おやさいめしあがれ

新鮮な野菜がたっくさん!いろんな種類の野菜と、野菜が主役の美味しそうな料理もたくさん出てきます。絵本を通して食育にピッタリです。
☆3つのおすすめポイント
- 細かく分けて、70種類くらいの野菜が描かれています。多くの野菜のそれぞれの美味しさを、ぜひ目で味わってみてください。
- 細かく、質感を重視した描写に、野菜の美味しさを強く感じます。色も豊かで、見た目にも鮮やかです。
- いっぱい食べて、大きくなぁれ!作者の温かい思いが込められています。
☆あらすじ
表紙には、ステキなグラスに盛り付けられたたくさんのミニトマト。
同じミニトマトでも、いろんな色のものがあり、黄色いものや、粒の小さめのもの、紫や緑色…。ミニトマト一つとっても、いろんな美味しさ・彩りがあります。
絵本を開くと、とうもろこしがまず描かれています。つぶつぶがぎっしり詰まって美味しそうです。
次ににんじん。きれいなオレンジ色をしていて、その横には美味しそうなスイーツとジュースも描かれていて、にんじんが苦手な子でも食べられそうです。
その後は、さつまいも、かぼちゃ、ブロッコリー、はるキャベツ…と、多様な野菜が描かれています。そしてそれぞれの野菜を使った料理も一緒に描かれていて、どちらもとても美味しそうです。
☆際立った特徴
根菜、葉物野菜、緑黄色野菜、いろんな野菜がありますが、よく食卓に出てくる野菜が主に描かれています。似ている野菜も一緒に描かれており、野菜についての知識も得られます。
野菜が収穫される季節や、その時期のイベントも感じ、知ることが出来るような風景が描かれ、美味しさと楽しさを一緒に感じることができます。
また、この本は視覚デザイン研究所の絵本で、「子供の感性を育む絵本」となっています。
絵本の最後に、「絵本は子供脳と会話して、意識下で生まれる深い感情力を育てます。この深い感情は子供期に発達し、一生の感情力を決定づけます。」と書かれています。
本物のような質感と、目でも楽しめる野菜たちの彩りが鮮明に描かれていて、子どもの感性に働きかける、食育にもつながる絵本です。
いろんな食材を食べ始められる月齢になったら、「今日のご飯のお野菜はこの野菜だよ」と話しながら読んだらいいですね。野菜への関心を持つきっかけになる1冊です。
本の大きさは19.8×19㎝で、小さいお子さんの可愛らしい手にもちょうど持ちやすくめくりやすい大きさです。
☆書店員の感想
●細かく分けて、70種類くらいの野菜が描かれています。いろんな野菜、それぞれの美味しさ。ぜひ、まず目で味わってみてください。
たくさんの新鮮な野菜たちが紹介されています。
ぷりっぷりの実が、ぎっしりと詰まった、夏の味覚・とうもろこし。甘さを引き立たせる塩ゆでです。後方には入道雲と、虫取り網を持って駆けている子どもたちが描かれ、夏の風景が自然と思い浮かんできます。
お次は人参、葉っぱ付きの人参はスーパーマーケットではほとんどお目にかかれないですね。カロテンがぎっしり詰まっているような濃いオレンジ色に、パンと張った表面。太さもしっかりとある人参です。テーブルの影からウサギさんが、物欲しそうにのぞいていますよ。
蜜がしっかり含まれた、とってもほくほく、甘そうなさつまいも。皮の部分も濃い赤紫色に艶もあり、調理するのが楽しみになってくるようです。「秋晴れにプーもばればれ」、と韻を踏んだ文章も面白いです。
お次のカボチャはハロウィン仕様です。坊ちゃんかぼちゃくらいの大きさのカボチャをまるまる器にして、目・鼻・口を型抜きし、カボチャプリンにアレンジ。生クリームものって美味しそうです。カボチャは、煮物やてんぷらのようなおかずだけではなく、デザートにもアレンジできて、いろいろな楽しみ方がありますね。
さらに次のページを開くと、ブロッコリーとミニトマトで積み上げられたクリスマスツリー。上のお星さまは人参を星型に型取ったもの。彩り鮮やかで、可愛いです。
これを見た長男は、「これ、今年のクリスマスにしてみたい!」と言っていたので、今年の我が家のクリスマスのテーブルに登場する予定となりました。ごちそうと、周囲に飾られたクリスマスのオーナメントもキラキラ輝いて、気持ちが盛り上がりますね。
