おまつり

夏祭りをお家で味わえます!夏の読み聞かせにピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- お祭りの日の1日です。様々な屋台に遊びに行きますよ。あなたはどの屋台に行きますか?どの遊びをしますか?行った気分で考えてみましょう!
- アルミ板をカッティングする技法で描かれた本書は、”お祭り”という独特な雰囲気をうまく表現しています。
- お兄ちゃんと弟くまたの、成長を喜んでいるお母さんの気分になりました。来年約束が叶うと良いなぁ・・・★
☆あらすじ
今日は森の神社でお祭りがあります。鳥居には提灯が飾られ、縁日の登りも立っています。くまのくまたは、お祭りに行きたくてウズウズわくわくしているようです。お母さんにトンボ柄の浴衣を着せてもらいました。くまたのピッタリサイズに裾上げしてある浴衣は、お母さんが以前からこの日のために用意していたのでしょうね。
着付けをしたお母さんもなんだか嬉しそうです。
さあ、お祭りに行きましょう!神社の鳥居の向こうからピーヒャラピーヒャラ♬ザワザワザワと沢山の人の声と、陽気な笛の音が聞こえてきそうです。沢山の動物たちが集まってきています。お母さんとはぐれないように、手をつないで2人も鳥居の中に入っていきました。
そこは別世界のようです。焼きそば・かきごおり・わなげ・たこ焼き・お面・・・沢山の屋台がズラリと並んでいます。まずはお面でキツネに変身。ふわふわ綿あめは大人気、甘いりんご飴も売ってるよ。くまたは金魚すくいにチャレンジします。「むずかしいなぁ」と言いながら、なんと大きな金魚がとれました!水の入った袋に入れてもらって、嬉しいお土産が出来ました。
そこに・・・わっしょい!わっしょい!おみこしです。くまたのお兄ちゃんも「わっしょい!わっしょい!」と威勢よくおそろいのはっぴを着ておみこし担いで登場です!
かっこいいなぁと憧れの眼差しで見つめています。
大きな花火が夜空を彩り、やぐらの周りをみんなで大きな輪になって囲みます。たいこと笛の音に合わせて、夜遅くまで盆踊りは続きます。
帰り道、お母さんとお兄ちゃんとくまたは、3人で手を繋ぎお話しながら帰ります。
「ぼくも大きくなったら おみこしかつぎたい!」とくまた。「来年は一緒にやろうね!」とお兄ちゃん。お祭りが終わってちょっぴり名残惜しいけど、来年の楽しみが1つ増えました。
☆際立った特徴
本書は、アルミ板を切って着色した部品を組み合わせるという、手の込んだ手法で描かれています。
アルミの表面に塗られた塗料が動物たちの毛の流れを表現しているようでもあり、光沢がある分、立体的で際立っています。そして、キャラクターたちが浴衣やはっぴを着ていることもあり、アルミなのに不思議と和の雰囲気も出ていて、塗料で塗られた手描きの温かみが、”お祭り”という日本の夏の大イベントを華やかに彩ります。
神社など背景の森はアルミ板を重ねていて、遠近感や奥行きを表しているようです。屋台の中は、屋台の商品など主張している部分はアルミ板で色をはっきり出して立体的に、そうではない部分は優しい色の塗料で描いている為、どぎつい印象を与えず、バランス良く混在しています。背景の白に映えて、より一層華やかで、まるで別世界のような”お祭り”の雰囲気を表現しています。
☆書店員の感想
お祭りの日って、朝から心がウキウキ・ソワソワしますよね。街のドコからか漂うお祭りの雰囲気が、行きたくた行きたくてたまらない!!!という気分になります。本書の始まりのページは、鳥居に提灯が飾ってあり、のぼりが立っているだけなのですが、私の心は「行きたい!」とそわそわしてしまいました。
森の緑と鳥居と提灯の赤が、切り絵によって際立っています。本書の中にはいくつもの屋台が描かれています。手描きなのに本物みたい。なんだか行きたくてウズウズしてしまいました。不思議♬
私の生まれた街のお祭りは、2日間あり、屋台がズラッと100店以上並んで大賑わいでした。いつもの車道が歩行者天国になり、その2日間だけは全く違う街に変身し、まるで異世界のようで年に2日だけの大好きな日でした。本書のお祭りは、なんとなくそんな世界に入り込んだような感覚になりました。
なんでだろう・・・と考えると、私の行っていたお祭りに、著者あずみ虫さんが描く”アルミ板に描いた色”が、似ているからだと思いました。
ライトアップされた屋台の色が、より一層食べ物を美味しく見せて、美味しい匂いがお腹を刺激させます。お面もつけたくなるし、金魚すくいもトライしたくなります。
昔、年に1度の楽しみだったお祭りを本書で味わうことが出来て、なんだか懐かしくなりました。また行きたいなぁ。
●家族の絆
おみこしをかついだ くまたのお兄ちゃんを、くまたとお母さんは嬉しそうに見ています。「お母さんお兄ちゃんいたよ!」と言っているみたいです。知らない人にも「僕のお兄ちゃんだよ!かっこいいお兄ちゃんなんだよ!!」と、自慢しているのかもしれません。かっこいいお兄ちゃんの姿をくまたは目に焼き付けいるようです。帰り道、「僕も大きくなったらかつぎたい!」「一緒に来年はかつごう!」と兄弟は約束をするのですが、素敵だな〜と思いました。お兄ちゃんはくまたにとって、最高のお兄ちゃんなんでしょうね。
お母さんもきっと、くまたとお兄ちゃんの会話を聞いて2人の成長を感じ、喜んでいるのではないでしょうか。
1年後の約束・・・叶うと良いなぁとそっと願ってしまいました。
