だめよ、デイビッド!
やんちゃなデイビッド。子育て中のママ・パパに見て欲しい、大人にもおすすめの絵本。どんなに失敗してもいいじゃない。可愛いわが子を抱きしめたくなるストーリー。
☆3つのおすすめポイント
- やんちゃなデイビッド。いろんな事をして、ママに怒られます。どこに行ったって、何をしたって、ママから見たら危険で失敗しそうな事ばかり。
- ママに反抗して、家の中で野球をしてしまったデイビッド。結果は・・・。悲しむデイビッドをママは抱きしめます。その時は「デイビイ」と愛称で呼ぶママです。
- 子育ての日常を描いたストーリーで、きっと、子育て中の方には「あるある!」と思えることが描かれています。そして、失敗してしまったデイビッドに対して、ママは抱きしめながら、何を伝えたかったのでしょう?
☆あらすじ
デイビッドのママは、いつも言う。「だめよ、デイビッド!」って。
クッキーを取ろうと椅子を持って来たときも、泥だらけで帰ってきたときも、大量のお湯を出してお風呂で遊んでいた時も、「だめ!だめ!だめ!」
うるさいからそのまま裸で逃げたら、「待ちなさい!どこいくのデイビッド!!」
「デイビッド静かに!」「食べ物で遊ぶんじゃないの!」「そんなにいっぱい口に入れなの!」「もうお部屋行きなさい!」
何をやっても、どこにいても、怒られっぱなしのデイビッド。
お部屋で野球ごっこしたデイビッド。「お家の中でしない!デイビッド!」と言われたけどやっちゃって、花瓶を割っちゃった・・・。「ほうら、わかったでしょう!!デイビッド」
「泣かないで、デイビイ。こっちにおいで」ママの胸に抱かれるデイビッド。
「よしよし、デイビッド・・・大好きよ」
☆際立った特徴
子どものパワーってすごいですよね。どんな子だってイタズラしたりやんちゃしたり、ママとパパを困らせる行動をとってしまうもの。主人公のデイビッドは、ぜんぜん悪いことだなんて思っていないだけなんだけど、いつもママに「ダメ!ダメ!」と言わせる行動をとってしまいます。ダメダメばかり言われていたら、なんだか嫌になって・・・。何にも上手くいかないデイビッド。失敗して泣いてしまいます。すると、ママが抱きしめてくれるのです。
子育てしていたら、きっと「ある!ある!」な出来事だらけ。子どもを「大丈夫だよ」と抱きしめたくなる絵本です。
☆書店員の感想
やんちゃなデイビッド。いろんな事をして、ママに怒られます。どこに行ったって、何をしたって、ママから見たら危険で失敗しそうな事ばかり。
本人は全然悪いことをしているなんて思っていない様子です。だけど、ママはビックリの連続!例えばクッキーを取ろうとしている場面は今にも椅子から落ちそうになっています。泥だらけになって外から帰ってきた場面では、床を泥だらけにしながら家の中に入ってきています。ママにしたら大事件。家は汚くなるは、デイビッドはケガをしてしまいそうだわで、きっとママは大慌てで「だめよ!デイビッド!」と言ったのでしょう。
大人はどうしても、予測して物事を見てしまうもの。だけど、小さな子どもはそれが出来ません。この後どうなるんだろう?と思えないから、失敗をしてしまう。失敗しないように大人は「ダメよ!ダメよ!」と言ってやめさせようとします。実は、そこに大人と子どもの感覚の違いがあるように思いました。
お風呂の後、デイビッドは裸で逃げちゃいました。そのうしろ姿をを見ていると、『なんだかよくわからないけど、ママはいつも僕を「ダメダメ!」って叱るんだ。なんでなんだろう。もう、逃げちゃえ!』と言っているように思いました。
だけど、逃げようとした事すら「どこ行くの!」と怒られちゃうデイビッド。とても可愛そうに見えてくる一方で、私がママでも、きっとデイビッドのママと同じように怒っちゃうと思いました・・・。
ママに反抗して、家の中で野球をしてしまったデイビッド。結果は・・・。悲しむデイビッドをママは抱きしめます。その時は「デイビイ」と愛称で呼ぶママです。
色んな事に怒られちゃうデイビッド。ある日、家の中で野球をしようとしています。もちろん「お家の中でしない、デイビッド!」とママに言われたのですが、そのまま続行してしまいました。もしかしたら大丈夫だと自信があったのかもしれませんが、今まで怒られ続けていたデイビッドの反抗のようにも見えます。
とうとう花瓶を割ってしまいました。ママの言うことを聞かなかったデイビッドは背中を丸くして泣いています。小さな声で『ごめんなさい』と言っているのかもしえません。そしてこの場面では、ママの気持ちが深く描かれているように思いました。
ママは「デイビイ、こっちにおいで」と呼びました。「デイビイ」はきっと愛称なんだと思います。失敗してしまったデイビッドだったけど、ママはきっと反省している我が子を抱きしめて慰めたい気持ちだったのではないでしょうか。
「デイビイ」と愛称で呼ぶママの気持ちには、色んな感情が詰まっているように感じました。
そして最後に「よしよし、デイビッド・・・だいすきよ!」と、頭を撫でました。
その言葉の中には、どんなに失敗したって、どんなに悪いことをしたって、きっといつかは分かるようになる・・・。いつだってママはデイビッドの味方よ。愛しているよ。と、伝えているのではないでしょうか。
子育ての日常を描いたストーリーで、きっと、子育て中の方には「あるある!」と思えることが描かれています。
痛いほど分かっちゃう母心でした。怒りたいわけじゃない、注意したいわけじゃない。ただ、子どもが危険のないように、失敗しないようにと思うと、何もかもが気になって「ダメよ!」と私もついつい言ってしまいます。
おそらく、私の子どもはデイビッドの気持ちがよく分かるのかもしれせん。あれもダメ、これもダメ、と言われてやりたいことが出来ないストレスは、きっと大きかった事でしょう。でも、ママは心配なんですよね。そして、片付けなどの仕事を増やしてほしくないというのも本心だったりします。主人公デイビッドのママも私も似たところがあると思いました。きっとケガをしないか心配だし、散らかしてほしくないのでしょう。
私は、子どもが失敗してしまった時、私も一緒に反省することがあります。「ダメよ!と頭ごなしに言わずに、理解できるようにもっとちゃんと説明すればよかったな」と。そうすれば、自分からしないように気を付けれたのかもしれないと。
そして、私もよく怒った後に子どもを抱きしめながら、「今度はちゃんと説明しよう」と心で誓います。『大すきだからね!』と言いながら。
もしかしたら、デイビットのママも抱きしめた時に私と同様に反省し、誓ったのかもしれませんね。
- 作品名:だめよ、デイビッド!
- 著者名:作 デイビッド・シャノン 訳 小川仁央
- 出版社:評論社