たからもののあなた
「大好きだよ」と子どもに伝えましょう!気持ちを伝える時にピッタリ!毎日忙しい大人に是非読んでほしい絵本☆
☆3つのおすすめポイント
- 毎日朝から大忙しのお母さん。うさぎのフウは、お母さんが大好き。いつも一緒にいたいけど、少しだけ、いつも”我慢”です。
- お母さんを想って描いたお母さんの絵を早く渡したいフウは、仕事で遅くなるお母さんの帰りを待ちますが、フウが起きている間には帰ってこれず・・・帰りを待って起きていようとするのですが。早く渡したいな。早く会いたいな。
- 渡すはずの絵が濡れてしまいました。少しの我慢が溢れ出て大泣きするフウ。お母さんの気持ちが分からない。寂しいよ・・・お母さんはギュッと抱きしめてフウに語りかけます。抱きしめて「大好きだよ」を伝えてあげるお母さん。
☆あらすじ
うさぎのフウは今日も元気に起きました。「お母さんお母さん!」お母さんともっと一緒にいてお話したいけど、お母さんは朝から家事に仕事に行く支度に大忙し。お母さんはフウを保育園に預け、仕事に向かいます。
保育園での今日の活動は”大好きな人を描くお絵かき”です。フウはニッコリ笑顔のお母さんを描きました。早くお母さんに渡したいのですが、お母さんはお仕事で遅くなることがわかり、今日はおばあちゃんのお迎え。
ちょっぴり寂しいけど、おばあちゃんと夕食を食べ、お風呂に入り、寝る支度をしてお利口で待っていました。「お母さんが帰るまで起きてるの!お母さんに見せるんだから。」眠い目をこすりながら一生懸命起きていましたが・・・気づけば朝になっていました。
「お母さんに見せなくちゃ!」しかしお母さんはまだ眠っています。お母さんを喜ばせようと、朝ごはんの支度をしようとしたその時、牛乳をお母さんを描いた絵に掛けてしまいました。
フウは大ショック!そこにお母さんが急いで起きてきました、フウの目に涙が溢れ悲しい気持ちと自分を好きじゃないのではと不安に思う気持ちをお母さんにぶつけます。
お母さんはフウをぎゅーっと抱きしめ、「好きじゃないなんてあるわけない。フウはお母さんの1番の宝物だもの。あなたがこの世で一番大好き」と優しく答えます。
お母さんの気持ちがフウに伝わり、フウはもう不安な気持ちはなくなりました。それから保育園へ行く時には2人の約束ができました。“ぎゅーっ”それは「大好き」のしるしです。
☆際立った特徴
朝起きて、1番にお母さんを探すフウ。お母さんに1番に会いたいのでしょうね。お母さん大好き!でもお母さんは朝から大忙しです。フウの顔を見てお話する時間さえないようです。
ご飯と支度が終わればすぐに幼稚園・仕事に行かなくてはいけません。すぐにバイバイの時間です。フウはそれでも楽しく過ごします。ミイちゃんの家でもお利口でお母さんの帰りを待ちます。おばあちゃんのお迎えになり、せっかく描いた絵をすぐに渡せなくても、おばあちゃんの言うことを聞いて待っています。小さいのにとっても健気で優しいフウ。だけど我慢や不安がどんどん積み重なっていきます。「お母さんともっと一緒にいたいな」「ミイちゃんはママといつも一緒で羨ましいな」と我慢していた心が、牛乳をこぼしてしまった事で、涙となって溢れ出ます。
力強く抱きしめたフウのお母さんの、つらい思いをさせてしまったという、言葉にならない感情や、フウのもしかしてお母さんは私を好きではないんじゃないかという不安な気持ちがスーと溶けていくように感じます。フウ良かったね★フウの気持ち伝わったね!と心から思います。
いつも相手を想っていても、なかなか伝わらない事もあるし、忙しさにかまけて相手と向き合うことをおろそかにしてしまうことって、どうしてもあります。だけど、伝えなくちゃダメですね。向き合って話をしないと伝わりません。「大好きだよ」と子どもに伝えましょう!大切なことです。それを教えてくれる、お母さんお父さんの為の絵本です。
お子さんではなくても、誰かに寂しい想いをさせてしまった時に、そっと読んでほしい大人の為の絵本でもあります。
☆もっと詳しくストーリーを深堀り
お日様がキラキラと輝き、朝の光が部屋中に差し込みます。女の子のうさぎのフウが元気いっぱいに起きます。「おはよう!お日様!」お母さんどこかなー?
