おばけばたけのおふろやさん

おばけばたけのおふろやさん 表表紙

怖がりのお子さんでも、大丈夫!夏・少しヒヤッとしたい時にピッタリ!おばけの野菜たちがピカピカに変身します。

☆3つのおすすめポイント

  1. 濃いクレヨンの混ざった不気味な色、大人でも恐怖を感じてしまう紫の夜空。そこに1本・・・また1本とやさいのおばけ達が現れます。
  2. おばけの行き先は大きなお風呂。体が温まり、ノビノビゆったり汚れを落とすと、なんと実は立派に実った野菜達でした。
  3. 朝になって、みんなを癒やしたお風呂が動き出し、帰っていきます。誰とどこに帰るのでしょうか。

☆あらすじ

空は紫と青が混ざったような気味の悪い夜の事。ある所に、にんじんの形をした黒いおばけが、どろん。次はさつまいものおばけ?次は玉ねぎのおばけ?ボワーンと浮かび出てきたのは、大きなひとつ目のトマトおばけのようです。

次から次へとおばけたちが、どこからともなく出てきました。

もぐらおばけ?がもぞり・・・

ニョロリと細長い形をしたおばけは何でしょう。

「ケーケッケッケッ!」と言っているかのような、大きな口裂けかぼちゃ。みんなの行き先は・・・

なんと、風呂の中。

どろどろどろん どっぶーん!どろんどろん ぽかぽか 

あれあれ?おばけたちの様子が変わってきました。黒かった体も少しずつ黒が剥がれてきました。表情もなんだか気持ちよさそうです。黒く見えていたのは泥だったようです。ふあ〜 ふあ〜 いい気持ち。

泥が流れて、なんともサッパリしたピカピカのかわいい顔で笑っています。野菜たちは、明日お店屋さんに並ぶそうです。夜が明ける前に野菜たちが帰っていきます。

その時です!突然おばけ畑のお風呂が揺れています。ぐらぐらぐら・・・地震?いえいえ違います。一体どうしたのでしょうか。

向こうの山から、朝日が登ってきました。

手をつないでお家に帰る親子の姿。どこで二人は登場してきたのか・・・それは、読んでのお楽しみ★

☆際立った特徴

ペンとクレヨンで描かれた絵本です。表紙を見ると、何処までが空なのか、畑なのか芝生なのか、何かの影のようでもあるような。登場キャラクターも白目のサツマイモ・一つ目トマト・口裂けかぼちゃ達もお風呂に浸かって笑っています。

異次元世界のような少し怖い雰囲気と、笑っている野菜のおばけたち。恐る恐るページを開き覗いてみると、野菜のおばけたちが、1本・・・また1本と登場です。

中の空の色も独特です。ピンクと水色のクレヨンが混ざっていて大人でも気味が悪く、恐怖を感じさせる紫色。そこに出てくる怖そうなおばけ達の怖さを、さらに引き立てているようです。

お風呂に入ると、おばけからピッカピカの野菜に変身!さっぱりした野菜もきれいになって嬉しそう。明日お店に並ぶ誇らしさまで感じる表情です。

みんなの体の汚れを落とさせてあげていたお風呂(浴槽)。みんなが帰った後に動き出しました。実は、1人前のお風呂となる為にお父さんと離れ1人で仕事をしていた”お風呂の子ども”だったという…衝撃的なクライマックス。

☆書店員の感想

今まで、とよたかずひこさんのたくさんの作品の中で、”怖さ”を感じたことが1度もなかったのですが、本書で初めて、表紙を見ただけで「怖そう。気味が悪い」と思ってしまいました。私の娘も「なんか怖い」と近づこうとしなかったのです。

しかし、勇気を出して1ページ目をめくって・・2ページ目をめくって・・・と読みすすめ、おばけ達がドボンと湯に浸かりました。だんだん、この先が心配になってきました。「この先どうなるんだろう。もっと怖いお話に展開するのかな」

そんな心配が、次のページであっさりと好転しました。野菜たちが笑って、ノビノビゆったりお風呂に浸かっているではありませんか。空だって地面だって明るく感じます。

ピンクと水色が混ざった、気味の悪さまで感じてしまった紫色の空も、野菜たちのキラキラな体と笑顔の上にあると、不思議な事に、星でもキラキラ輝いていそうな明るい夜空に見えてきます。

◎驚きの展開と、その先の親子愛

お風呂が実はお風呂の子どもで、場所も移動できる。まさかのお父さんお風呂も登場!というのには驚かされました。が、お父さんお風呂の子どもをいたわる様子には、人間だって動物だって、お風呂だって、みんな一緒なんだなと感じました。

親は子どもが心配で、愛おしくて、誰よりも応援している。頑張ったことは1番に褒めてやりたい。どの世界にも【親子の愛】が存在するのかもしれません。

『よく頑張ったね』とお父さんが、自分のお風呂に子を入れてねぎらい、サッパリしたからお家に帰ろうかと、お家に手をつないで帰っていく様子。

お風呂の子の「今日1人で出来たぞ。褒めてもらえて嬉しい!」と言わんばかりの誇らしげな表情を見たお父さんも、子どもの成長をにっこり笑って喜んでいるかのようです。

おばけばたけのおふろやさん 裏表紙

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。