しんかんせん で ビューン
新幹線や電車、乗り物が大好きな子にピッタリ!いろんな種類の車両と、大きな駅も出てきて、ちょっとドキドキ…な男の子と、旅行気分で楽しめます。
☆際立ったポイント
- たくさんの新幹線が登場!乗り物好きにはたまりません。見開きで大きな駅のようすも描かれていて、迫力満点!新幹線や特急が並んでいるようすは圧巻です!
- けんたははじめて一人で新幹線に乗ります。ちょっとドキドキな一人旅です。初めての一人の挑戦、大冒険な気分です。
- 隅々まで楽しめる絵と、小さなところにもセリフが書かれていて、ついついじっくり読みたくなります。新幹線の車内や、駅、いろんな地域の風景もお腹いっぱい楽しめます。
☆あらすじ
けんたは、おじいちゃん、おばあちゃんの家がある秋田県から、新幹線に乗って熊本県まで向かいます。
初めて一人で新幹線に乗るけんた。心配そうなおばあちゃんにお別れをして、けんたは新幹線に乗り込みました。秋田の田園やお祭りの横を通りながら、新幹線は走ります。
途中で新幹線は、東北新幹線と連結しました。
けんたの隣に大きなおじさんが来ました。けんたは緊張してきゅっとなります。
そんな中、新幹線はどんどん東京駅に近づいて来ました。ここでは、けんたは一人で乗り換えです。
無事に乗り換えて新幹線で進み、今度は新大阪駅で山陽新幹線さくらに乗り換えました。
順調に乗り換えましたが、トンネルに入り、けんたはキップがないことに気付きます。ドキン ドキン、けんたの胸が強く鼓動します。
よ〜く探すと、上着のポケットにありました。けんたはホッと一安心。ちょっぴり涙が出そうになりました。
新幹線は夕焼けの中を走り続けます。
無事にけんたはお母さんと妹のマコちゃんが待っている熊本駅に到着しました。
☆際立った特徴
けんたの、はじめてのドキドキの一人旅、はじめての挑戦です。
けんたがキュッと緊張したり、ちょっとドキドキしたり、キップが見つかって喜んでいる表情など、見ていて一緒にドキドキしたり、応援したくなってきます。
いろんな種類の新幹線が出てきて、車両の全身の姿や、近くから見た視点、車両が連結するシーンなど、迫力のある新幹線がたくさん描かれています。
新幹線の描写だけでなく、秋田駅から熊本駅へ向かう途中の地域の風景もたくさん描かれ、方言でのセリフも読んでいると旅行に行ったような気分で、楽しめます。
細かく、ページいっぱいにぎっしりと描き込まれていて、新幹線も、自然の絵も、小さな登場人物たちも丁寧に描かれていて見ごたえがあります。
この新幹線乗ったことがある!今度乗ってみたい!と、いろんな発見・出会いがありそうです。
☆書店員の感想
●たくさんの新幹線が登場!乗り物好きにはたまりません。見開きで大きな駅のようすも描かれていて、迫力満点!新幹線や特急が並んでいるようすは圧巻です!
どのページにも、かっこいい新幹線が描かれています。
裏表紙にもいろんな新幹線の種類が描かれていて図鑑のようです。
走っているようすはタイトル通り「ビューン!!」と走っているような勢いのある描写です。
表紙や、2,3ページの赤い秋田新幹線こまちは、新幹線ですが田んぼのすぐそばを走り、臨場感があります。走っている新幹線の姿を間近で見られることはほとんどできないようにも思うので、近くを通り抜けていった新幹線を見られたような気分になります。
新幹線同士の連結の場面も2台が大きく描かれ、とってもかっこいいです。
新幹線の車体の絵だけでなく、横から新幹線の中が見られるような描写もあります。新幹線の中で各々過ごしている人たちの様子が見られて、ほのぼのとした風景です。
新幹線が走る都会を、空からの視点で見た絵が2ページに渡って描かれています。上からの広々とした視点で、新幹線と町並みが一緒に楽しめます。都会の中に張りめぐらされた線路の上を、新幹線や電車が走っています。電車や新幹線といった乗り物が、私達の生活になくてはならないものだということが感じられます。
東京駅も見えますし、スカイツリーや埼玉県の大宮駅、すぐ近くの鉄道博物館もあります。よく見ると、栃木県の看板や、高崎駅もあります。見れば見るほどいろんな発見がありそうです。
ここの空からの絵の2ページが左右に見開きになっていて、開くと4ページ分の大きさになり、そこに東京駅の中がドドーン!と描かれています。東京駅の新幹線が並んでいるホームと、その下の改札や売店のある階が上下に分かれて描かれ、見開きページの上3分の2は新幹線がズラッと並び、残り3分の1の部分には売店でお買い物している人たちや、新幹線の改札を通るお客さんなど、細かく描かれています。かんたもどこかにいますよ。そして、かんたのことが心配でついてきたおじいちゃんも、かんたのあとをついていっています。よ〜く探してみてください。
ここでは、新幹線や特急電車の並ぶ姿が圧巻で、見開きページを開いたときのワクワク感は想像以上に思います。
ホームの音声、出発の合図の音、周囲のにぎやかな音・話し声、新幹線の走る音、ホームの下で働く人達など、いろんな音が聞こえてくるような風景です。
●けんたははじめて一人で新幹線に乗ります。ちょっとドキドキな一人旅です。初めての一人の挑戦、大冒険な気分です。
けんたははじめて、一人で秋田駅から熊本駅まで移動します。
乗り換えも2回あって、男の子にとっては大きな挑戦ですね。
