うしろにいるのだあれ
春の訪れを感じる絵本。動物たちに癒やされたい時にピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- 1匹だった【ぼく】は、ひとりじゃない。みんなが側にいます。
- 動物たちの足音や、空気の冷たさ・暖かさまで伝わってくる絵です。
- 絵の具の質感が、動物たちの暖かさや優しさを表しています。なでたくなります。なんだか癒やされます。
☆あらすじ
パタパタパタッ 小鳥たちが飛んで来ました。
ここは大きな木が植えてある場所です。まだ葉っぱも数えるほどで、冬から春に移り変わる3月頃なのでしょうか。地面も少し冷たそうです。
トコトコトコ・・・主人公の犬の【ぼく】が来ました。「何か面白いことないかなー?」なんて思って歩いているのでしょうか。
するとぼくの後ろに誰かいる気配がして、思わず「ぼくの うしろに いるの だあれ」と振り返ります。ノソノソ・・・
【ぼく】の後ろを歩くのは、かめくんでした。
かめくんの後ろにも誰かついて来ていますよ。誰でしょう?
忍び足はお手の物、かめくんに気付かれないように、そーっとそーっと、ついて来たのはねこさんです。
でもでもあれあれ?ねこさんの後ろにも、誰かついて来ていますよ。のっしんのっしん!大きな足音の◯◯さんや、パタパタパタッと飛んできた〇〇さん、さぁ一体誰でしょう?
あっちからこっちから、次々に動物たちが登場してきます。なんとも不思議、
さてさて、動物たちは、お話も出来ないほど、遠い場所にいるのでしょうか?
実は、手の届くような距離で、側にいるのでしょうか?
本書の中に描かれている作者からのメッセージです。
「自分の周りをよく見てみてください。きっと誰かいるから」
☆際立った特徴
見開き1ページに、大きく描かれた動物と、その後ろにいる動物の一部分のみが描かれています。
動物たちが1匹(1頭)ずつ、冷たい地面を歩いてくる登場シーンでは、草木など何もない地面から、その足音や、羽ばたく翼の音が聞こえてくるようです。
水でぼやかした様な絵の具で描かれた地面の茶色が、冷たく感じられたり、暖かく感じられたり。
地面の温度が変わると、空気までも変わっていくようです。
最初は【ぼく】は、ここにいるのは自分だけだと思っています。何となく地面の色も冷たく感じさせるのですが、最後は動物たちが集まってきます。
みんなが集まって嬉しい。【ぼく】の心の変化に、地面も暖かい茶色に変化したように見えてきます。
そして、土の色が暖かく感じられてくると、葉がなくて寂しかった大きな木からも、新芽の息吹が感じられてきます。
集まった動物たちから、なんだか楽しそうな笑い声まで聞こえてきそうです。
☆書店員の感想
表紙の犬と、クリーム色のような白の背景。私は初めに、絵本だってわかっているのに、なぜだか表紙の犬をなでてしまいました。犬の目や少し笑っているような口元が「ぼくの体をなでて」と呼びかけているように聞こえたのかもしれません。
そして、背表紙を広げてみると、大きい体の先のしっぽがクルリッと上に上がって、ウキウキしている様子です。きっと楽しい物語なんだろうなって伝わってきます。
【ぼく】の後ろにかめくんがいて、かめくんの後ろにねこさんがいて、あれあれその後ろにいるのはだあれ?
次々に登場する【ぼく】の友達。側にいたんだね。嬉しい!楽しい!いう気持ちが膨らんでいくようです。
本書を読み進めていくと、ねこの後ろにいるぞうの前に鳥が飛んでいって、飛んでいった先の木にりすが登っていて、あれどこに誰がいるのかな??と、大人でも頭が混乱するかもしれません。
でも大丈夫です!今まで1匹(1頭)ずつ登場していた動物たちは、最後いっせいに木の周りに揃って登場します。こんなに近くにみんながいたんだなって分かった時には、私は嬉しい気持ちになりました。
動物たちの楽しそうな様子をみていたら、冷たい風が吹く冬の終わりに、暖かい風が流れ込むように春の訪れを感じました。
- 作品名:うしろにいるのだあれ
- 著者名:accototo(ふくだとしお+あきこ)
- 出版社:幻冬舎