そらいろのたね
大きくなっていく『そらいろのたね』。どんなふうになっていくのかがとても楽しみでワクワクお話が進んでいきます。最後の展開にもビックリ!たくさんの動物が出てきますので、動物が好きな子にもピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- キツネと交換したそらいろのたね。ゆうじは愛情たっぷりに水をあげ、育てていきます。どんなふうに育つのでしょうか、お話の展開が気になっていきます。
- 大きくなったそらいろのたねを見てビックリしたキツネ。最初は自分が持っていたたねだ、と独り占めします。すると…!予想外の展開に驚きと、みんなで仲良くすることの大切さを教えてくれます。
- ぐりとぐらシリーズで人気の中川李枝子さんと大村百合子さんが描かれたお話です。可愛いイラストと、キレイな配色が素敵で、お話の世界にどんどん引き込まれていきます。
☆際立った特徴
絵本は、20㎝×27㎝の横長のかたちの絵本です。表紙は、白い背景に、背表紙の部分にそって1㎝ほどタイトルのような「そらいろ」が塗られていてさわやかな素敵な印象です。
ゆうじがキツネに宝物をあげ、そのかわりにキツネから「そらいろのたね」をもらいます。その「そらいろのたね」がどのように成長していくのか楽しみなストーリーであり、ゆうじのたねに対する愛情にほっこりとするお話でもあります。そして、最後には「独り占めしては、欲しいものもなくしてしまうよ」「みんなで仲よくしよう・分け合いましょう」というメッセージが伝わってくるようです。
ぐりとぐらシリーズを描かれた中川李枝子さんと大村百合子さんの作られた絵本で、可愛らしい絵とドキドキの展開が広がるすてきな世界観のお話です。
☆あらすじと書店員の感想
●キツネと交換したそらいろのたね。ゆうじは愛情たっぷりに水をあげ、育てていきます。どんなふうに育つのでしょうか、お話の展開が気になっていきます。
ゆうじは野原で遊んでいると、キツネに声をかけられます。ゆうじの宝物の飛行機がほしい、と言われますが、宝物なのでやはりあげられませんね。しかし、キツネはポケットから「そらいろのたね」を取り出し、これと交換してほしい、と言います。
するとゆうじは、飛行機とそのそらいろのたねを交換することにしました。優しいゆうじですね。
種からなにが生まれてくるんだろう、そう思うとわくわくしますね。ゆうじは家に帰り、さっそく庭に種を植え、水をあげました。石で囲った中に植えて看板も立て、分かりやすくしています。種を植えるときから大切にしています。
「そらいろのたね」から何ができるかな、と想像しながら読んでいたのですが、家が出てきてビックリしました!始めは小さくて可愛らしいお家です。まわりに咲いているチューリップよりも小さいお家で、ひよこが入るのにピッタリの大きさです。
種からなんと家ができるなんて!これからこの「そらいろのいえ」がどんなふうに大きくなっていくのかが楽しみです。
実際にも、種をまくと芽が出て、花が咲いたり、食べ物がなったり…。成長が楽しみになりますね。
長男は小学校に入り、朝顔を育てたり、ミニトマトを育てたりしていました。学校の庭でほかにも育てているものがあったようで、お友達と交代で水やりをしていたそうです。そして、家に持って帰ってきたミニトマトは、自分で育てたものだからかとても美味しそうに食べていました。毎日様子を見て、水をあげたり収穫したり…。素敵な経験だなと思いました。
また、次男も園庭でサトイモやカブを育てているようです。そしてできたものを先生と一緒に調理して食べることもあるようで、以前はにんじん美味しかった~!と帰って来て報告してくれて、それからますますにんじんが好きになっていました。
愛情を持って育てる、というのは本当に素敵なことですね。ゆうじも優しく水をあげ、だんだん大きくなる家にいろんな動物たちが遊びに来てくれるのも喜んでいます。ゆうじの人柄が絵本のお話をより優しく、温かくしてくれているようです。
