こうくんとちいさなゆきだるま
冬にピッタリ!冬や雪を思いっきり楽しめるお話です。こうくんと雪だるまの不思議な体験!雪だるまと一緒に、バスに乗って雪の町で遊びましょう!
☆3つのおすすめポイント
- こうくんは、こうくんが作った雪だるまと一緒にバスに乗ってお出かけすることになりました。着いた先は…!?とっても楽しいある町でした!
- 冬の景色・雰囲気・楽しみがぎゅっと詰まっています。冬が待ち遠しくなるような、ワクワクがたくさんです!絵も可愛らしくて、細かいところまで描きこまれています。
- 冬の日の楽しみといえば、なんでしょう?寒くなったら何をしたい?雪が降ったら…。冬の楽しみを親子で話し合うのもいいですね。そんなコミュニケーションも広がりそうです。
☆あらすじ
こうくんが住む町に雪が降りました。たくさん積もって、あたりは真っ白です。こうくんは嬉しくなって雪だるまを作りましたが、「そんなにちびじゃ、すぐに溶けてしまうよ」とお兄ちゃんは意地悪をいいました。
こうくんは消えてしまうと聞いて、ちょっぴり悲しくなってきます。
夜になっても雪だるまのことが心配でなかなか眠れず、そうっと窓を覗きました。
すると、小さな雪だるまに手と足がはえ、とことこと歩き出しました!
こうくんは追いかけていきました。
すると、通りに雪のバスがやってきました。雪だるまはこうくんに気付き、こうくんも一緒にバスに乗るよう誘ってくれました。
バスの中は雪だるまでいっぱい!みんな、どこへ行くのでしょう?
バスが着いたのは、真っ白な雪の町でした。小さな雪だるまも、バスから降りて駆け出しました。
まず最初に入ったのは雪のレストランです。こうくんと雪だるまは、うんと冷えたハンバーグを食べました。おいしい!でも冷たい!とこうくん。
次に行ったのは雪のプールです。雪だるまたちは浮き輪を使ったり、自由に泳いだりして楽しんでいます。こうくんも足をつけてみました。とっても冷たい!冷え冷えです。
雪の商店街にも行きました。凍った野菜に、冷やしたてパン、売っているものが全部冷えています。こうくんがかぶったかっこいい帽子もとっても冷たいです!
商店街を抜けた先にある丘の上では、雪だるまたちが騒いでいます。雪だるまとこうくんも丘を駆け上がっていきました。
丘の上では雪だるまたちがみんなで準備体操をしています。しっかり体を動かしたところで、雪だるまたちは、丘の上からごろごろごろ~!と転がりだしました。こうくんと小さな雪だるまも、雪だるまに押されて一緒に転がります!丘の上から転がった雪だるまたちは、どんどんと大きくなっていくのでした。
こうくんや雪だるまたちは雪まみれになりましたが、大きくなって嬉しそうです。
こうくんは体が冷えて寒くなってきたので、家に帰ることにしました。
すると、小さな雪だるまは、「ぼくはこのままここにいるね、この雪の町でうーんと大きくなるよ、ぼくのこと作ってくれてありがとう」、と言い、雪の町に残りました。こうくんはちょっぴり寂しそうですが、バスに乗ってお家に帰りました。
次の日になって、庭を見たお兄ちゃんが「やっぱり雪だるまとけちゃったね」と言いましたが、こうくんはふふふと笑いました。
小さな雪だるまは、大きくなれるよう今日もごろごろ~と転がっているのかもしれません。
☆際立った特徴
表紙から、雪!冬!の描写です。小さな雪だるまと、こうくんの可愛らしいお出かけのお話で、寒い季節ですがほっこりと心が温まるような気持ちになります。
可愛らしい絵と、たくさん出てくる雪だるまたちが楽しい雰囲気で癒されます。
絵本の大きさは26.5㎝×22㎝で、ちょっと大きめの縦長の絵本です。このサイズの絵本の中に、素敵な世界がぎっしりと描かれています。
☆書店員の感想
●こうくんは、こうくんが作った雪だるまと一緒にバスに乗ってお出かけすることになりました。着いた先は…!?とっても楽しいある町でした!
