くろくんとふしぎなともだち
仲良し10色のクレヨンたちが不思議な乗り物と出会います。乗り物が好き、お絵かきが好きな子にピッタリ!可愛い絵柄に、乗り物やお絵かきへの興味が湧いてきます。
☆3つのおすすめポイント
- くろくんやクレヨンの友達たちが、楽しい乗り物に出会います。自分で線路など走る場所を描き、夢を広げます。
- カラフルな友達たち。一人ひとり持っている色が違うように、それぞれのカラーが光ります。子ども達もみんな自分自身のカラーを持っていることに気づくでしょう。
- クレヨンで何を描こうかな?クレヨンたちの楽しいスケッチがお絵かきの楽しみを引き出してくれます。
☆あらすじ
10色の子どもクレヨンがありました。その中には、10人の仲間たちがいます。
その中のくろくんが散歩に行くねと言って箱から出ていきました。
くろくんは、バスに出会いました。わぁ!かっこいい。
走ってみてとお願いすると、道路がないと走れないと、バスくん。
すると、くろくんは大きな画用紙を持ってきて、ビューっと頭を滑らせて道路を描いて、作りました。
その道路の上を、バスは元気よく走り始めました。
くろくんは楽しくなって、どんどん描き続けます。そのうちに疲れてきたので、バス停を描いて停車しました。
くろくんとバスはとても楽しい時間を過ごしました。
次の日、昨日のバスくんのところに行ってみると、今度は船がいました。
船もかっこいい!船にも走ってほしいとお願いすると、海がないと走れないよ、と船は言いました。
くろくんは画用紙に自分の頭を使って波を描きます。ザザザー!と勢いよく船は走ります。
船はどんどん走り、くろくんもどんどん描き続けると最後に港を描きました。船は港で停泊します。船もくろくんも大満足でした。
箱に戻ったくろくん。みんなから、いつもどこに行っているの?と聞かれます。
くろくんの頭もへこんできていて、どうしたのか気になりますね。
くろくんは、みんなに船やバスに会っていたことを話しました。すると、ほかの9色たちも、船やバスに会ってみたい!!と興味津々です。
そこでくろくんは、みんなを連れていつものところに行ってみることにしました。
すると今日は、新幹線がいるではありませんか!
みんなビックリ!!
早速、新幹線に走ってもらうようにお願いします。
しかし、みんながビックリするほど速くて危ないから、ダメダメ!と新幹線に断られます。
するとみんなは大きな画用紙をつなげて、たくさんの絵を描きました。
9色のクレヨンで絵を描くので、どんどんいろんな絵や風景が広がります。
色とりどりの町並みが完成し、そのステキな絵を見た新幹線は走りたくてうずうず…。
くろくんが最後に線路を描き始めましたが、まだ途中までしか描けていないのに、新幹線は走り出してしまいました!!
新幹線はあっという間にくろくんに追いついてしまいます。
あっ!!危ない!!!
くろくんがひかれそうになったその時、新幹線は脱線、車両はぐにゃりと曲がってしましました。
新幹線が大怪我をしちゃった!どうしよう… クレヨンたちは心配な気持ちと、自分はしらないよ、といった慌てた気持ちとで喧嘩を始めてしまいました。
そのとき…
新幹線はぐにゃぐにゃ…と姿を変え始めました。そのうちに、丸くなりました。
大きな一つのかたまりになると、新幹線はもともと粘土だからぶつかっても大丈夫だよ、と教えてくれました。
みんなびっくり。
実は、バスも船も、粘土が変身していたものでした。
粘土は、けんかはやめて、と悲しそうに話します。それを聞いてクレヨンたちはみんないっしょに粘土に謝りました。
すると今度は粘土さん、トロッコ列車に変身してみんなを乗せてくれました。
トロッコ列車はみんなを乗せて、クレヨンたちが描いたステキな町並みをゆっくり走ります。
今度はゆっくり走ってくれたので、くろくんもゆっくり線路を描き、最後に終点の駅を描きました。
みんな楽しく過ごすことができました。
☆際立った特徴
なかやみわさんの、クレヨンたちのシリーズの絵本です。
10色のクレヨンたちが仲良く毎日を過ごしています。
子どもたちの身近なクレヨン。いつもは子どもが手に持って絵を描く道具です。それがこの絵本では主役になって、自分で体を動かし頭を使って絵を描いていきます。
身近なものが擬人化したら… という想像が自然と広がります。
お絵かきが大好きな子どもたちのクレヨンが、クレヨンのお友達と楽しそうに遊ぶ姿に親近感がわき、手足・目鼻がついていて可愛く、クレヨンがますますお友達のように思えてきます。
クレヨンたちが描いた町並みはカラフルで可愛らしく、一緒に乗り物に乗っているような楽しさがあります。次はクレヨンで何を描いてみようかな?と思える好奇心を引き出してくれる描写です。

☆書店員の感想