お母さんは朝から大忙し。お洗濯に朝ごはんの準備。スリッパの音がパタパタッと聞こえます。あっちへこっちへ動き回っています。フウと話はするものの、「あれもしなきゃ。これも!」と、フウのお顔を見る暇もないほど。顔を見ないで返事をしてしまうぐらい、お母さんは忙しそうです。今日は幼稚園が終わったら、仲良しの猫のミイちゃんのお家に遊びに行くことになっています。「お母さん、ちゃんとミイちゃんのお家に迎えに来てね!」フウは忘れていないか心配です。『ええ、もちろん わかっているわよ。』とお母さん。さあ、用意ができました。急いで幼稚園に出発です。幼稚園に着くと、仲良しのミイちゃんに会えました。園の先生にフウちゃんを預けると、「それじゃあ フウ、行ってくるわね!みんなと仲良く楽しくね!」お母さんはそう言うと、また駆け足でお仕事に行ってしまいました。
園では楽しいお絵かきタイムが始まりました。「みんなが大好きな人を描きましょう」フウもミイも迷わず”お母さん”を描くことにしました。お母さんの事をいっぱい思い浮かべて、大好きな気持ちを込めました。早く、お母さんに見せたいな★
幼稚園が終わり、ミイちゃんのお家に帰ったフウ。ミイちゃんのお家には小さな妹たちが3人。ミイちゃんのお母さんは3人とミイちゃんとフウのおやつのクッキーを準備して待っていました。「これお母さんと一緒に作ったの」食べながらミイは嬉しそうに話しました。”いいなぁお母さんと一緒につくったんだ・・・“
その時、チャイムが鳴りました。フウのお迎えです。「お母さんだぁ」ドアを開けるとおばあちゃんでした。お母さんのお仕事が長引いて、帰りが遅くなるそうです。今日はおばあちゃんと夕食を食べてお風呂に入って、ということになってしまいまた。”お母さんに早く渡したいのにな。お母さんに会いたいな・・・”
夜になり、寝る時間です。おばあちゃんが本を読んでくれます。「そろそろ寝ようか」おばあちゃんは布団をかけてくれました。でも、フウは眠たいけど寝たくありません。目が閉じそうになるけど、こらえています。「お母さんが帰るまで起きてる!お絵かき見せるんだから!」 と言いながら眠ってしまいました。
・・・・・・ピチチチチ 小鳥のさえずりが聞こえます。お日様の光が差し込みます。目の前にお絵かきが丸めて置いてあります。フウはハッと目を覚ましました。「お母さんにお絵かき見せなくちゃ!」お母さんはまだ寝室で寝ています。きっと夜遅くに帰ったのです。「そうだ、フウが朝ごはん用意してあげよう。お母さん喜ぶかな」フウは台所に行き冷蔵庫から牛乳を取り出そうとしました。めいっぱい手を伸ばしたその時です・・・バシャーン!!牛乳パックを落としてしまいました。運悪くお母さんを描いた紙に中身の牛乳がこぼれて、ぐっしょり濡れています。フウの目に涙が溢れてこぼれました。
「どうして お母さんはフウと一緒にいてくれないの。フウの事が好きじゃないの?フウはずっと一緒にいたいのに!!」フウはわんわんと大きな声で泣きました。
お母さんは膝をついてフウをギューッと抱きしめます。「好きじゃないなんてあるわけない。だってフウはお母さんの1番の宝物だもの。大好きで大好きで大好きだもの。」お母さんはフウを包み込むように抱きしめながら言いました。体から優しい石鹸の匂いがしました。
お母さんフウの事をいつだって考えていること、離れていてもいつでも想っていることをフウに伝えました。「フウもお母さんのこといっぱい考えてお絵描きしたよ。お母さん 一緒だね」フウも心を込めて描いた絵を渡すことが出来ました。二人の目の涙は消え、ニッコリ笑顔です。心が通じ合いました。そして、お母さんは膝の上にフウを座らせるように抱き、話します。
