すいかのめいさんち
夏の暑い日にピッタリ!スイカが大好きな男の子の願望がいっぱい詰まった絵本★
☆特徴
・神奈川県三浦半島の町がモデル。
・作中に登場する【下里ファーム】実際にある店。
・現実の自分と夢に溢れた空想の世界の二部構成。
・俯瞰で見下ろす町の様子はどこもかしくも「スイカの一色」
・スイカと共に暮らす人々。心も体もスイカが大好き!が町の人々から伝わる。
☆読み聞かせのポイント
- 町を俯瞰で見下ろしたページでは、男の子がスイカを買ってから、どの道を通って家へ帰ったのか、ストーリーを読み返しながら辿ることができます。下里ファームから探してみましょう!
- スイカの商品があちこちに描かれています。お店の中はもちろん、景色の中に「スイカ」のついた商品が沢山あります。探してみましょう!
- 家族がスイカを食べるシーンは幸せいっぱいで、こちらまで幸せな気分になります。「美味しそうだね。1人で食べるのも美味しいけど、家族でワイワイ食べるともっと美味しいね」。
☆あらすじ
僕が住んでいるこの町は、スイカが沢山採れる、スイカの名産地。
町の人も僕も、みんなスイカが大好き!
今日も美味しいスイカを求めて、僕とお母さんと妹で近所の農家さんの所に買いに行ったよ。
大きくて甘そうなスイカを購入!3人で順番に持って帰ったよ。
僕の頭の中は、このスイカを食べる事でいっぱいになっちゃった!
まるかじりしようかな。固いから無理かな。それならスルスル―と皮を剥いてもらって食べられるかな。ストローで吸っても美味しそう♩
うっとりしてたらお母さんに言われちゃった。
「まさか、一人で食べる気じゃないでしょうね?!みんなで食べるんだからね!」
家につくと早速庭でスイカを冷やしたよ。
みんなも庭に集まって来て、さあ、包丁で切って一緒に食べよう!いただきまーす!!
口の中の種はもちろんペッ!ペッ!と庭に飛ばしたよ。
スイカの種から芽が出て、伸びて、グングン育って、家の周りがスイカでいっぱいになったらいいな♩
そしたら僕の家は【スイカの名産地】。
丸ごとぜーんぶ、僕のスイカになるね☆そうだったら、嬉しいなぁ。
☆書店員の感想
まさにスイカの街。スイカ天国。スイカ大好き!が本書の表紙から、町全体・人々から溢れています。
本書の最初のページは、町を空から見下ろしたような、全体像が見えるようなアングルで(俯瞰で)町を描いています。
この町には、スイカのモニュメント・スイカ商店・民宿西瓜・西瓜バス交通・西瓜の畑と直売所があります。
人々の姿を見て見ると、保育園児たちがスイカ畑を散歩しています。沢山の人が泳いでいる海水浴場の名前はスイカ海岸です。
赤と緑のスイカ模様のツアーバスもあれば、タクシーの屋根に乗っているライトもスイカの形です。きっと沢山のお客さんを乗せて走っているのでしょうね。
そんな町で暮らす主人公の「僕」は、スイカが大好きな年長さんくらいの男の子。
こんなにスイカに囲まれていたら嫌にならないのかな??と心配になるかもしれませんが、大丈夫。大好きなんですって!
スイカ!スイカ!スイカ!でいっぱいのこの町は、「スイカの名産地」。
いくら食べても、町中の物がスイカでも嫌いだなんて思いもしません!
甘くて美味しいスイカが町中に溢れています!
「ぼく」のスイカ愛は群を超えています!町中にスイカがあるのに、頭の中もスイカで一杯なんです!
美味しいスイカを求めて農家さんに直接買いに行った男の子とお母さんと妹。大きくて美味しそうなスイカを選んで買って帰りました。
そんな農家さんの様子を見ると、丁寧に丁寧に磨きお店に並べています。愛情をたっぷりもらって育っているんだなという事が伝わってきます。
そんな中、男の子は大きなスイカを買ったそばから、頭の中までスイカで一杯になります!!
「一人でガブリと食べたいな。ストローをさしてスイカジュースを飲みたいな。」
思っていることが顔に出ちゃってニヤニヤ・・・と、しています。その顔だけで男の子が1人でスイカを食べるつもりなのでは?!とお母さんに悟られるほど、ニヤニヤなのです。スイカを食べたい気持ちが溢れ出てしまっていますね。
ここまでくると、そんなにスイカが好きなのかと、男の子の一途な愛に感動してしまいます。
男の子からだけでなく、町に住む人々からも、景色からも、様々な場面でスイカ愛を感じることが出来ます。
一人で食べるスイカも最高だけど、やっぱり家族みんなで食べるスイカは世界1!!
縁側に自然と集まってきた男の子の家族は。夏の暑さの中、汗を流しながらそれぞれ思い思いの時間を過ごしています。碁をさすおじいちゃん、庭の植物を世話するおばあちゃん、ビーチボールで遊ぶ妹。お父さんも仕事から帰って来たようですよ。どうしてみんなは縁側に集合したのでしょう?
それは、スイカを冷やしている男の子とお母さんに気がついたから。たらいに水を張って、ホースで水を掛けています。ちょうど冷えて食べ頃かな??なんて家族は察したのかもしれません。
大きく切り分けたスイカをそれぞれ手に持って、縁側で並んで食べます。食べたスイカの種は、口からペッ!と勢いよく飛ばしました。
何て大胆な!と驚くかもしれませんが、それにも理由があるようです。
スイカの種が捨てられたのは庭の土の上。種からいつか芽が出て、ぐんぐん伸びて、ツルを伸ばして、家中を囲んで、スイカが沢山育つかもしれない!「そうなったら僕の家はスイカの名産地だ!」なんて男の子は願望を抱いています。何て素直で可愛くてユニークな夢なのでしょう☆
そうなったら素敵だねって読者も心の底から思うラストシーンです。
- 作品名:すいかの めいさんち
- 著者名:作 平田昌広 絵 平田 景
- 出版社:鈴木出版