おたすけこびとのまいごさがし
今日の依頼は迷子の子猫探し。必ず見つけますから!と小人が活躍します。乗り物好き、冒険好きの子にピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- 絵だけでもストーリーが理解でき、各ページの短い文章から、さらに物語の背景が想像できます。字が読めない小さな子でも、絵だけで楽しめ、読み聞かせでさらに想像が広がる、細かく計算されている作品です。
- 100人以上の小人たちが、迷子の子猫を探します。見つけた子猫はなんと側溝の中。水に濡れた体で怯えています。子猫大丈夫かな?そして小人たちはどうやって助けるのかな?!
- 助けた子猫をさらに看病します。無事に元気を取り戻すのか?依頼主の子猫の飼い主のおばあちゃんのお家まで帰れるのか!?
☆あらすじ
電話が鳴りました。公園の横のおばあちゃんの住む家からです。「はい、必ず見つけてきます!」特徴を聞いて、小人たちがさっそく準備。必要な物を細かくチェックして、「さあ、仕事だ!!」ショベルカーやブルドーザー・トラックにはミルクのタンクも乗せて。タオルや毛布も忘れずに。迷子を探しにでかけます。
まずはおばあちゃんの家。植木鉢の下もクレーン車で持ち上げて確認、ショベルカーの上に乗って遠い場所まで探します。しかし見つかりません。
隣の公園かな?ぺリコプターも出動!空から捜索開始です。「あっちかな?」「こっちかな?」草も掻きわけて昆虫にも出会いながら迷子探しは続きます。
その時です!「あっ!見つけた!!」そこは側溝の中です。小さな小さな子猫が側溝から出ることが出来ずに助けを求めて鳴いていました。迷子は子猫だったのです。
人間の子どもの小指程の大きさしかない小人たち。側溝の中は大変危険です。
植木鉢にあった名札で水を塞き止め、はしごを下に下ろし、小人たちもショベルカーに乗って子猫の場所まで下りました。準備していた布を左右に猫の体の下から遠し、ゆっくりとクレーン車でつり上げます。無事救出された子猫は、毛布の敷いてあるトラックの荷台に乗せられました。体が濡れているだけでなく雨も降っています。空から傘を広げ雨から守ります。
準備していたミルクを飲ませ、体は長いタオルで拭き、体を温めます。だんだん体も温まり安心したのでしょう。毛布の上で眠ってしまった子猫。「もう、安心だね」と小人たちは安心して一息つくのでした。
さて、雨も上がりました。電話の依頼主のおばあちゃんの家まで子猫を安全に連れていく仕事が残っています。さあ、みんなで家まで届けてあげましょう!雨がすっかり上がり空には虹が掛かっています。小人と子猫がみんなで見上げて、その美しさに感謝します。
「うちにかえろう。」元気が出た子猫は今度はぺリコプターにくくられた猫じゃらしを追いかけて走っておばあちゃんの家まで帰ります。小人たちはおばあちゃんに招き入れられる子猫の様子を草の陰から見守りました。
「おかえり、おちびちゃん」
☆際立った特徴
横長のワイド絵本です。登場するのは小人。その人数にまずは驚く事でしょう!100人以上の小人達は、とっても小さいのです。おそらく赤ちゃんの小指ほど!?そんな小人たちが操縦するのは”はたらく車”と呼ばれる重機たち。重機は人間が操縦して使っている物ではなく、おそらく子どものミニカーと同じようなサイズ。トラックやショベルカーやブルドーザー、ヘリコプターやモーターボートなど、乗り物好きにはたまらない沢山の乗り物を小人たちが操縦し大活躍します!
ページの隅々まで楽しみながら見てみてください!見落としている小人がいませんか?1人1人の小人の仕事が重要な働きなのです。見落としたらもったいないです★
力を合わせて依頼主をお助けする「おたすけこびと」シリーズの第3弾です。
☆書店員の感想
絵だけでもストーリーが理解でき、各ページの短い文章から、さらに物語の背景が想像できます。字が読めない小さな子でも、絵だけで楽しめ、読み聞かせでさらに想像が広がる、細かく計算されている作品です。
最小限の言葉とパノラマサイズの絵で、最大限にこの物語を描いている絵本です。文字がまだ読めない小さな子でも、大人が読み聞かせてあげるだけでなく、自分で貢をめくるだけでもストーリーを理解できるのではないかと思います。短い言葉と絵に込められた情景の表現力は、すごい!!と思いました。
朗読でも頭で情景が浮かびます。絵を見るだけでどんな音が鳴っているか、会話しているか、なんとなく聞こえてきます。どちらか一方でも楽しめるます。両方なら尚更です!!
短い言葉以外でもどんな音がしているのか、小人たちが何を相談しているのか、虹をみんなで見上げた時には、それぞれどんな気持ちだったのか。想像するともっと楽しむことが出来るように思います。
100人以上の小人たちが、迷子の子猫を探します。見つけた子猫はなんと側溝の中。水に濡れた体で怯えています。子猫大丈夫かな?そして小人たちはどうやって助けるのかな?!
小人たちは、ショベルカーの上に乗って遠くまで見渡したり、クレーン車を使って植木鉢を上げてみたり、トンボにも見かけなかったか聞いたり、様々な物を利用しながら捜索します。小さいからこそ隅々まで探すことも出来ます。
迷子だったのは小さな子猫。子猫は側溝に落ちてしまい自力では上って来れないようです。必死に小さな体をふるわせて助けを呼んでいるようです。さて、子猫を見つけることが出来たものの、どうやって子猫をここから救出するか。「すぐにたすけてあげるよ」と声を掛けながら、子猫のもとにショベルカーに乗って向かいます。川の水も塞き止めて、水が入らないよう看板で押さえて、救護用の布を子猫の腹部分を左右に通すようにして、ゆっくりつりあげます。上手く側溝から救助できました。
助けた子猫をさらに看病します。無事に元気を取り戻すのか?依頼主の子猫の飼い主のおばあちゃんのお家まで帰れるのか!?
上空から傘を開き、雨のあたらない場所まで移動しました。タンクローリーの上に毛布を敷き、その上に子猫を降ろすと安心したような表情になりました。しかし、長い時間側溝の水の中にいた子猫、かなり衰弱しています。小人たちは準備していたミルクを子猫に飲ませ、体をタオルで拭きます。何十枚の使って丁寧に拭く事で、体も温まりお腹も膨れて、気持ちよくなった子猫は、寝てしまいました。「これでひとまず安心だね」と小人たちもホッとしています。
子猫が目を覚ます頃、雨はすっかり止んでいました。そしてゴロゴロと横になっていた子猫はすっと起き上がり、小人たちと一緒に空を見上げています。空には大きく掛かった虹が見えます。なんと美しい景色なのでしょう。
そして、おばあちゃんが待つ家まで子猫を送り届ける小人たち。ヘリコプターにつけた猫じゃらしで子猫の気を引きながら、誘導していきます。
玄関の前まで来たらもう安心です。おばあちゃんも玄関前で子猫の帰りを待っています。小人たちは葉っぱの陰から子猫を見守ります。お家に帰れて良かったね!
小人たちは人間には見えないように暮らしているようです。もしかしたら私達が暮らすこの世界にも、私達が気づかない場所で小人たちが助けてくれているのかも!?と思いました。そうだとするなら会ってみたい!と本気で思わせてくれました。
- 作品名:おたすけこびとのまいごさがし
- 著者名:文 なかがわちひろ 絵 コヨセ・ジュンジ
- 出版社:徳間書店