こうえん
公園が大好きな子にピッタリ!普通の公園じゃないよ★ここはちょっぴりスリリングな、鬼のお腹の上にある、おにがはら公園なのです!
☆3つのおすすめポイント
- 子ども達に大人気な”おにがはら公園”は、なんと鬼のお腹の上にある公園です。鬼が寝ている間遊んで、起きそうになったらすぐに隠れないといけません。さあ、どうしてかな?
- ある時男の子が鬼に捕まってしまいました。さあ、どうしよう!男の子が泣き出すと、もっと大きな声で泣き出した鬼。そして涙をポロポロ流すのでした。この後、鬼との友情が芽生えます。もう怖い公園じゃなくなるんです!
- 広い公園と、その上に美しい青空が描かれています。しかし、なんだか違和感のあるオレンジ色の半球。これは一体?ファンタジーでありながら、スリリングで、鬼に設定のユニークさが、物語をさらに面白くしています。
☆際立った特徴
本書は、おにがはら公園を描いています。場所は全く変わりません。
しかし、そのおにがはら公園は、鬼のお腹の上に出来ているので、鬼が起きた時は、地面が盛り上がったり、砂場が噴火したりします。
「うーんむにゃむにゃ・・・」という声が聞こえたら、大急ぎで子ども達が逃げていきました。どうしてでしょうか?それは・・・鬼が起きるのです。起きた鬼に見つからないように、子ども達は隠れるのです。なんてスリリングな公園!
でも、ここは、大人気な公園なんです。怖いからこそ、好奇心旺盛な子ども達には興味をそそるのかもしれません。
そして、ある時男の子が捕まってしまうのですが・・・。捕まったらどうなるの・・・?!なんだか怖い事が起きるのかも?しかし、子ども達がその後戻ってきましたよ。
どうしてかって、子ども達がその時、初めて鬼の気持ちを初めて知ったからです。
どんな気持ちなのでしょうね。
物語の設定がユニーク。鬼の涙から小鬼が生まれて、そして夕方お腹の”へその穴”から帰って行きます。大きな鬼の分身なのか、はたまた別物なのか。ここも面白ポイント!
ありそうでなさそうなファンタジーさと、始めは恐怖でしかなかった鬼との関係が、次第に友情へ変わるという、感動を味わうこともできるストーリー。公園で遊んでいる子ども達の可愛らしさと、空の美しい景色の中に、鬼のオレンジ色の顔が覗いている違和感も、楽しさに変わっていく、とっても面白さ満載の絵本です。
☆あらすじ
子ども達に大人気な、【おにがはら公園】では、いつも、「ぐあーっ!ぐおーっ!」と大きな音がしています。それはまるでいびきのようです。
沢山の子ども達が遊んでいると…
「うーん、むにゃむにゃ・・・」という声が聞こえました。
すると遊んでいた子ども達はいっせいに、駆け出して、隠れました。
おにがはら公園の地面が盛り上がり、オレンジ色の丸い形が、ぐぐぐーと起き上がってきました。なんとそのオレンジ色の丸い形は鬼の顔だったのです。黄色い両手もあくびをした時に背伸びをしたような感じで、上に伸びてきました。
そうです、【おにがはらこうえん】は、鬼のお腹の上にあるのです。
公園で遊んでいた子ども達は、目を覚ました鬼に見つからないように急いで隠れたのでした。
そしてまた、鬼はゴロンと仰向けに寝そべって、大きないびきをかいて、ねむってしまいました。子ども達は、今がチャンス!と公園へ戻ってきました。
しばらく遊んでいると、「うーん、むにゃむにゃ」と鬼が起きそうな声がして・・・。子ども達は「鬼が起きるぞ!隠れろー!」と大急ぎで隠れます。
鬼が寝たら子ども達が遊んで、鬼が起きそうになったら見つからないように急いで隠れて・・・そんな事を繰り返しながら、おにがはら公園で遊ぶ子ども達。
ある時、遊ぶのに夢中になった子ども達。
1人の男の子が、鬼が起きそうになったことに気がつかず、逃げ遅れ、鬼に捕まってしまいました。男の子は大きな声で泣きました。
すると不思議なことに、鬼はもっと大きな声で『泣かないでよー!みんなと一緒に遊びたいだけなんだよー。うおーん!』と泣いて言いました。
鬼の目から涙がポロポロ流れました。すると、その涙が固まって、白い”こおに”の姿になるのでした。
鬼の気持ちを知った子ども達は、もう鬼の存在が怖くありません。
”こおに”と手を繋いでかけっこしたり砂遊びしたり、日が暮れるまで沢山遊びました。
そして、沢山遊んだ子ども達とこおには、夕日が沈むころ、家へ帰って行きます。
こおにも、へその穴に帰って行きました。
「ばいばい!また遊ぼうね!」と手を振って別れます。
夜になりました。空には美しい星が輝いています。
おにがはら公園には「ぐあー!ぐおー!」と、いつもより幸せそうないびきの音が響き渡っています。
☆書店員の感想
子ども達に大人気な”おにがはら公園”は、なんと鬼のお腹の上にある公園です。鬼が寝ている間に遊んで、起きそうになったらすぐに隠れないといけません。さあ、どうしてかな?
美しい芝生が一面に生えている公園には、沢山の子ども達が遊んでいます。しかし、美しい景色には似合っていないような「ぐあー!ぐおー!」という大きないびき声がします。あれれ?ここはどんな場所なんでしょうか?
子ども達は滑り台を滑ったり、ブランコでお友達とお話しながら過ごしたり、竹トンボや縄跳び、ラジコンを楽しんでいる子など、様々な遊びが自由に出来る広々とした公園。こんな広々とした公園なら、好きなことを存分に楽しむ事が出来ます。
しかし、いびき声が変わった瞬間に、子ども達は遊びをやめて急いで逃げていきました。そして見つからないように隠れます。 どうしてでしょうか?
それは・・・鬼が「うおーん!」と起きるからでした。
鬼には長い手があります。逃げても見つかってしまっては大変!捕まったらどんな事が起きるか分かりません。
だから、子ども達は逃げていくのでした。そして、また鬼が寝るのを待ちます。いびき声が聞こえたら、眠ったサインです。子ども達はまた、公園に来て遊び始めるのでした。
ある時男の子が鬼に捕まってしまいました。さあ、どうしよう!男の子が泣き出すと、もっと大きな声で泣き出した鬼。そして涙をポロポロ流すのでした。この後、鬼との友情が芽生えます。もう怖い公園じゃなくなるんです!
逃げ遅れた男の子が、捕まってしまいました。恐怖で泣く男の子。しかし、それよりもっと大きな声で泣いたのが鬼でした。男の子はビックリします。『なんで自分を捕まえた鬼が泣くのかな?』と不思議に思った事でしょう。
鬼は言います。「みんなと遊びたいだけなのに」と。
そうなんです。鬼は、一緒に遊びたかったのに、みんなが逃げて居なくなっちゃうから、寂しかったのです。
その事を知った男の子と、周りの子ども達は、ようやく鬼の気持ちを知ることが出来ました。『そうだったの?僕たちを食べたりイジワルしたかったんじゃないんだね!』と、安心したのではないでしょうか。
そして、鬼の涙から生まれた”こおに”と子ども達は、夕方家に帰るまで一緒に遊びました。
嬉しくて嬉しくて、仕方がなかったことでしょう。
今夜は、いつもより気持ちがいい大きないびき声が、おにがはら公園に響き渡っています。