こうくんは雪が降り、嬉しくなって雪だるまを作りました。小さな可愛い雪だるま。頭には葉っぱが1枚ちょこんとのせられています。
雪だるまって可愛らしいですが、いずれ溶けて消えてしまうと思うとちょっぴり寂しい気持ちにもなる存在ですね。そんなこうくんが作った雪だるま。夜になり、こうくんが心配して外を見ると、なんと歩き出しています!雪だるまが歩くって驚きですが、とことこと歩く姿がまた可愛らしいです。
雪で作られたような「雪のバス」がやってきて、雪だるまとこうくんは乗り込みました。
中にはたくさんの雪だるまたち。雪ウサギもいますよ。身に着けているものもさまざまで、個性に溢れとてもにぎやか!楽しそうです。
みんなワクワクした表情をしています。
到着したのは雪の町。ホテルやボーリング場、病院、床屋さんもあって、雪だるまたちもたくさんいます。全部雪で作られていて、冬の雪が積もった時期をとても思い出します。
私の生まれ育ったところは市内でも特に雪が多い地域でしたので、この雪の町の絵を見ると、雪がしっかり降り積もった景色を思い出して懐かしい気持ちになります。雪があまり降らない地域のお子さんでも、雪が降り積もった町を想像して、雪の町に遊びに来たような気持ちになれるように思いました。
こうくんと雪だるまは、レストランで冷え冷えメニューを食べ、雪のプールに入り、商店街でお買い物を楽しみます。
そのあとには、丘の上からほかの雪だるまたちともごろごろ転がって思いっきり楽しんだふたり。雪まみれになるのは冬限定の楽しみですね!冷たいけれど、楽しくてたまりません。
けれど、こうくんは人間、やっぱりちょっと寒くなってきました。こうくんがお家へ帰ろうとすると、雪だるまは一緒にはいかず、ここに残る、と話します。ちょっぴり寂しいお別れとなってしまいましたが、雪だるまは「こうくん、ぼくを作ってくれてありがとう」と言います。この一言を言ってもらえたこうくんは、きっととっても嬉しかったのではないかな、と想像しました。こうくんのおかげで雪だるまになれて、楽しい雪の町にくることができた。雪だるまは本当に感謝の気持ちでいっぱいなんだろうなと思いました。
こうくんは、お家に帰って次の日の朝、お兄ちゃんから「雪だるまやっぱり溶けちゃったね」と言われますが、雪だるまは溶けていない、雪の町で元気に過ごしていることを知っているこうくん。全く気にすることなく、ふふふと笑います。またいつか会えるのが楽しみですね。
●冬の景色・雰囲気・楽しみがぎゅっと詰まっています。冬が待ち遠しくなるような、ワクワクがたくさんです!絵も可愛らしくて、細かいところまで描きこまれています。
どのページを見ても、一面銀世界です。夏に読んだら涼しくなれて、暑い時期に読むのもまた良いのかもしれません。
表紙をめくった内側には、雪だるまたちが運動したり、踊ったり、可愛い仕草の子たちがたくさん描かれています。
水彩絵の具でふわっと塗られたような絵で、きっちりとした描写はなく、雪のふんわり感や優しく温かい雰囲気が絵から伝わってきます。雪も白、水色、グレー、青色…などなど、いろいろな色と組み合わせて濃淡が表現されていて、同じ雪でも奥行きを感じるようです。
また、こうくんと雪だるまが乗ったバスの中にたくさんの雪だるまたちが乗っていましたが、商店街や町の中に出てきますので、探しながら読み進めていくとさらに楽しめそうです。到着した時に見える町の風景の中に、このあと雪だるまとこうくんが行った先のお店やプールなども描かれていますので、どこにあるかな?とどこに行ってみたいかな?とお子さんと一緒に見てみるのも楽しそうです。
雪の町の食べ物や売っているもの、すべて冷たくキンキンに冷えているものばかりですが、雪だるまたちが可愛く楽しく過ごしている姿が描かれていて、雰囲気はとても温かいように感じました。
また、裏表紙のカバーの内側には、バスに乗ろうとする雪だるまの姿があります。こうくんのところに遊びに行こう、と出発するところのようで、雪の上を転がって大きくなった姿をこうくんに見てもらいにいくのでしょうか。最後に楽しみがさらに広がって、このあとふたりはどう過ごすのか気になり、余韻を楽しめます。
●冬の日の楽しみといえば、なんでしょう?寒くなったら何をしたい?雪が降ったら…。冬の楽しみを親子で話し合うのもいいですね。そんなコミュニケーションも広がりそうです。
冬の日、雪が降る地域も、あまり降らない地域の方も、もし雪がいっぱい積もったら何をしたい?と聞き合ったりするのも楽しそうですね。
私が小さいころは、雪がたくさん積もる地域だったので、スキーウェアで登下校した時もありました。そのときは必ず雪の上に座って椅子を作ってみたり、ふわふわの雪の中に後ろ向きにダイブして、自分の姿を雪に残す、というような遊びもしていました。(笑)
かまくらを作ったり、そりも楽しかったです。この絵本の中にもそりで移動して、そのそりの後ろにさらにそりがつながっていてそこへ荷物を入れている雪だるまもいますね。一人乗りや三人乗りのものもあって、楽しそうです。
雪だるまの商店街には、手袋のお店や長靴のお店もあります。なにを身に着けているのかは雪だるま次第…といった感じで、いろんな雪だるまが描かれています。お気に入りの雪だるまを見つけて、作ってみるのも楽しそうに思いました。
寒くて日も短くて、大人にとっては冬は毎年大変かもしれません。(笑)けれど、この絵本を読むと冬が楽しみになる、寒いけれど心がほっこり温かくなる1冊のように思いました。
- 作品名:こうくんとちいさなゆきだるま
- 著者名:はせがわ さとみ
- 出版社:小学館