おーなみ こなみ ざぶん!
海好きにピッタリ!楽しいのは夏だけじゃない!「おーなみこなみ」と季節はまわっています。おばけや妖怪好きにもオススメ!
☆3つのおすすめポイント
- 歌うように読んであげたくなる絵本です。そして、風神が雲の上にやってきて風を吹かせたり雷を鳴らします。人間には見えないけど、きっと季節の変わり目には、こうやって空で仕事をしているのかもしれません。
- 楽しい夏の海。海水浴をしたりかき氷を食べたり海の家のステージを思い思いに楽しんだり。夜には縁日や花火も楽しみます。みんなが日焼けしてみんなが笑う楽しい夏休みです。雷神が出てきて夕立を降らせる場面も!いよいよ夏も終わりのシーンです。
- 夏が終わると夏の海は旅に出ます。そして秋の海となり次第に冬の海となるのです。そして季節がどんどん周り、また夏が来るのです。
☆あらすじ
「おーなみこなみ 風が吹いたら回りましょう。」風が吹いたら・・・。
ここはギラギラと太陽が反射して照り返しているような夏の海です。海のそばで暮らしている人家族が、ハンモックを松と松の間にかけて夏を楽しむスタンバイ。そして誰もいない海で水着になって一足早く海で遊んでいます。大きく小さく波をうちながら揺れる波はギラギラと笑っているように見えます。もうすぐ本格的な夏がやってきます。少しずつ海の大波もなくなり、穏やかな小波となっていきました。昼顔が咲くようになり、待ちに待った夏休みです。
夏休みに入ると沢山の海水浴客がちんちん電車に乗って浜辺に集まってきます。そして、海のそばに住む人達だけでなく、みんなで夏の海を楽しむのです。
太陽がギンギンと光り、みんなの体も日焼けして真っ黒け。赤ちゃんだけは、まだまだ日焼けせずに白い体です。だけど、夏の海の風や香りにはしゃいで喜んでいます。
リアカーを引いて海岸へ来たじいちゃんのかき氷屋は大繁盛!じいちゃんも腕まくりして張り切っています。
ばあちゃんは海の家のステージにゲスト出演!?ビキニとサングラスが似合っていて、出演者もウェルカム!と一緒にフラダンスを踊っています。
子どもも大人も犬も初めて会った人もみーんな一緒になってはしゃいで遊んでいす。小波もニコニコ笑っています。
しかし急に空は真っ黒!すると・・・ゴロゴロ ピカッ!!雷様が急に怒りだしました。「夕立だ!!」と人々は急いで建物の中へ逃げ込みました。
海のそば住む家族は、海遊びは切り上げて、家に帰ってお昼寝。目が覚めたらもう夕方です。すーと風が出てきて気持ちがいいね。「早く夜にならないかな」とお庭で行水(プール遊び)して夜を待ちます。なぜかって?今日の夜はお楽しみの縁日があるのです。さあ、
浴衣を着て、下駄をはいて、出掛けましょう!綿あめにお面と金魚すくいです。そして、年に一度のお楽しみ、船からの打ち上げ花火です。大空に花火が美しく打ち上げられ、海の水面に花火が反射しています。小波も揺れてニコニコとほほ笑んでいます。
そして、家に帰って今日の一日を思い出しながら眠ります。お腹にタオルをかけて寝冷えしないようにね。
「おーなみこなみ。風が吹いたら終わりでしょう。」そして・・・夏の海は旅に出ます。
夏休みが終わり、秋の海に変わるころ、ハンモックを片付ける子ども達の姿がありました。
夏の海から秋の海、秋の海から冬の海、冬の海から春の海、春の海から夏の海。ざぶんざぶんと季節が回っていきます。
そしてまた、海の側に住む家族が浜辺で遊んでいます。裸足で遊んでいても冷たくないほどに、だんだん温かくなってきました。もうすぐまた、楽しい夏休みです。
☆際立った特徴
「おーなみこなみ かーぜがふいたらまわりましょ かーぜがふいたら うーみでしょ ぎらぎらわらう なーみでしょ ざぶん!」と見開き一ページに、言葉は変わりますが一文書かれています。なんだか歌うように読みたくなりませんか?そうです。わらべ歌のように即興で歌うように読んで楽しめる絵本なのです。そして、風神雷神が登場して季節を変えていく様子も描かれています。西村繁男さんのユニークな絵が本書の面白さを引き立てています!
作者長野ヒデ子さんは、お母さんとの思い出の中に、何でも歌にして楽しく口ずさんだ思い出があるそうです。【今でもそのワンフレーズが耳に残っていて、口ずさむと楽しくなります。そのうえ、西村繁男さんの楽しく素晴らしい絵にワクワク!そう、「嬉しさと楽しさのおすそわけ」。ねっ!】と本書のカバー内側に紹介しています。子育ての歌であり、わらべ歌のような、おまじないのような、楽しかった思いを本書におすそわけしてくれている絵本なのです。
☆書店員の感想
歌うように読んであげたくなる絵本です。そして、雷神風神が雲の上にやってきて風を吹かせたり雷を鳴らします。人間には見えないけど、きっと季節の変わり目には、こうやって空で仕事をしているのかもしれません。
夏が来るたなーと思う頃、海の上の雲には風神がいて、海に向かって何やら温かい風を吹かせています。春の海から夏の海に変わる頃は、もしかしたら梅雨もあって海は大荒れなのかもしれませんね。温かい水と冷たい水が入れ替わるかのように表現されているページは、まさに大荒れで大波を上げています。サーファーが波に乗って喜んでいます。そしてモクモク大きな雲おばけ。夏が来るぞーと雲も喜んでいるのかな??
楽しい夏の海。海水浴をしたりかき氷を食べたり海の家のステージを思い思いに楽しんだり。夜には縁日や花火も楽しみます。みんなが日焼けしてみんなが笑う楽しい夏休みです。
夏の海は、海から遠くに住んでいる都会っ子も、山に住んでいる人も、みんな海に行きたくなりますよね。海が「遊びにおいでー!」と、呼んでいるのでしょうか。夏の海と空の青と真っ白な雲を見たくて行ってしまうのでしょうか。
海へ行ったら、思い切り日焼けするほど遊びたくなりますね。真っ黒になって、かき氷食べて、フラダンスを踊って、海にいる誰もが夏を満喫する姿を描いています。そんな楽しい時間も急な雷雨には敵いません。今まで穏やかな空だったのにモクモクモクと大きな黒い雲が空に広がったら、夕立ですね。雷神様が太鼓を叩いているのかもしれません。急いで逃げましょう!急いで逃げないといけないのですが、そんな夕立も夏ならでは。後から思い返せば、「あの時急に降ってきてずぶぬれになったよねー」と楽しい夏の思い出話となりますね。
夏が終わると夏の海は旅に出ます。そして秋の海となり次第に冬の海となるのです。そして季節がどんどん周り、また夏が来るのです。
「おーなみこなみ みんなくるりん まわってる。くるくるくるりん 回りましょう」と最後の一文です。季節の移り変わりと、季節はまた一周回って帰ってくるという事を、素敵に楽しく表現していると思いました。季節の移り変わりって、どこか寂しくて、もう二度とこの楽しい時間は来ないのではないかと思う事ありませんか?でも、大丈夫!季節は、くるくるくるりんと回っています。楽しい事もまたすぐ違った季節で、違った形で訪れますよ♬
- 作品名:おーなみこなみざぶん!
- 著者名:作 長野ヒデ子 絵 西村繁男
- 出版社:佼成出版社