けんたは一人ではありますが、実は心配でこっそりとついてきているおじいちゃんの姿も。こっそりと描かれていますので、こっそりと探してみてください。(笑)
そんなけんたも、東京駅で無事に乗り換えることが出来ました。3番ホームに乗り換えですので、赤い秋田新幹線からこのエスカレーターで降り、こっちに進んで3番の乗り場に行くんだね、と東京駅の見開きページを見ながらお子さんと一緒に確認することもできます。駅の構造や、乗り換えの仕組みも少し知ることができそうです。
けんたが乗り換えた東海道新幹線のぞみで、さらに進んでいきます。
途中、富士山のところでドクターイエローとすれ違いました。なかなか見られないというドクターイエロー。富士山の近くですれ違えるなんて、幸運なけんたですね。
長男はこの絵本が大好きで、このシーンで富士山を覚えたように思います。そして、それからどの山を見ても「富士山!」というようになりました(笑)私もちょっといじわるなので、「そうだねー、見れて良かったねー」と適当に返事をしていた記憶があります。(笑)
また、富士山の近くの空に一富士二鷹三茄子も描かれていて、遊び心たっぷりです。
今度は、新大阪駅でも乗り換えです。新大阪駅の近くの空からの絵でも、大阪城や通天閣、近くの京都の風景や、神戸を代表するタワーや甲子園球場などが描かれています。大阪の近くにはこんなものがあるよ、と教えてあげるきっかけになりそうです。
にぎやかな関西の町、いいですね。旅行に行った気分にもなりますし、旅行に行きたくもなります。
勢いよく走る新幹線の中、けんたは切符をなくしてしまったと焦ります。助けてくれるお父さんやお母さんなどの大人はいません。一生懸命探します。
必死に探し、上着のポケットから見つけ出しました。あったー!と喜ぶけんたを乗せた新幹線は、尾道を走っています。瀬戸大橋やしまなみ海道が美しく、都会と違って海や山を線路が走っていますので、どことどこの線路が繋がっているのか、指でたどってみたくなります。
夕焼けの中を走る新幹線。都会から静かな田舎の風景にも、新幹線は溶け込みます。
夕焼けに照らされた水面と、緑の山々、新幹線の窓から溢れる明かり。船のキラキラしている明かりも混じり、ゆったりとしたすてきな風景です。
熊本駅に近づいてきたかんたの安心感も、この風景から感じるような気がします。
けんた、よく頑張りました。ちょっと心細かった気持ちと、お母さんと妹に会えた安堵感で小さなただいましか言えなかったのかもしれませんが、かんたは今回の一人旅で、しっかり成長しているように感じました。
●隅々まで楽しめる絵と、小さなところにもセリフが書かれていて、ついついじっくり読みたくなります。新幹線の車内や、駅、いろんな地域の風景もお腹いっぱい楽しめます。
前述にもある通り、長男はこの絵本が本当に大好きで、何度も何度も読んでいました。まだ文字が読めない頃から読み始めたのですが、場面に出てくる登場人物たちに細かいセリフがついていて、それを隅々までもらさず読むようによくせがまれました。
親がこっそり飛ばそうとしても、まだ読んでいないのがわかるようで、「ここはなんて言っているの?」と必ずつっこまれました。
新幹線が通る順番の地域ごとに風景が描かれているのですが、それと同時にその地域の方言でセリフが書かれています。どんな発音、イントネーションなのかイマイチ分からないときもありますが、読んでいると、こちらまで楽しくなってくることが多かったです。
あきたこまちを作っているであろう、秋田の田園風景では「おはよがんすー」とあります。盛岡駅の連結シーンでもおばあさんが「ありがとうがんす」と言っていて、がんす!?とびっくりしました。ですが、一度本物の「がんすー」を聞いてみたいです。
関西ではお決まりのセリフでしょうか、「なんでやねん」というセリフもあります。中国地方では、「そうじゃろ、またきんさい」、熊本駅に近づくと「あぎゃん、たくさん」「かわいかね、好きばい」など、普段言うことのない他方の言葉を声に出して言ってみると、読めば読むほど楽しくなってくるように思いました。
新幹線の中でも、シートを回したり、楽しく遊んだりご飯を食べたりしている家族の風景とセリフとが書かれているので、読んであげるととても楽しそうに聞いていました。
また、新幹線の車内を横から見た絵で、男の子がお父さんとうんちを頑張っているシーンがあるのですが、そこでは「うんちちゃん、うんちちゃんでておいで」とお父さんが声をかけ、男の子が「うーん、うーん」と頑張っている姿があります。このシーンも長男はとても大好きで、実際に自分のうんちのときにも一人二役で言っていました。(笑)私も真似をして言ってみたりして、何気ないワンシーンですが、長男の生活の一部となっていきました。
セリフや効果音などいろんな字体で書かれ、そのものの様子が伝わってくるようです。
表紙の裏には新幹線の線路図があり、長男は自分が乗ったことのある新幹線を確かめたり、おもちゃの新幹線がどこにあてはまるのかを確認したりしていました。
本当に、隅から隅まで楽しめる絵本です。新幹線大好きな子も、大人も子どももワクワクすること間違いなしです。
- 作品名:しんかんせん で ビューン
- 著者名:作 視覚デザイン研究所 絵 くにすえ たくし
- 出版社:視覚デザイン研究所