きょうおひさまがでなかったら
SDGsや世界の環境に興味を持っている子にピッタリ!もしもお日様がいなくなったら…一緒に考えてみましょう!
☆際立った特徴
- 太陽という星は、私達にとって実は身近で大事な存在。
- ある日お日様が現れてくれなくなった。朝も夜も真っ暗な世界。
- 想像すると恐ろしいけど、当たり前に想っている今の環境について考えるきっかけになる。
- お日様を探しにロケットに乗るユニークな展開。どこにいるのかな?
- 太陽とは、地球で生きる全ての生き物達の生きるエネルギーである。
※本書の最後に、本書を監修をされた国立天文台の縣秀彦さんの本書紹介文が書かれています。地球環境について、そして太陽は地球の生き物にとって身近であることと、生き物にとって生きるエネルギーを頂いている大切な存在だという事が書かれています。次に日本で見る事の出来るの皆既日食についても書かれていますよ!いつがそのタイミングなのか気になる方はぜひ、このページをチェックしてみてくださいね☆
☆読み聞かせのポイント
- ぜひ「お日様って君にとってどんな存在?」と話し合ってみて欲しいと思います。きっと大切さに気がつくはず!
- お日様が無いとどんな困りごとが起こるのだろう?実際にお日様が現れないと…という具体例も話してあげると、いつも空にいてくれるお日様に感謝の心が芽生えるかもしれません。
☆あらすじ
朝目が覚めると、空は真っ暗だった。
まだ朝になっていないだけ?いいえ、もうAM7時。
お父さん達も異変に気がついて僕の部屋へ駆け込んできた。
雨だからなんじゃない?いいえ、雨でも曇りでもない。まるで夜みたい。
一体何が起きているんだろう?
昨日の事を思い出した。
僕は昨日の朝、とても眩しくて、暑くて、思わずお日様に
「朝が来なければいいのに!お日様なんか出てこなければいい!」と言っちゃったんだ。
そうか、お日様は怒って隠れちゃったのかもしれない。
よし、お日様を探しに行こう!
朝なんだか夜なんだか、ここがどこなんだか暗くてよく分からない・・・。
真っ暗な中を空に向かって、お日様を探しにお父さんと僕は宇宙船に乗って飛び立った。
このまま、お日様がいなくなったらどうなるんだろう。
地球は今よりうんと寒くなって、人間や動物も暮らせなくなる。植物たちも育たなくなる。
真っ暗で植物のない世界・・・ってどんな世界だろう?
動物も人間も食べるものがなくなって、生き物みんなお腹がペコペコになってしまう…。
そうか。今、僕たちが生きていられるのはお日様のお陰なんだね。
目が見えるのもお日様が光を与えて、物を見えるようにしてくれているからだし、
雨も実はお日様が降らせてくれているんだね。
お日様がいない世界は、今とはまるで違った世界になってしまうという事なんだ。
僕は、お日様がそんなに大切な物だったなんて、今まで思ってもみなかった。
早くお日様を探さなきゃ!
「お日様帰って来て!もう邪魔だなんて思わないよ!地球のみんなを助けて!!」
すると、辺りが急に明るくなった。
明るくなったお陰で、僕たちの乗った宇宙船は無事に地球に着陸できた。
翌朝、目が覚めるとお日様が眩しく光っていた。
僕は元気よく、お日様に挨拶をした。
おはよう!お日様!いつも僕たちを照らしてくれてありがとう!
☆書店員の感想
お日様がいない世界を想像してみた事がありますか?
朝が来れば、必ず空で私達を照らしてくれるお日様。雲があっても雨が降ってもその上から私達を必ず照らしてくれています。
本書では、”お日様がいなくなった”ある1日を描いています。私はお日様がいない世界というのは全く想像した事がありません。朝になれば明るくなるのが当たり前だと私は思っているからです。本書を読み想像したら、とても怖くなりました。こんな事が起きたら・・・世界はどうなるのでしょうか。
ある時、お日様は邪魔者扱いされ、怒ったのか悲しんだのか、へそを曲げたのか、お日様がどこかへ隠れてしまったのです。
夏の朝日は現れるのも早い時刻だし、とっても眩しいし暑いですね。いつもより早めに起きてしまったり、朝から汗をかいて起きることも。
逆に冬の朝日は出るのも遅く、朝日で体が自然に起きるという事が難しいように思います。明るくなるのが遅いから、体が「もっと寝ていたいよー」と布団から出てくれないことも・・・
だけど、毎日空に上ってくれるお陰で、私達は朝を感じ目覚め、元気に1日をスタートできるのでしょうね。目覚めが不快な時もあれば快調な時もある。だけどそれはお日様のせいではないと思うのですが・・・。
ある時主人公の男の子が、不快な目覚めをしてしまい、「お日様なんて出てこなければいい!」と言ってしまいました。
お日様は、せっかくみんなに朝を伝え、温かく照らしてあげているのに、邪魔者扱いされたものだから、ふてくされたのか、次の日の朝空に現れませんでした。
きっと悲しくて寂しくて怒りたくなったのでしょうね。
しかし、朝なのにお日様が現れてくれなかったらどうなるでしょう。ぜひ想像してください。朝なのに真っ暗で朝じゃない・・・!?。こんなに驚き、悲しい気持ちになる事があるでしょうか。
そんな状況だからこそ、主人公の男の子は考えます。「もしこのままお日様がいなくなったらどうなるのか」という事を。
もしもこのままお日様が出てこなかったらどうなるのか・・・男の子は宇宙船の中で想像し、お父さんと話し合いました。
お日様がいなければ、月も星もない夜が続き、辺りは冷えていき、生き物全てが凍えてしまいます。そして植物も育たず、人間や動物達は食べ物にも困ることになります。
光がないという事は辺りも見えにくいという状況になり、様々なトラブルが起こるでしょう。
雨が降らなくなります。という事は、飲み水すら困るという事になります。
色々と不便を通り越して、怖くて恐ろしいと感じる事態になってしまいそうですね。
男の子は色んな想像の上、なんて失礼なことを言ってしまったのだろうと、反省しました。そしてどこかに隠れているお日様にむかって「帰って来て!僕たちを助けて!!」と叫びました。
この後、お日様は『わかってくれたらいいんだよ』と言わんばかりにすーっとどこからか登場します。その後、宇宙船に乗った親子は家まで帰ることが出来ました。もしかしたらお日様が出てくれなかったら、ここがどこかなのかさえ分からず帰れなかったかもしれません。宇宙船の中から景色を見て帰る男の子。その景色は、世界が日常に戻り、人々や動物達が穏やかに過ごす姿が描かれています。
私は、最後の場面で「僕たちを助けて!」と言った男の子の言葉がとても心に響きました。
僕ではなく、『僕たち』です。
お日様無しでは、生き物は生きていけないという事と、みんながお日様の帰りを待っていると伝えているような感じがして、必死さがお日様に伝わったのかなと思いました。
お日様はただそこに存在しているのではなく、世界中の全てを照らし命を与え、育て、見守っているという事がよく分かるストーリーだと思いました。
当たり前な存在を見つめ直すよい機会になりました。
- 作品名:きょう おひさまがでなかったら はじめてのかがくえほん1
- 著者名:塚本やすし
- 出版社:フレーベル館