おかしなおかしな おはなしえほん

リビング書店の絵本チャンネルで保育士書店員が詳しく解説しています

おとぎ話の世界にようこそ!登場する全てがお菓子で出来ている不思議で楽しい絵本。可愛いもの好き・クッキング好きにピッタリ!

☆際立った特徴

  • 様々な種類のお菓子を使用した作品。
  • 背景・キャラクターなど全ての物がお菓子で作られている。
  • 見開き1ページにつき1つのおとぎ話・童話の世界を描いている。
  • 添えられた文章には、その話のあらすじと注目ポイントが書かれている。

☆読み聞かせのポイント

  • 見開きごとに物語が違うので、お気に入りのページだけ読むのもいいし、全て読むのも楽しい。
  • おなしで出来ているとは思えない程隅々まで細かく作り上げられている。何で出来ているのか考えたり、どう作っているのか想像すると楽しい。
  • 絵とは一味違う優しい雰囲気。おとぎ話を知っている子でも、違った見方が楽しめる。知らなかった子も、これがきっかけでそれぞれのお話を読むきっかけになる。

☆あらすじ 〈それぞれのページで描かれるおとぎ話のあらすじ〉

・ヘンゼルとグレーテル。森に迷って行った先には、甘くて美味しそうなお菓子の家が。家の中からおばあさんが、こっちにおいでと手招きしているよ。

・赤ずきん。おばあさん家へお見舞いに行かなくちゃ!バスケットを持った赤ずきんちゃんは、道に迷わずおばあちゃんの家まで行けるかな?途中オオカミには気を付けて!

・小人のくつや。夜中に小人たちがクッキーのくつを作っているよ。どんな靴にする?模様はどうしようか?楽しい楽しい靴づくり。目を覚ましたおじいさんはそっとその様子を見てびっくり!

・シンデレラ。「ねずみは馬やおつかいに、かぼちゃは馬車になあれ!」魔女が魔法を唱えると、シンデレラも素敵なドレスと靴に変身!さぁ舞踏会へ向かいましょう。

・塔の上のラプンツェル。塔に1人ぼっちのラプンツェル。動物達が会いに来て、お話したり、花のプレゼントをもらって、ラプンツェルは寂しくないよ。

・おやゆび姫。ツバメの背中に乗って辿り着いたのはお花の国。可愛い妖精たちと素敵な王子様が待っているよ。

・にんぎょ姫。海の中には遊園地があるよ。いつか人間の世界へ遊びに行ってみたいな。

・ブレーメンの音楽隊。今宵は月に一度のコンサート。お客さんもノリに乗って、今日は素敵な夜にしましょう♬

・ピーターパン。フック船長も宝探しの真っ最中。ここは夢のネバーランド。

・ガリバー旅行記。目が覚めた瞬間、体が縛られて動かない事に気がついたガリバー。周りには小人達がスプーンやフォークを持って「お前は何者だ!」と睨んでいるよ。

・ねむり姫。誰が最初に目を覚ますのかな?魔女に呪いをかけられて、みんなスヤスヤ眠っている。

・白雪姫。今日はリンゴのパーティー。みんなで準備を急いでいるよ。あれあれ、そこにいるのは魔女のおばあさん?毒リンゴはお断りよ!

