こぐまちゃんのみずあそび

ユーチューブ動画で保育士書店員が詳しく解説しています

夏の読み聞かせにピッタリ!ダイナミックな水遊びを楽しみ、最後は泥んこになります。身近な生き物との関り・学びもほんのり感じさせます。

☆3つのおすすめポイント

  1. じょうろを持って花の水やりをするこぐまちゃん。花の水やりから始まり、池の金魚さんへ、地面を歩くアリさんへ、水を撒いていくのですが…。アリさんにとってそれは迷惑なことだったかもしれません。
  2. しろくまちゃんも加わり、ホースで水遊びへとエスカレート!子どもらしいダイナミックな遊びへとと変わっていきます。水を掛けてしまったアリさんを葉っぱのボートに乗せてあげるます。思いやり・優しさを感じる場面。
  3. 表情の変わらない登場人物達。だからこど、こぐまちゃん達の言葉に耳を済まし、遊んでいる様子をじっくり見てみましょう。すると、こぐまちゃん達がこの時どう思っていた、感じていたのか伝わってきます。見る人によって感じ方が違う所も面白さです。

☆際立った特徴

こぐまちゃんシリーズ15冊の中の1冊です。

じょうろで花に水やりをする所から、だんだん子どもらしい発想の遊びに展開していきます。ダイナミックに水遊びを楽しんでいくこぐまちゃんとしろくまちゃん。泥んこになって家に帰るのですが、お風呂場でもさらに水を楽しむ様子が描かれます。

子どもにとって自然・身近なものの全てが遊びに繋がっていき、その柔軟な発想力の素晴らしさに、大人は驚くことでしょう。

本書の終わりに、作者森比左志さんの”「こぐまちゃんのみずあそび」のねらい”と題のついた話が載っています。幼児期のイタズラの大切さや、水遊びから学ぶこと、そして、本書の見どころを紹介しています。

作者が本書で伝えたいことを、ストレートに受け取ることが出来ると思うので、必見です。

参考文献】絵本ナビ

「今日から役立つ絵本選びのヒント」(こぐまちゃんの全てが丸わかりです!)

こぐま社相談役佐藤英和さんインタビュー(こぐまちゃん大解剖!!など・・・)

こぐまちゃんのみずあそび 表紙

☆あらすじ

こぐまちゃんがじょうろの中に水をいっぱい入れて、花に水をあげます。

水やりは、こぐまちゃんの仕事です。

水やりって面白いな。

池の金魚ちゃんにも、じょうろで水をあげます。

金魚さん気持ちいいかな?ふんすいだよ。

地面を行進するアリさん達にも水をまいてあげます。

暑そうだね。お水あげるね

でも、アリさんは急に空から水が降って来てビックリ!

そこに、しろくまちゃんがホースを持って来たよ。

僕も持ってくるから、待っていてね!

ホースで水を掛け合いごっこ開始!

冷たくて気持ちがいいね。とっても面白いね!

大きな水たまりができたよ。川みたいだね。葉っぱを浮かべて遊ぼう。

葉っぱのボートだよ。

アリさんも葉っぱのボートに乗っているよ。競争だね。

水遊びは、もうおしまい。

二人ともたっぷり遊んで、泥んこまみれ。お家に帰ろう。

家でお風呂に入るこぐまちゃん。

お母さん、泥んこ流れたよ。とってもキレイになったよ!・・・あれっ?

洗面器を帽子みたいに頭に乗せたら、シャワーの水滴が、パラ パラと聞こえるよ。

シャワーの音、面白いね!

こぐまちゃんのみずあそび 裏表紙

☆書店員の感想

じょうろを持って花の水やりをするこぐまちゃん。花の水やりから始まり、池の金魚さんへ、地面を歩くアリさんへ、水を撒いていくのですが…。アリさんにとってそれは迷惑なことだったかもしれません。

花に水をあげていたこぐまちゃん。花の中からバッタがピョーンと飛び出しました。

次は金魚さんのいる池にじょうろで水を撒きます。すると、水面で跳ね返って弾けた水の粒が噴水のように見えたこぐまちゃん。きっと、こぐまちゃんは「面白い!」と楽しくて嬉しい気持ち。

