しろくまちゃんのほっとけーき

1・2・3歳にピッタリ!ホットケーキを作る楽しみ・誰かと一緒に食べる喜びを感じる絵本。

☆際立った特徴

  • こぐまちゃんシリーズの第3集の中の一作。
  • 黒淵の輪郭と、ハッキリとした色付け。(こぐまちゃん専用の6色インク)
  • ホットケーキを作る過程を細かく絵に。
  • 表情の変わらないキャラクター達。

※あとがきに、作者森久左志さんの【「しろくまちゃんのほっとけーき」のねらい】が書かれています。ホットケーキを作る喜び、過程への興味や魅力、誰かと一緒に食べる喜びを感じて欲しいという想いが書かれています。ぜひ、チェックして下さい!

★こぐま社 「こぐまちゃんスペシャルサイト」 絵本の中では描かれていないキャラクターの細かな設定や、誕生秘話・豆知識などなど、こぐまちゃんシリーズがもっと好きになる情報が満載のサイトです!!

しろくまちゃんのほっとけーき 表紙

☆読み聞かせのポイント

  • しろくまちゃんの作る姿を見て「上手に混ぜているね。今度一緒に作りたいね。」「ホットケーキ食べたくなったね」など、会話を膨らませてください!自分としろくまちゃんを重ねて読み、いつか自分でも作れるかな?と待ち遠しくなることでしょう。
  • 細かく描かれているからこそ、自分でも作っているような感覚になります。疑似体験を楽しみましょう!
  • フライパンで焼くシーンは、フライパンがズラリと並んでいるので、1・2歳頃はどこを読んでいるのか指さしして教えて読んであげるのがオススメです。
  • 「食べたら、洗い物をして片付ける。」まで描かれています。お家でも習慣づけ出来たらいいですよね!「しろくまちゃん達、お片付けしてるね。キッチンまで〇〇ちゃんも運んで片付けのお手伝いしてくれるかな?」など、そんな声掛けに広げるのも◎ですよ!

☆あらすじ

お母さんとホットケーキを作り始めたしろくまちゃん。

調理道具をテーブルに揃えて、次は材料を運びます。

卵を割って、牛乳入れて、よくかき混ぜたら、小麦粉にお砂糖も入れて、

上手にまぜまぜ。

温めたフライパンに生地を入れて、ぷつぷつ焼けてきたらひっくり返して。

いい匂いがしてきたら、そろそろ焼けたかな?

ホットケーキの出来上がり!

こぐまちゃんを呼んで、一緒にホットケーキタイム♬

「お母さんと作ったんだよ!美味しいね。」

食べ終わったら二人でお片付け。

いっぱい食べて、美味しかったね!

☆書店員の感想

「今からホットケーキを作るんだよ!」という喜びを読者も感じるオープニングです♪

オレンジ色のエプロンをつけたしろくまちゃんが登場し、「わたし ほっとけーき つくるのよ」と読者に語りかけるところから、このお話が始まります。

なんだかこの一文を読んだだけで、しろくまちゃんのウキウキしているような、嬉しさで胸がワクワクしている気持ちが伝わってきますね。

とても微笑ましく、可愛らしいしろくまちゃんの姿に、読者はホットケーキ作りを見てみたくなるし、一緒に作りたい!食べたい!という気持ちにさせてくれます。

実は…。この一文は、まだ題名を読む前の一コマなんです。

私は、本書「しろくまちゃんのほっとけーき」が、長年幼い子ども達に愛され続ける理由の一つが、このオープニングなんじゃないかと思いました。

最初の一コマで子ども達の心をつかみ、グッとお話の世界に引き込む魅力を、強く感じませんか。

まだまだ魅力がたっぷり詰まった作品です。もっともっと深堀していきましょう!

作る過程を絵本の中で存分に楽しみましょう!一つ一つの過程が細かく描かれています。小さな子でも分かりやすいです!

本書では、ホットケーキを作る過程を、細かく疑似体験できる所が楽しいポイントの一つです。

まず台所のテーブルに調理器具を揃えていきます。次に材料を準備します。

「フライパンにボウルにお皿を出して・・・」「卵をわって、牛乳入れて、よくかき混ぜて・・・」といった感じで、こぐまちゃんのセリフの中に細かく使った器具や材料の名前、使い方まで登場します。

加えて、「よく混ぜる」とか、「ボウルを抑えないと混ぜにくい」とか、作り方や工夫まで細かく書かれています。料理本なら分かるのですが、なぜここまで細かく過程を書いているのでしょう?

そこには作者森久左志さんの「ほっとけーきが出来るまでの過程にも興味を持って欲しい」という想いが込められているからかもしれません。(本書のあとがきより)

だからこそ、実際に作れるほどまでリアルに表現しているのだと思いました。

一番の見どころは!!

本書の一番の見どころといえば、フライパンで生地を焼くシーンです。

12個のフライパンが見開き1ページにずらりと描かれていているのですが、ここが面白いポイント!一気に12枚焼いているのではなく、時系列に並んでいるんです!

生地をフライパンに流し入れて片面が焼けてきたらひっくり返して、もう片面を焼いて出来上がり!という過程を一つ一つ描いています。

だんだん焼けていく「どろどろ→プツプツ→ふくふく」という音や、「くんくん」と鼻を近づけて感じる匂い、こんがりとキツネ色の焼き目など、見て香って聞いて楽しむ事が出来ます!

出来上がったホットケーキをこぐまちゃんと二人で食べ、二人で仲良く食器を洗って片付けます。

出来上がったホットケーキを、一緒に作ったお母さんと食べるかと思いきや、大好きなこぐまちゃんを招待して二人で食べます。

どうしてなんだろう?と最初私は不思議でした。もしかしたら楽しかった事・嬉しかった事をこぐまちゃんにも共感してほしいし、知ってほしかったのかも?と思いました。

二人は大の仲良し。美味しいホットケーキを食べながら「こんな風に作ってね」「混ぜる時にボウルが揺れて大変だったんだよ」「この時卵を落としちゃってね。」など、会話を楽しんだのでしょう♬

そんな時間が、美味しい物をさらに美味しく感じさせますね。

最後に食べ終わった食器を洗って片付ける姿も可愛らしく描いています。「おいしかったよ!ごちそうさま!」「今度は二人で一緒に作ろうよ!」なんて、二人の楽しそうな会話が聞こえてくるようです。

しろくまちゃんのほっとけーき 裏表紙

登場人物の表情が、まったく変わらない理由と、子ども達がそれぞれ感じ取る自由と面白さ

「こぐまちゃんえほん」に登場するキャラクターは、ほとんど顔が変化しません。(本書の食べるシーンでは口が開いていますが。

でも、読めば読むほど、キャラクター達がそれぞれこの時に何を思い、感じているのか伝わってきます。このシーンは嬉しさで笑顔なんだな。きっとワクワクとはしゃいでいるのかな?なんて。すると不思議とキャラクター達の表情が変わって見えてきます。

とっても面白い効果だなと思いました。

読む人によって、感じ方はそれぞれ。だからこそ「こぐまちゃんえほん」は物語が面白いし、ワクワクするのかもしれません。

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。