ぞうくんのさんぽ

ユーチューブ動画で絵本専門書店員が詳しく解説しています

ほのぼのとした、ぞうくんたちが可愛い!動物が好きな子にピッタリ。分かりやすい絵と文章で、小さいお子さんにもおすすめです!

☆3つのおすすめポイント

  1. ぞうくんがゆったりごきげんでお散歩中。つぎつぎと動物たちに出会って、お散歩が変化していきます。ぞうくんのお散歩、最後にどうなるかな?優しいぞうくん、可愛いお友達にも惹かれます。
  2. 「レタリング」という文字の技法。手書きならではの温かみと味を感じます。ぞうくんたちの雰囲気に、とってもマッチしていて、雰囲気がより素敵になっています。
  3. 長く愛されている「ぞうくんのさんぽ」。カラーも絵も昭和だからって古くない!いつまでもオシャレで新鮮なタッチです。

☆あらすじ

お天気がいい日に、ぞうくんはごきげんでお散歩に行くことにしました。

ぞうくんはかばくんに出会い、一緒に散歩しよう、と誘います。

するとかばくん、ぞうくんの背中にのせてくれるなら行ってもいいよと言いました。

ぞうくんは快く、いいよ、と答えます。

力持ちのぞうくん、すんなりとかばくんをのせて進み始めます。

そのまま散歩をしていると、つぎはわにくんに出会いました。

わにくんにも、一緒に行こうと誘うと、ぼくものせてよ、とお願いされてしまいました。

ぞうくんの上には、かばくんとわにくんがのっています。

さすがに重そうなぞうくん…。

今度はかめさんに出会います。何しているの、と聞かれたので、散歩だよ、一緒に行こうとぞうくんが声をかけました。するとまたまた上にのせてよ、とお願いされてしまいます。

わにくんの上に、かめさんものりました。

すると…

うわー!どぼーん!

バランスを崩して4匹とも倒れてしまい、池の中に落ちてしまいました。

ビックリしましたが、そのあとみんなで楽しく水遊びをしました。

ぞうくんのさんぽ 表紙

☆際立った特徴

1968年発行の、人気ロングセラー絵本です。

動物たちのキャラクターがころんとして可愛らしく、色合いも素敵です。

また、絵本の文章は、ストーリーの内容に合わせて手書きする「レタリング」で、作者のお兄さん、なかのまさたかさんが描かれています。絵とお話の内容と、手書きの文字たちを存分に味わうことで、絵本の良さがさらに楽しめます。

絵本は27㎝×20㎝で、縦長の絵本です。ぞうくんたちが上に重なっていくようすが、縦長の絵本の中にチャーミングに描かれています。

☆書店員の感想

●ぞうくんがゆったりごきげんでお散歩中。しかしつぎつぎと動物たちに出会って、お散歩が変化していきます。ぞうくんのお散歩、最後にどうなるかな?優しいぞうくん、可愛いお友達にも惹かれます。

紫色のような、ラベンダー色のようなぞうくんが散歩をしています。ころんとした体に、短い足、少しくねっとした鼻、小さめのつぶらな瞳が可愛らしいぞうくんで、とっても優しそうに感じます。

お天気がいいと、出かけたくなりますね。

ぞうくんはかばくんに出会います。体の半分が口で、横長のコッペパンのような形の体です。その体の中心の上部分に目があるかばくんです。体はオレンジとピンクが混ざったような、ピンク色っぽい茶色にも見えます。お互いにっこりとしていないような表情で描かれていますが、お互いに挨拶して一緒に散歩に行こうとぞうくんが誘います。そこで、背中にのせてほしいとお願いしたかばくん。ふたりはぎゅっと近づき、次のページでは大きなぞうくんの背中に、かばくんがのっています。大きなぞうくんですが、うまくのりました。そんなようすが、二人の仲が良いようすを感じさせてくれます。

今度は、茶色のわにくんに出会います。ワニと言えば緑色ですが、この絵本では、ココアをちょっと薄くしたような茶色のワニです。けれど、不思議と違和感は全くなく、逆に可愛さが増しているように感じます。

そしてなんと、どうやってのったのか、わにくんはかばくんの上にうまくのりました。3匹のバランスがなんとも言えません。縦長の絵本にちょうどいいバランスで描かれているようにも思いました。この絵本のサイズがバッチリちょうどいいようにも感じてきます。

重いけれど、頑張って体の上にのせてあげるぞうくん。優しいですね。

そこへ、3匹と比べるととっても小さなかめくんと出会います。そして、かめくんものせてあげることにしました。

かめくんを頭の上にのせると、目の前に池があります。そして、ぞうくんの前足が少し曲がっているようにも感じます。なんだか嫌な予感…。(笑)

と、そのとき、4匹がバランスを崩して倒れてしまいます。…が!!