・くるみ割り人形。ボーン、ボーンと時計がなる頃、女の子が小さくなって・・・。くるみ割り人形とねずみ達が戦っているよ。

・不思議の国のアリス。色んな国へ出かけていた白うさぎがアリスの元へ帰りました。アリスと帽子屋さんとティータイム。「他の世界はどうだった?お話聞かせてよ。」

・魔法にかけられたアリス達は、気づけばハートの女王様のお城へ。ご機嫌な女王様とトランプ兵。

楽しい時間はあっという間。お菓子の絵本を開いてまた遊びにおいで。

☆書店員の感想

1ページにつき1つのおとぎ話。その話の1つの見せ場を描いている。可愛すぎて、それがまさかこの話の肝だったり、本当は怖いシーンだとは気がつかないかも・・・。

最初に描かれるのは【ヘンゼルとグレーテル】。シーンはお菓子の家に辿り着いてしまったヘンゼルとグレーテルが、魔女のおばあさんに出会うシーンです。

お腹のすいている二人が、甘い匂いと優しい言葉に誘惑されて、家の中へ入って行っていまいます。

8ページ目に描かれる【ガリバー旅行記】では、小人達に捕まって縛り透けられている、この話の1番の有名なシーンです。いくら小さな小人達でも武器を持っていて大勢。逃げ出す事も出来ず、説明も出来ず、自分はいったいどうなってしまうのかとガリバーは困り顔です。

どちらも主人公たちの大ピンチを描いているのですが、本書の特徴でもある『お菓子で描く物語』のお陰で、怖さを感じません。

「美味しいそうなお家だな。行ってみたいな。」「小さな小人たちの帽子がラズベリーで可愛い!」とお話のストーリーとは違った目線で、絵を楽しむことが出来ると思いました。

赤ずきんのページでは、実は迷路になっていて、おばあちゃんの家までオオカミに気をつけながら進むのですが、オオカミもとっても可愛い風貌のクッキーで出来ているので、おそらく危険に全く気がつかずに、赤ずきんは進んでしまうことでしょう。

添えられた文書はそのシーンのあらすじや、作者の注目してほしい見どころポイントを登場人物の言葉に変えて書いている。ウサギが本書のキーとなる役どころ。

添えられた言葉が、そのシーンのストーリーやキャラクターたちのセリフ等を交えて書かれています。【小人のくつや】は本当は皮の生地で革靴を作るストーリーなのですが、本書の『お菓子』に合わせて、『クッキーのくつ』を小人たちが作るというストーリー工夫されています。小人達にばかり目を向けがちですが、文章の最後に「目を覚ましたおじいさんはビックリ!」と書いている事で、暗い影からそっと覗いたおじいさんが驚く顔に読者は目線を向けることが出来ます。このお話の肝になる出来事です。

・表紙の中にピーターパンの足につかまっている白ウサギがいます。すべてのぺージの文章の中に「しろうさぎと一緒に・・・」「しろうさぎはのんびり・・・」などと白うさぎに注目して欲しいと感じさせる文があります。どうしてなのかな?この物語に関係ないのにな?と最初は思うのですが、その謎の答えは、本書のラストの物語である【不思議の国のアリス】で分かります。実はこの白うさぎ、アリスの中に登場するあるキャラクターなのです。このページで初めて服を着ているのですが、おそらく時計を持ったウサギです。

白うさぎが全ての物語に登場しているんです。どうやら色んな物語りの世界へ遊びに行っているという事のようです。白うさぎが描かれる物語を1つに繋いでいると言えますね。

☆こんな読み方も面白いです!

本書はおとぎ話の背景・キャラクター等の全てをお菓子で作っています。どんなお菓子で出来ているんだろう?と知っているお菓子を探すのも面白いです。「このケーキが食べたいな!」「ここは果物で出来ているのか?」と親子・兄弟で一緒に探して楽しむのも面白いですね。

・右のページに白く区切られた背景の中に文章が書かれています。その文章の前後に左のページに登場しているお菓子の一部のパーツがあり、それがどこにあるのか探しても面白いです。(探し絵本とは違い、そのお菓子自体は一緒だけど、写っている角度や向きが違う事もあります。全く同じというバージョンもあります。)

・もちろん!一人で読むのも楽しい絵本です。細かい描写と可愛らしいストーリーで自分もこの物語に入り込んで楽しめるような感覚になります。小さい頃夢に見た「お姫様になりたい!」「ピーターパンと空を飛んでみたい!」という夢が叶うかもしれませんね。

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。