こどもかいぎ

子ども同士で話し合いが出来るようになってくる4・5歳にピッタリ!お友達や家族と、色々な議題を持ち合って話し合ってみたくなります!

☆際立った特徴

  • 子ども達が集まって「こども会議」が開かれる。
  • 議題は「怒られた時どうしたらいいか」。
  • 1人ずつ意見を話すうちに話し合いはヒートアップ。
  • 「謝る」「笑ってごまかす」「泣く」以外の…素敵な提案とは?
  • 子ども達の素直な意見や、怒られた時、親がどんな風に見ているかの表現が面白い。
  • 読者も会議の一員になったつもりに!
  • 独特の絵の具使いで、恐ろしい迫力満点の怒り顔や、柔らかく優しい表情など、場面によって様々な雰囲気を感じさせる。

☆読み聞かせのポイント

  • こども会議に参加した気持ちで、自分だったらどうしたらいいと思う?と話してみましょう!
  • お母さんはどうして欲しいかなと、保護者としての意見を話してあげるのも良いのではないかと思います。もちろん大人も悪いことをした時どうするべきか、話してみましょう!
  • 大人として、どんな𠮟り方をしているのか・・・と振り返る1冊にもなります!
こどもかいぎ 表紙

☆あらすじ

会議室に、スーツ姿の子ども達が集まり円になって座りました。

議長の男の子が「ゴホンッ」と一咳。

今日の議題は【怒られた時は、どうしたらいいか】について。

子ども達は1人ずつ意見を言い合います。

ごめんなさいと謝った方が良いとすぐに手を挙げる子。

すぐに泣いちゃうのはどうかな?という子。

えへへ!って笑ってごまかしちゃえばいいんじゃない?いう子。

子ども達は、自分が怒られた時、お母さんお父さんがどんな様子か話し始めました。

目が吊り上がって怖い顔をするママ。鬼みたいに「残さず食べなさい」っていうパパ。

真っ赤な顔で妖怪みたいになっちゃうママや、口から火を吐く怪獣みたいなママもいるそうです。

うちのママの方が!うちのパパの方が!だんだん子ども達もヒートアップ!

しかし、シーンと一瞬静まりかえった時、女の子が手をあげました。

「私のお母さんは、よくギュッとしてくれるんだけど、ギュッとされたら私は嬉しい気持ちになるの。だから、怒られたらまずギュッとするのはどうかな・・・」

子ども達はみな、ギュッとして謝った時の事を想像しました。

『とっても良い考えだね』

その時です。ようこ先生が「お母さんお迎え来たよー!」と呼ぶ声が聞こえます。

本日のこども会議はこれで終了。次々にお迎えがきて、元気よく子ども達は帰って行きました。

お家に帰ったけんた君。さっそく怒られそうになっています。

すると・・・。けんた君はお母さんにギュッ!と抱きつき、ニッコリ笑顔で

「お母さんごめんね。あのね・・・」

と話し始めました。

☆書店員の感想

「こども会議」という設定が面白い作品。子どもならではの考えや、「自分の方が!」となぜか”怖い親自慢”に発展しちゃうところが子どもらしい!

始め、子ども達が登場する場面で、子ども達はみな会議室にスーツ姿で集まってマイクの前に行儀よく座ります。

なんだか本当に大切なことを話し合っている雰囲気を感じます。そんななか、今日の議題の発表です。【怒られた時はどうしたらいいか】

子ども達にとって、とっても重大な課題ですね!

「すぐ謝っちゃえばいいんじゃない?」「泣いちゃえばいいよ」「笑ってごまかしちゃう・・・」と意見を言い合う子ども達。それには実は訳があるんです。

子ども達のそれぞれの保護者の怒った時の姿を、『角の生えた鬼みたい』『火を噴く怪獣みたい』『顔を膨らませた妖怪みたい』等と表現し発表します。とっても子どもらしい表現だし、怒った顔を的確にとらえているな、面白いなと感じました。

しかし、それぞれ色んな表現をしているけど、結局子ども達にとって、保護者の怒った顔は”何よりも恐ろしい物”だという事なのでしょうね。

だから、まず怖い顔を何とかしたくて「謝るしかない。」「笑うしかない。」「泣いちゃうしかない」と思ったのではないかと感じました。

もし子どもを怒る場面があった時、一方的に叱るのではなく、子どもの意見をよく聞いてあげなきゃなと感じさせてもらった作品でした。

そもそも・・・。私達親も、叱る時の事を考えなくてはなりませんね。悪いことを正したり直してほしいから叱るのであって、強い恐怖を与えてしまっては、伝えたい事よりも、「お母さんが怖いからダメだ」としか伝わっていないかもしれません。

本書は保護者にとって、叱り方を考え直すきっかけになる絵本なのかもしれませんね。

私も子どもを叱る時、つい大きな声でガーッ!と怒鳴ってしまいます。おそらく鬼のような顔をしている事でしょう。子どもにその時、何を分かって欲しかったのか、伝わっていたかというと不明です・・・。きっと怒られたからやめておこうかなという感じだと思います。

叱り方って難しいですよね。

本書を読んで、私は考えさせられました。子どもにとってどんな伝え方が一番理解してもらえるのか。難題ですが、ギュッと抱きしめてから落ち着いて伝える方法も試してみたいと思いました。

独特の絵の具使いで、恐ろしい迫力満点の怒り顔や、柔らかく優しい表情など、場面によって様々な雰囲気を感じさせる。

色使いの面白い作風だと思いました。絵の具の混ぜ方、重ね方、チョイスの仕方が独特だと思いました。表紙でも分かるように、子ども達の眉毛や目の周りの色使いがよく思いつくような色ではなく、黄色や水色で、とっても素敵だなと思いました。子供らしい可愛らしさをとても感じたからです。

一方で、本書の中の怒った時の保護者(妖怪・怪獣・鬼・)やケンカ場面は強さや恐ろしさなど迫力を感じます。こんな風に子ども達に見えていたなんて・・・これは恐怖でしかないなと、とても面白くもありながら、反省する自分もいます。

ぜひ親子で手に取って、中を見て楽しんで欲しいなと思います。

こどもかいぎ 裏表紙
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。