その次の春キャベツでは、ふんわりした葉っぱで、ロールキャベツに。ベーコンが巻かれた春キャベツ、とても美味しそうです。毛虫の箸置きが、キャベツに似合っています。
その次には、グリンピースやえんどうやいんげん、枝豆、スナップえんどうなど、いろんな種類の豆が描かれています。お子さんと、この豆はなに?と見比べ合うのも良さそうです。お豆の花って、紫色で小さくて可愛らしいですね。
夏の味覚のきゅうりは、切り口がとっても瑞々しく、ガラスの器がさらに引き立てているようです。きゅうりにささっているピックの動物たち、サル、クマ、ブタ、ヒツジにカッパもとても可愛く、きゅうり美味しいよ〜と誘ってくれているようです。
次はドドーン!と夏野菜がたくさん大きなかごいっぱいに入っていて、この野菜を使ったカレーを海辺で食べるのも、素敵です。味も見た目も美味しく味わえ、オクラやミニトマトも入って、栄養も満点、夏の疲れも吹き飛びそうですね。
最後に描かれたじゃがいもは、色や形が違う4品種が描かれています。明るい赤紫色、濃い紫色のじゃがいももあります。スイーツのようにお皿に飾られたじゃがいもが、まるでおめかししたようにも見えます。こんな盛り付け方もあるんだなぁと、勉強になりました。
素敵な、美味しい野菜たち。目でも本当に楽しめます。
●細かく、質感を重視した描写に、野菜の美味しさを強く感じます。色も豊かで、見た目にも鮮やかです。
どの野菜も、それぞれの質感が細かく描かれ、表現されています。
とうもろこしのヒゲ、葉の筋も細く1本1本しっかり描かれていたり、カボチャの表面の皮の部分に、ちょっと茶色のゴツゴツしたところがある、カボチャ特有の表面のようすもうまく表現されています。
春キャベツは、キャベツの緑と、マットの黄色が春らしい印象で美しいです。そして、スープの器の赤色も差し色として美しく、スプーン・フォーク・器のツヤが際立っています。春キャベツに付いている水滴も、葉っぱが弾いて輝き、とれたての新鮮さを感じます。
グリーンピースなどの豆たちは、テーブルクロスの愛らしい淡い水色に描かれた白い花柄と混ざり合って、優しい印象です。食べてみると甘くて美味しい、体にも優しい野菜であることを、絵から感じ取れるように思いました。
きゅうりの表面のゴツゴツ感、夏野菜カレーの野菜が入っているかごの編み目の細かさ、じゃがいもの下に描かれているマットの模様に、丁寧に描き込まれているようすが伝わってきます。
最後のじゃがいもでも、種類によってザラッとしたもの、ツルンとしたものの質感が描き分けられていて、触って確かめてみたくなるようです。
●いっぱい食べて、大きくなぁれ!作者の温かい思いが込められています。
裏表紙には、1年を通してどの葉物野菜がいつ旬かを、わかりやすく円状に並べて描かれています。
息子たちは、離乳食を始めた頃は、つぶされた葉物野菜を食べていましたが、だんだん形状が固体化するごとに敬遠するようになってしまいました。
我が家の葉物野菜は大体チャーハンにしています。ほうれん草や青梗菜、小松菜を細かく切って一緒に炒め、愛用している醤油で味付けすると、必ず食べてくれます。
食育的には良いかどうか分かりませんが、無理強いすると、食事の時間が楽しくなくなってしまい、寂しく思っていたので、このような形に今は落ち着いています。もう少し大きくなったら違うメニューで出してみようと目論んでいるところです。
ですので、この本に描かれている生き生きとした野菜たちを見て、野菜に対してのイメージがプラスのほうに変わり、意欲的に食べてくれるようになったらいいなと思っています。
実際、次男も本を見ながら「お野菜、たくさんあるね〜、美味しそうだねぇ〜」と言っていました。そして、夕飯の茄子の味噌汁を、「この茄子、全部食べれるよ、これ食べたら、大きくなれるよ〜」と言いながら食べていました。野菜をいろいろ食べると、強く元気になれるという思いは伝わっているようです。
たくさんの栄養と美味しさがギュッと詰まっている野菜。絵本の野菜から、野菜の魅力に改めて気づくことができるような気がしました。
野菜って、こんなにきれいなんだ、いろんな種類があるんだなといろいろな発見につながるように思います。ぜひお子さんと彩り豊かな野菜ワールドに飛び込んでみてはいかがでしょうか。