●大きくなったそらいろのたねを見てビックリしたキツネ。最初は自分が持っていたたねだ、と独り占めします。すると…!予想外の展開に驚きと、みんなで仲良くすることの大切さを教えてくれます。
そのうちに、そらいろのいえは大豪邸になりました。
子ども・動物・鳥たちがそれぞれ100人・100匹・100羽ずつ入っていたのですから、それはそれは大きな家になっていたのでしょう!近所でも有名になっていそうですね。
そこへキツネくんがやってきました。
自分があげたそらいろのたねがお城のように大きくなっているのを見てビックリ!こんなに大きくなっていたら、やはりビックリしますね。
そして、この飛行機を返すから、このお家も返して、とゆうじに言います。
最初に自分が種を持っていたから、この家も自分のものだ、と思ったのでしょうか。まさか種からこんな大きな家が育つとは思わず、うらやましく思ったのかもしれません。
みんなを家から追い出し、家を独り占めしたキツネ。窓も扉も閉め切ると、成長が止まっていた家がまたどんどんと大きくなり始めました。
ゆうじが「おひさまにぶつかる!」と叫んだとき、家が大きく揺れて崩れました。
今まではみんなで仲良く遊んで、楽しい雰囲気だったお家。しかしキツネが独り占めしたことで一変しました。ゆうじが愛情いっぱいに育てたおうちでしたが、おひさまも、そらいろのたねも、みんなみんなこの様子を見ていたのかもしれない、キツネの独り占めのためにはこのお家は不必要だと思ったのかもしれません。そんなふうに感じました。
みんなで楽しく過ごしていたときは、窓にお花も飾られ、窓からはいろんな友達や動物がニコニコと顔を出し、とても素敵な雰囲気でした。キツネが一人でこの大きな家にぽつんといると、少し寂しい感じがしますね。キツネひとりになると、窓の花もなくなり、家もなんとなく悲しんでいるのかな、と感じました。
独り占めしてしまうと、嬉しいのは自分だけ。相手を傷つけてしまうこともありますね。大きくて楽しい素敵な色のお家ですから、いろんな人や動物たちと過ごすとより家が活かされて、嬉しい気持ちのお友達も増えます。独り占めするより、みんなで分け合って仲良くすることの大切さをメッセージとして伝えているように思いました。
●ぐりとぐらシリーズで人気の中川李枝子さんと大村百合子さんが描かれたお話です。可愛いイラストと、キレイな配色が素敵で、お話の世界にどんどん引き込まれていきます。
お話の中では、背景が白色で、最初はゆうじがたねを植えるシーンなどありますが、見開きのページの中央に「そらいろのいえ」が大きくなっていく様子が描かれています。背景の白色と家の水色がキレイに映えています。そして、まわりに描かれたチューリップの赤・黄色の配色や、ブタ・ひよこ・ねこ、そのほかの動物たちも可愛らしく描かれています。大きな家に入っていくところ、キツネに追い出されて出てきたところでは、「ぐりとぐら」もさりげなく描かれていますので、ぜひ探してみてください!
ほかの動物たちも、2足歩行のゾウやいのしし、洋服を着たおおかみのような動物もいて、子どもたちとも仲良く過ごしています。キツネに追い出されて少し寂しそうな表情をしていますが、怒っている子はおらず、動物たちともコミュニケーションをとっているようすがなんだかほっこりします。今まで仲良く遊んでいたんだな~と感じます。
そらいろのいえの色合いと、動物たち・子どもたちの絵がとっても可愛らしく、いろんな動物たちが出てくるのでお子さんも楽しくお話を読み進めるように思いました。また、ページをめくっていくごとにどう進展してくのか、お家の成長がどうなっていくのか気になり、まるで一緒に成長を見守っているようです。展開が楽しみになるお話に、どんどん引き込まれていくように感じました。