おさんぽ おさんぽ
雨上がりの散歩って、こんなにステキ。長靴と一緒に、ワクワク雨さんぽに行きましょう!
☆3つのおすすめポイント
- 雨上がりのお散歩。子どもの足元に注目して描かれています。
- 長靴を履いてウキウキ・ワクワク。そんな気持ちが伝わってきます。
- 雨上がりのぬかるみ、艷やかな葉っぱ。雨の季節の元気な生き物たち…雨上がりの様子が、細かい色彩のタッチで表現されています。
☆あらすじ
青い長靴を履いた子どもが、雨上がりの道をお散歩しています。だんごむしさんもお散歩。ありさんもお散歩。雨に濡れた葉っぱに、楽しそうにお散歩するカタツムリやカエルの姿も。
お散歩をする子どもの足元の部分に視点を絞って描かれていますが、足がいろんな方向を向いて、キョロキョロ興味津々です。
まだまだ進んでいくと…。バシャッ!楽しいあの水の感覚!もう入らずにはいられません!
一度入ると、もう止まりません。バシャバシャバシャ!長靴が濡れてもお構いなし!えーい、もう裸足になっちゃえ!
思い切り楽しんじゃいましょう。
☆際立った特徴
長靴を履いた子どもの足元にズームして描かれた絵で、子どものお散歩が表現されています。子どもの手足のムッチリ感がなんともたまらなく可愛いです。
長靴のゴムのツヤ感、だんごむしやあり、かたつむりなどの生き物の細かな色彩のリアル感、長靴がどんどん汚れていく様子。水の跳ねるようすもだんだん強く大きくなっていき、水しぶきの勢いが感じられます。すぐそこにあるような、すぐそこではしゃぎ遊んでいるような、子どもの好奇心がひしひしと伝わってきます。
雨や、雨上がりの憂鬱をパッと晴れやかにしてくれるような子供らしさ全開の絵本です。
また、絵本は角が丸く、ボードブックなので、丈夫でめくりやすいです。
☆書店員の感想
●雨上がりのおさんぽ。子どものウキウキした足元に注目です。
表紙には、ピカピカおろしたてのような青い長靴を履いた子どもの足。
さぁ、いまから雨上がりのお散歩に行くぞ!冒険に出発だ!といわんばかりに、長靴がツヤツヤしていて、子どもも長靴も嬉しそうです。長靴も、一緒にお散歩に行こうよ、と誘っているようです。
しかし、表紙とは相反して裏表紙の長靴は泥だらけ。
こんなに汚れた長靴を見たら、「こんなに汚して〜!」とつい言ってしまいそうですが、思い切り遊んで満足した子どもの表情も同時に浮かんできます。長靴もこんなふうになるまで一緒に遊んでもらえたら本望ですね。大人になってから、雨上がりに思い切り遊ぶ… なかなかできませんよね。(笑)
絵本は表紙から最後のページまで、子どもの足元に視点を置いて描かれています。
長靴を履いた足があちこちキョロキョロ。アリに気づいて踏まないようにどうしよう、ちょっと内股になって頑張ってよけています。
歩いていくと、あっちにもこっちにも虫のお友達がいっぱい!不思議と足がウキウキ上がります。水たまりを見つけて恐る恐るバシャ…
楽しい感覚!!もっとバシャバシャしよう!裸足でも入ってみたい!もう止まらない〜楽しすぎる!どんどん水しぶきが上がります。
満足したあとは、びしゃびしゃの長靴と一緒にまたお散歩の続きです。今度はどんな出会いがあるかな…?
子どもの表情はひとつとして出てこないのですが、足元の描写だけで、子どもの好奇心いっぱいのキラキラとした表情が自然と浮かんでくるので不思議です。
また、子どもだけでなく長靴も、土を踏んで、いろんな生き物に会い、水たまりで水浸しになって、その雨上がりの楽しみを一緒に楽しんでいるように感じました。びしょびしょの泥だらけになっても、なんだか長靴も嬉しそうです。お互い、いい相棒ですね。
ピカピカの長靴から、どろんこの長靴になるまでの子供と長靴のワクワク雨散歩の過程が、しっとり生き生きと描かれています。
●雨に濡れた植物や地面、生き物たち、水のしぶき… それぞれの表す質感が細かく表現され、ワクワク感が溢れ出します。
あじさいが雨露に映えるキレイな色で咲いています。かたつむりも雨のシャワーが気持ちよかった、といったようすで葉っぱの上でのんびり過ごしています。カエルも元気よく飛び跳ねました。雨に濡れて艷やかな葉っぱや、しっとりとした地面、そこを歩くたびに汚れていく長靴。長靴のゴムの素材感や、子どもの足のむっちり感、石のゴツゴツ硬そうな質感に雨に濡れて湿っているようす、子どもの足元の影や葉っぱの陰影も絵の具で細かく表現されています。
葉っぱの上にいるかたつむりは2匹とも動いているようで、手に取れるような、けれど触ってみるのがちょっとドキドキしてしまうようなそんな立体感です。葉っぱからぴょーんと飛び出すかえるの元気なジャンプも、本物さながらです。
子どもが水たまりにそーっと入ったときの水の動き。楽しさを感じてどんどんばしゃばしゃ、しぶきがどんどん大きくなります。長靴も片方脱いで、ついには裸足になってしまいました。水しぶきがどんどん激しくなっていき、その勢いも伝わってきます。本物の水のような描写に、こっちが濡れてしまいそうな感覚になりました。先のことを考えず、たまには思い切りはしゃいでみたい気持ちになりました。
汚れや、濡れてしまうことを気にせず、水たまりや泥の感触を純粋に感じて楽しめるのは、子どもの特権ですね。雨上がりでもこんなに楽しめるよ、雨で濡れた自然も素敵だよ、長靴とお友達になって一緒に楽しもうという声が聞こえてくる気がしました。