きっと「金魚さんも、噴水喜んでくれているかな?気持ちがイイかな?きっと喜んでくれているよね。」と、金魚さんの気持ちを想像したのではないでしょうか。

次は、アリさんにも撒いてあげたら喜ぶかな?と思ったこぐまちゃん。じょうろの水を一列で行進するアリさんの上からパラパラパラと撒きました。

するとどうでしょう。急な水に驚いたアリさん達は列を乱し、中にはひっくり返ったアリさんもいます。

こぐまちゃんはきっとその様子を見て、「嫌だったかな?迷惑だったかも?」と感じとった事でしょう。

子どもはみな、自然や身の回りの生き物と関りながら成長していきます。言葉が通じない相手ですから、想像の中で、相手がどう思ったのか、嫌じゃなかったかな?と感じ取り、次に生かしていきます。

こぐまちゃんは、今回、アリさんにとって迷惑な事をしてしまいました。さあ、この後どうなるでしょう。

しろくまちゃんも加わり、だんだん子どもらしいダイナミックな遊びへとと変わっていきます。水を掛けてしまったアリさんを葉っぱのボートに乗せてあげるます。思いやり・優しさを感じる場面。

こぐまちゃんとしろくまちゃんは、お互いにホースを持ち寄り、水の掛け合いっこを始めました。「冷たくて気持ちがイイね!」と大はしゃぎの二人は、足元に水たまりができたことに気がつきます。そして、ホースを下に置いて、今度は水たまりに葉っぱを浮かべ始めました。

水が流れて川のようです。スイスイと流れる葉っぱはまるでボートのよう。

ここで、こぐまちゃんはアリさんたちの事を思い出しました。「さっきはごめんね。ボートに乗せてあげるよ」と思いついたのか、葉っぱの上に1~2匹ずつ乗せてあげました。ボートはスイスイ流れて行きます。アリさんも乗っています。これはもう小さなボートレースを見ているかのようです。「がんばれ!がんばれ!進め!」と二人は見守っていたのかもしれませんね。

大人なら、これもアリさんにとって迷惑な事じゃないかな?と思うかもしれませんね。

でも、きっとこぐまちゃんは、ボートに乗せてあげた事でアリさんを喜ばせてあげたられた!と思ったからではないかと思いました。

アリさんを思いやる気持ちや、優しさを感じるシーンだったと、私は思いました。

生き物の気持ちをしっかり理解するのは難しいかもしれません。子どもは、まだ完ぺきではありませんよね。このシーンでは、だからこそ、何度も生き物と関り、イタズラしたり、良いと思う事をしてあげて、その中で、相手の気持ちを考え、感じる事の大切さを学びました。

子どもにとって、自然や身近な生き物は、とっても素晴らしい先生なのかもしれません。

表情の変わらない登場人物達。だからこそ、こぐまちゃん達の言葉に耳を済まし、遊んでいる様子をじっくり見てみましょう。すると、こぐまちゃん達がこの時どう思っていた、感じていたのか伝わってきます。見る人によって感じ方が違う所も面白さです。

家に帰ったこぐまちゃんは、お母さんに言われてお風呂へ直行しました。そして、泥んこになった体をキレイに流すのですが、ここでこぐまちゃんは気がつきます。

「洗面器を頭に乗せたら、シャワーが当たって、パラパラパランと鳴って面白い!!」と。

しかし、表情は・・・無表情に見えます。

読者は、えっ?楽しそうじゃないけど?とその絵を見て疑問を持つかもしれませんね。

もう一度、絵をよく見てみましょう。

大きなたらいの中に入りながらシャワーを浴びて、周りにおもちゃを置いて、洗面器を頭にかぶっていますよ。パラパラパラと洗面器の音が聞こえてきそうです。きっとこの後もおもちゃでも遊ぶんだろうなと想像も膨らみます。

だんだん笑っている顔に見えてきませんか?

こぐまちゃんシリーズでは、登場人物全てが無表情に見えるような、顔をしています。しかし、それは読者の感じ方によって笑っていたり、泣いたり、困ったりと見え方が様々に変化させることが出来るという事だと思いました。

どうぞ、想像を膨らませて、登場するもの全ての感情を読み取ってみてください。するとあなたが感じた通りに、表情の見え方が変っていきますよ。

なんで無表情?と思わないでくださいね。とっても魅力的で素敵で面白いんです★

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。