倒れた先は池の中。そう、4匹みんな水が大好きないきものたちですね。お散歩が一変、楽しい水遊びになりました。天気がいいのでちょうどいいですね。

結果オーライなところがまた安心して楽しく読めるところでもあるのかもしれなしと思いました。池に落っこちて、池から顔を出しているきょとんとしたみんなの表情が、時間が止まっているようで面白く、可愛らしいです。

動物たちは表情の変化は大きくありません。ちょっと上を向いたり、顔の傾きが違ったりはしていますが、がははと笑ったり大きく泣いたり、そんな変化はありません。しかし、ほのぼのとした描写、文章、目の向きや動物たちの様子から、穏やかさや楽しさが伝わってくるようです。読み手の感じ方で動物たちの表情の見え方も変わってきて、そこもこの絵本の楽しみ方の一つかもしれないように思いました。

●「レタリング」という技法。手書きならではの温かみと味を感じます。ぞうくんたちの雰囲気にとってもマッチしていて、雰囲気がより素敵になっています。

この絵本は兄弟で描かれていて、作・絵のなかのひろたかさんが弟さんで、レタリングのなかのまさたかさんがお兄さんだそうです。

お兄さんのまさたかさんのレタリングで書かれている文章ですが、はじめ見たときはパソコンやプリンターで打ち込まれた文字かなと思いました。けれど、どことなく趣があるように感じます。そして、4匹が池に落ちたときの「どっぼーん」と言う文字の濁点が水しぶきのようになっていて、絵ととってもマッチしています。この字体と、絵と、点々で周囲の濃淡を変化させている背景すべてがバランス良く、「ぞうくんのさんぽ」の世界観を作り出しているように思いました。見れば見るほどに味わいを深めていくような感じがします。

●長く愛されている「ぞうくんのさんぽ」。カラーも絵も昭和だからって古くない!いつまでもオシャレで新鮮なタッチです。

ぞうくんのさんぽの本はシリーズになっていて、ほかに「ぞうくんのあめふりさんぽ」「ぞうくんのおおかぜさんぽ」「かめくんのさんぽ」があります。2020年の今年で、ぞうくんのさんぽ発行から52年たっているのですね。著者のインタビューでも、「50年読まれる絵本が描けたことに感慨深く思う」、「ぞうくんよくぞ50年散歩を続けてくれた」、と書かれています。

また、絵や色合いなどが全然古臭く感じず、むしろ新しくてオシャレな絵本にも感じます。別のインタビューでもあるのですが、著者のなかのさんもなぜ古臭く見えないのだろうと考えたそうです。

きっと、デフォルメがうまくいったんじゃないかな、となかのさん。わにくんの色やかたち、背景の木もすべてイメージで描いたそうで、そのすべてが見事にマッチしたのですね。

体のほぼ半分が口のかば、そう思ってかばを見ると不思議にも見えてきますが、形がとにかく可愛いと感じます。みんなころんとしていて、3匹の色の組み合わせも素敵です。

後ろに描かれている木も、葉っぱがギザギザしていて大きいものや、ヤシの木のような木、池に近づくと太い幹に小さい葉っぱの木になり、その木の変化も楽しいです。

動物たちの色具合も、木々の色合いも素敵です。最近アースカラーというちょっとくすみがかったような色が流行していて、その雰囲気も感じます。絵を描かれたなかのひろたかさんは、絵の色合いにもこだわっておられて、ぞうくんの体や葉っぱの色を、何回かに分けて重ねて塗っているとインタビューで話されています。べたっとではなく、ふんわりと塗られたぞうくんたちのシンプルな絵に、奥行きを感じます。年月がたっても色褪せず、どの時代にもマッチしていくような絵本に感じました。ぞうくんとかばくんとわにくんとかめくんの絶妙な色の組み合わせがオシャレに感じます。パキッとした原色のような色は一切使われず、ほかの何かの色と混じったような色が、見ているほうも安心感と穏やかさを感じさせてくれるように思います。

シンプルな絵とシンプルなお話ですが、長く愛される要素がぎゅっと詰まった絵本のように思いました。

ぞうくんのさんぽ 裏表紙
にむさん
  • にむさん
  • 現在8歳と3歳の男児の育児に奮闘中です。
    兄が弟に絵本の読み聞かせをしてくれることもあり、そこから学ぶことも多い日々です。
    短大で介護の勉強をし、介護福祉士を持っています。