまで書き分けられています。よく見ると爪も違いますよ。

ツノのある動物では、鹿、ヤギ、トナカイ、ムフロン…。ツノの上にちょこんと乗っているカブトムシもいいですね。立派なツノでバナナをしっかり持ち、力持ちです。

そのつぎにはゾウ。迫力がなんとも言えません。2ページには収まりきらない体。客車からもはみ出てしまっていて、巨大さを物語っています。

その後ろにはアリ。バナナを1本、7匹で協力して持っています。なかなかの力持ちですね。ゾウからの大小のギャップが、ますますアリの小ささを表現しています。

その次には食堂車で、美味しそうにバナナのごちそうを食べるブタ2組。こんな美味しい列車なら最高ですね!バナナづくしで、バナナカレー、バナナバーガー、バナナピザ、バナナオムレツ…。一体、どんな味なのでしょう!?バナナのホットケーキやチョコレートケーキのデザートも用意されています。

ブタたちの、おいしそうにほおばる顔を見ていると、こちらまで食べたくなってきます。

そのうちにだんだんと、雲行きが怪しくなってきました… 雨です。

雨で喜ぶサイたち。サイが通過するすぐそばでは、ワニやカエルも雨に喜んでいるようで、みんな大きな口を開けています。屋根はなくともへっちゃらですね。カバの立派な歯が大きく立体的で、雨にも口の大きさにも負けず目立っています。

雨が晴れてきたら、隣の客車にいた鳥たちは雨宿りが済んだようす。鳥たちは飛べるから、列車に乗らなくても大丈夫ですね。白い鳥や、青いインコ、くちばしが黄色でなが〜い鳥、鳩や雀もいます。11羽の鳥たちに一気にまくし立てられビックリするおさる。がんばって!そして気をつけて!と声をかけたくなりました。

もうすぐトンネルです。

トンネル手前で、列車のほぼ全体が描かれています。1号車から順に動物たちが乗っているのがよく分かります。ブタはデザートにドーナツを食べているようで、ゾウは長い鼻を伸ばして、もらおうとしています。ほのぼのといいですね。ゾウが次の列車に思いっきりはみ出ています。でもゾウの次はアリがお客さんなので、はみ出しても大丈夫。

虹もかかって、いよいよトンネルに入ります。トンネルに入るのって、なんとなくワクワクドキドキしますね。

しかしここではおさるはひやひやです!なんてったって、キリンの首がトンネル入り口に当たりそうなんですから。首を下げてー!!っとおさるはキリンに必死に声をかけています。

キリンは、おさるの必死な叫びを知ってか知らずか、冷静でなんとなくお上品です。出している舌は本物のような色と質感で、動物園で見たのを思い出しました。

そしてトンネルの中で、おさるが過敏に反応したのは、夜行性の肉食動物たち。ライオン、ヒョウ、トラの全力の雄叫びです。「ひゃらごぉぉん!ぎゃらごぉぉん!」と大騒ぎ。凄まじい形相で叫んでいるライオンたちを見ているだけで、ライオンやトラの大きな雄叫びが耳元で響いてくるような気になってきます。

おさるのヘッドライトが正面から当たるライオンの顔をあんな目の前で見たら、迫力満点だろうなと思いました。横顔の描写だけでも百獣の王の風格がひしひしと伝わってきます。コウモリやクモも、不気味さを物語っていて、吠えている顔、険しく鋭い眼力も力強く描かれています。

しかし、トンネルから出ると猛獣たちもすぐにおとなしくなり、拍子抜けしたような表情がなんだか可愛く思いました。

終点に到着し、森へ帰る動物たち。次の列車の車掌は「コグマ」です。列車の先頭には、キップの「りんご」がしっかりと描かれています。次はどこへ向かうのでしょうか。

見送るおさる車掌の、バランスの良いおさるピラミッドも愛嬌たっぷり。両手にバナナで「いってらっしゃ〜い、気をつけて!」と手を振ります。

●色鉛筆で見事な濃淡。絵には余白がなく、隅々まで描き込まれています!

絵はすべて色鉛筆で描かれています。

本を開いて裏返すと、表紙と裏表紙がつながっていてひとつの絵になっているのですが、ここでも隙間なく全面色鉛筆で塗り込まれています。

おさるの毛並みの、長めでちょっとしっとりしていそうなようす、黄色で可愛い列車は陰影をつけて立体感があり、列車の蒸気もふわ〜っと本物のようです。列車は立体感もそうですが、レールの艶も色鉛筆の濃淡でうまく表現されています。絵の具で描かれたのかな?と思うほどです。

おさるの指1本1本、胸にかけているホイッスルやキップ入れの小物まで細かく丁寧に描かれています。おさるの集めたバナナの中に1本だけ熟したバナナがあります。だれにもらったバナナでしょうか。探してみてください。

ツノのある生き物たちも、ツノはツノでも、ツルッとしたもの、凹凸があるもの、ゴツゴツして強そうなツノ。ムフロンのツノはくるっと巻いていて、上部分と下部分が違う模様になっています。上は幅のある割と均一な縞模様、下は細かい線状になっていて、触った感触も違いそうです。どうやって色鉛筆で重ねて塗ったのかじっと観察したくなります。

ゾウの迫力ある大きさと触れてみたいような肌の滑らかさ。鼻や顔のシワ、それでいて優しい目元も、シワ1本1本まで塗り分けられています。

ブタの美味しそうなバナナ料理のバナナの本物のような断面と、ちょうど食べごろのような熟した様子、鳥たちの色とりどりの羽、光沢のあるくちばしも、重ね塗りすることで浮かび上がっているような立体感を感じられます。

雨上がりにかかった虹は、鮮やかで、地面やトンネルとの重なる部分は本物のようにぼやかされています。列車を見送るプレーリードッグたち、近くを流れる水のようすも清らかで、川べりの石も艷やか。色鉛筆使いが素晴らしいです。著者の牛窪良太さんは「色鉛筆はカッターでコリコリと削る派」だそうですので、削るときから丁寧な仕事をされているように感じました。

トンネルの中では、ライオンの毛並みがなびき、おさるのヘッドライトが暗闇に光るようすも鮮明に描かれていて、一緒に暗闇に入っているような気分になります。

トンネルを出ると景色はパッと黄色に変化し、違う世界に引き込まれるようです。黄色い空に、黄色い花たち。おさるの大好きなバナナのようです。黄色でしっかりと塗り込まれた世界。本当に別世界のようです。木や草、花などの風景も一つ一つ細かくしっかりと描かれ、動物たちの過ごす風景が絵本のページ以上に広がっていくような想像が膨らみました。

どのページを見ても隅々まで丁寧に塗られ、見ても見ても見飽きません。個性豊かな動物の乗客たちが、なんだか人間世界と重なって見えてくる気もして興味深いと思いました。

いろんな動物たちに出会えるおさる列車、ぜひ一度ご乗車ください!

おさるのれっしゃ 裏表紙
にむさん
  • にむさん
  • 現在8歳と3歳の男児の育児に奮闘中です。
    兄が弟に絵本の読み聞かせをしてくれることもあり、そこから学ぶことも多い日々です。
    短大で介護の勉強をし、介護福祉士を持っています。