●くろくんが楽しい乗り物に出会います。自分で線路や走る場所を描き、夢を広げます。
くろくんが、箱からひとりでお出かけします。
心配そうに見つめる他のお友達たち。くろくんは自由に出かけちゃう、冒険心の強い子なんですね。新しい乗り物のお友達に出会っても、恥ずかしがらずに自ら話しかけられます。
そんなくろくんですが、走ってほしいとお願いするときは、「ちょっと走ってみてくれませんか?」と、きちんと敬語で聞くことができています。ステキですね。
くろくんは自らの頭から出ているクレヨン部分を使い、バスのために道を描きました。
逆立ちもとっても上手です。
黄色と水色、赤と緑の可愛らしい色合いのバスです。とてもうれしそうに、元気よく走ることができました。
次の日には船がいました。船を動かすにはどうしたらいいでしょう。ずばり、波を描いたくろくん、とっても賢いと思いました。船もかっこよく、楽しそうに波をかき分け進みます。
別の日には、くろくんの話を聞いた他の子たちも一緒に出かけました。
いろんなことに興味・好奇心たっぷりの姿は、小さな子どもたちと重なって見えます。
ワクワク飛び出したクレヨンたち。かっこいい新幹線と遊びます。
それぞれの色を使って可愛い絵を描き、ステキな世界を広げます。
楽しい時間もつかの間、新幹線が走り出すと線路の長さが追いつかず、くろくんにぶつかりそうになり脱線して、ぐにゃりと曲がってしまいました。
新幹線が大怪我をしてしまった!と、クレヨンたちは心配しますが、新幹線もバスも船も、実は粘土でできていたので変幻自在に変身ができ、怪我はしていませんでした。
まさか粘土でできていたとは、驚きの展開でした。
粘土くんも優しく、クレヨンたちと仲直りし、お友達になりました。素直に、すぐ謝ることができたクレヨンたちの姿も、偉いな、と思いました。お友達が喧嘩していたら、やはり悲しいですもんね。
そして粘土くん、今度は安全なトロッコに変身してくれました。粘土くんの優しいきもちと、機転を利かせてくれたことで、みんな仲良くステキな絵の世界の中を走り、遊ぶことができました。
●カラフルな友達たち。一人ひとり持っている色が違うように、それぞれのカラーが光ります。子ども達もみんな、それぞれ自分自身のカラーを持っていることにつながります。
子どもたちも一人ひとり持っている良さや性格、好きなものや好きな遊びなどみんな違いますね。クレヨンたちも一人ずつ色が違っていて、お顔を見てもみんな個性を持っているように見えます。子ども達もクレヨンたちのように、みんなステキなカラーを持っているように思いました。
クレヨンたちは新幹線に出会ってから、それぞれの色を生かした、ステキな絵を描いてい行きます。お花や雲、池、樹木、ヘリコプターなど…。自分の色を活かし、相手の色も活かしながら、お互いにきれいな色を引き出してステキな世界を描いているように感じました。
10色のクレヨンが描く世界は無限大ですね。人間も同様に、たくさんの人同士で支え合い、繋がり合うことでステキな世界を作っていくのかな、と思いました。
●クレヨンで何を描こうかな?クレヨンたちの楽しいスケッチがお絵かきの楽しみを引き出してくれるようです。
絵本に出てくる乗り物の走るようすや、新幹線の速く走っているようすなど、かっこよく描かれています。乗り物が好きな子にもおすすめです。
また、クレヨンたちが描いた絵が2ページ全体に描かれていて、お子さんも、真似して描いてみようかな?と思うような、子ども達が大好きな可愛いものがたくさん描かれています。
長男は絵を描くのが好きで、夏休みの絵日記の絵も楽しんで描いていました。クレヨンの本数と色の種類は限られているので、「ぼくの思っている茶色じゃない!」とブツブツ言いながら、他の色と重ね塗りして、自分で色を作ったりして満足のいく絵を描いていたようです。今回はクワガタの絵を描いていました。
また、長男が自宅で、自分の行った学習の内容を絵で描く機会もあるのですが、その時は学習した内容も少し織り交ぜつつ、それを行っている自分の手を中心にドーンと描いていたのでビックリしました。子どもの視点って、不思議ですね。子どもの純粋な絵を見て考えさせられるときも多々あるな、と感じました。
クレヨンたちが、10色みんな仲良く自由に絵を描き楽しむ姿に、読んでいる子ども達は自分の姿を重ねて見るのかもしれません。
文字を覚えたり、数字を覚えたり、同時に描ける絵もどんどん増えていくでしょう。たくさんの可能性を秘めている子ども達。クレヨンたちのように、楽しくのびのびとキャンパスに描いていってほしいなと思います。
- 作品名:くろくんとふしぎなともだち
- 著者名:なかやみわ
- 出版社:童心社


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