「一緒にいない時も忘れないで。フウはお母さんの大事な宝物。この世で1番あなたが大好き。ずーっとね。」お母さんはまた、包み込むようにギュッとフウを抱きしめました。
今日もフウは幼稚園、お母さんはお仕事です。今日からフウとお母さんには「いってらっしゃい」の約束が出来ました。もう、寂しくなったり不安になったりしません。だって、”ぎゅーっ!”と抱っこ★それは【大好き】のしるしです。フウ大好き! お母さん大好き!なのですから。
☆書店員の感想
本書を読んでいるうちに泣きそうになってしまいました。うさぎのフウはまだ幼稚園に通う女の子です。毎朝忙しくてお母さんは目も合わせて話が出来ない位動き回っています。お母さんと私が重なってしまったのかもしれません。世のお母さんはみんな朝はとっても忙しいんですよね。
フウの頑張って心を込めて描いたお母さんの絵が、とっても優しく微笑んでいます。お花もいっぱい周りに描いています。きっと普段は優しくて、愛情をいっぱいフウに注いでいるのでしょうね。
でも、だれだって時々「私は愛されているのかな?」って不安になります。フウはまだまだ小さいですから尚の事。いつも我慢をして、寂しさや不安の種が少しずつ増えてしまったら、そこから芽が出て膨らんで、涙の粒が溢れ出します。
分かる分かる・・・寂しかったよね。大丈夫だよ。泣かないで!と、私は読みながら、フウのお母さんと一緒にフウを抱きしめたような気持ちになりました。
私も子どもを働きながら育児をしてきました。時には子どもの顔を見ずに家事に追われる時間もあるし、疲れすぎて子守はTVにお任せして、昼寝をしてしまう時もありました。それだけ必死にやってきたという自分には、正直やってきたぞ!という誇りは持っています。でも、ふと子どもの立場に立った時、友達の家ではこんな事をしているのに、うちではしてくれないと寂しい思いをしていたのかもしれない、私に話したいけど話せない時があったのかもしれない、私と遊びたいけど我慢してTVを見ていた時があったかもしれないと思うのです。
過ぎてしまった時間を取り戻すことは出来ませんが、私は心がけている事があります。それは、フウのお母さんと少し似ているのですが、【朝出かける時は「いってらっしゃい」と元気に顔を見て見送ること。】と、【一緒に夜、絵本を読んでから寝ること。】です。1つ目は実は小学校の担任から1年生の時に聞いた話です。
朝送り出す時に「いってらっしゃい!」と元気に送り出すことが、1日の学校生活のパワーになるから朝はとにかく元気に笑顔で送り出すと良い。逆に叱ったり注意して送り出すと1日中上手く行かずに辛い思いをする子が多いとの事でした。それから出来るだけ朝はパワーを送ってあげたくて、続けています。
実は6年生の長男には、最近「玄関まで来なくていい!」と言われてしまっているのですが、めげずに続けています。嫌がらせに思われない程度に続けていきたいと思います。これまでの見送りで、ちゃんと私の気持ちやパワーが息子の中で蓄積されている証拠かな!?わざわざ毎日見送らなくても大丈夫!ってことかな?とポジティブにとらえたいなと思います。笑
子どもが大きくなればなるほど、伝えることが照れくさい言葉がありますが、私も3人の子供達にそれぞれ【あなたは私の宝物。大好きで大切な私の子ども。離れていても応援しているし、想っているよ】と伝えたくなりました★娘や次男はきっと素直に受け止めてくれるかな。でも、長男は・・・照れて嫌がるかな。笑