おやすみゴリラくん
動物が大好きな子にピッタリ!夜の動物園での面白い出来事を覗いてみよう!ユーモアあふれるストーリー★
☆際立った特徴
- 夜の動物園が舞台
- イタズラ好きの可愛いゴリラ君。
- 盗んだ鍵で他の動物の檻を開けて回る…静かに大変な事が!!?
- 動物達の静かな大行進
- 大事件なのに、静かに事が解決する。日常的な出来事??
☆読み聞かせのポイント
動物達の雰囲気に合わせた読み方・声色にすると、自分も物語の一員になったような気持で読めます。
- 動物達がそっとついて行く所は、「動物さん達そっとついて行ってるね」と、自分達も動物達と一緒に静かについて行っている気分で読んでみよう!静かにそっと行きましょう!「シー!」。
- 部屋が暗くなった時動物達の「おやすみ」の後は、一呼吸おいてから貢をめくって。「え!!??」という奥さんの表情を楽しもう!声もビックリした感じで。
☆ピックアップポイント
- 夜の動物園でどんな事が起こっているのかな?警備員さんの優しい「おやすみ」の挨拶。きっと毎日聞いている動物達はおじさんが大好き。
- 静かに警備員のおじさんについて行く様子。これはもしかして日常的にやっているイタズラなのかな!?
- 注目は、おじさん夫婦の寝室の写真!!
☆書店員の感想
警備員さんの優しい「おやすみ」の挨拶。きっと毎日聞いている動物達はおじさんが大好き。
夜の動物園って、働いている人以外見る事が出来ない特別な場所ですよね。どんな事が起こっているんでしょうか?中には夜行性の動物もいます。動物達はゆっくり眠っているのかな?親子で仲良く遊んでいるのかな?まさか動き回っているのかな?
ぜひ、覗いてみましょう。
夜、誰もいない動物園に見回りのおじさんが1人。動物達に変化はないかと確認しながら「ぐっすり眠るんだよ。おやすみ」と声を掛け回っています。動物達はおじさんの声を聞くまで、誰も寝ていません。むしろ、毎日来てくれるおじさんを待っていたのかもしれません。
「ゆっくり眠るんだよ!」と1匹1匹に声を掛けてくれるがおじさんに対し、おじさんを見る動物達の目に注目してみると、とっても優しい目をしています。
きっと優しく声を掛けてくれるおじさんが動物達は大好き!なのかもしれません。
見方を変えてみると、まさかゴリラ君が檻を開けてくれるこの時を、動物達は今か今かと待っていたのかも!?そんな事すら思えてくる展開がおこっていきます。
慣れた手つきでおじさんから鍵を盗んだゴリラ君。自分の檻だけじゃなく、他の動物の檻の鍵も開けていきます。
「待ってましたー!」と動物達は思っているのかもしれません。
しかし、みんなは大きな声を出したり騒いだり、テンションが上がって走り出すなんてことはしません。大好きなおじさんの後について、静かにそっとついて歩きます。
その歩く姿に、私は慣れを感じずにはいられません。
もしかして動物達のこの檻からの脱走は今回が初めてじゃないな・・・!?と思えてきます。
家に帰るおじさんを追いかけて、静かにゆっくりと動物達がついていきます。まるで静かな行進です。家までまったく振り向かないおじさん。家の鍵を開けて中に入り、寝る支度を始めました。玄関は開けっ放し。もちろん動物達も家の中に入って行きます。
奥さんが眠っているベッドのある部屋に、動物達も入り、それぞれ静かに丸まって寝る準備。
まだ気がつかない夫婦。
旦那さん(おじさん)がベッドに入った気配を感じた奥さんは、目をつぶったまま「おやすみ あなた」と旦那さんに言います。すると・・・
「おやすみ」の返事が7か所、違った声であちこちから聞こえます。
えっ・・・!!??
奥さんの目がパチッと開きます。電気をつける奥さんは、もう一度ビックリ!!まさか横にゴリラ君が寝ているなんて。よく見たら部屋中に動物達の姿。そしてまるでコントのような展開です。
奥さんは冷静。動物園へ動物達を連れていき、何事もなかったかのように、眠りにつくのです。
奥さんは、寝巻のまま静かにゴリラ君の手を引いて動物園へ向かいます。その後ろを動物達がゾロゾロとついて来ます。またしても動物の大行列。そしてそれぞれを檻の中に戻してあげた奥さんは、「これで安心。みなさんおやすみ。」と呟きながら家へ戻りました。
そしてベッドに入り、「おやすみ あなた」と言います。
返事はもちろん旦那さんの「おやすみ」の声だけ。
「これでゆっくり眠れるわ」と奥さんは電気を消します。でも・・・よくみてみるとベッドに入ろうとするゴリラ君とねずみ君の姿。
それぞれ外側を向いて眠るおじさんと奥さんの間に挟まってゴリラ君とねずみ君も眠ります。
『ゆっくり眠ってね。みなさん』と読者はきっと声を掛けたくなっちゃうラストシーンでした。
◎ここに注目!!
実はこの夫婦の部屋に飾ってある夫婦の写真。その中にはゴリラ君も映っています。どうしてでゴリラ君が!?こっそり映っているのではなく、家族の一員として夫婦の間に座って映っています。これはもしかしたら、ゴリラ君はこの夫婦にとって息子のような存在という事なのではないでしょうか。
ベッドに眠っているゴリラ君に気がついていない?それとも気がついているけど気にしていないだけ??
どちらなのか答えは見つからないかもしれません。だけど、きっとこの夫婦とゴリラ君・ねずみ君は、この夜幸せな眠りについたことでしょう。きっと動物園の動物達も一緒。
三日月の光が、優しく見守り全てを照らしています。
- 作品名:おやすみゴリラくん
- 著者名:ペギー・ラスマン 訳 いとうひろし(インタビュー「うた・えほんをKUMONが応援ミーテ」)
- 出版社:徳間書店