たこやきようちえん
かわいいたこ焼きたちが、幼稚園に登園します!優しくて強い、たこの先生と登園で安心♪幼稚園の先生たちと、たこ焼きのお友達たちと、楽しい時間を過ごします。
☆3つのおすすめポイント
- 6個のたこ焼きたちが、幼稚園へ登園します。無事にたどりつけるかな?登園の道のりも、大冒険のようです。
- 子どもたち(たこ焼きたち)が慌てたり、ぐずったり、足が止まっても動じない大きなたこの先生。大きな愛に溢れています。
- 子どもが大好きなたこ焼き。我が家の息子たちも大好きです。美味しそうなたこ焼きが可愛いたこ焼きになっていて、楽しそうな雰囲気、細かい絵や、ちょっぴりこわいところも、場面ごとの様子が伝わってくる絵とお話です。
☆あらすじ
たこ焼き屋さんでは、今日もおじさんが美味しそうなたこ焼きを焼いています。
そのお店の前を、幼稚園の子供達が通って行きました。それを見たたこ焼きたち、幼稚園に行きたいと歌い出しました。すると、それを聞いたおじさんが、たこ焼き幼稚園に電話をかけてくれました。
次の日の朝、おじさんは幼稚園に持っていくお弁当を作ってくれました。たこ焼きのぱっくん、あっちゃん、ふうくん、じゅうくん、ころちゃん、とろちゃんの6人は大喜び。
準備をして待っていると、たこの「たこや きよこ先生」が、迎えにきてくれました。
商店街のお掃除をしていたおばちゃんは、ビックリ!
大きく手を振って、行ってきまぁす!
きよこ先生は手が8本。6人のたこ焼きたちと手をつないでも余裕です。みんなで仲良く手をつないで進みます。
また、きよこ先生は、すべり台やブランコ、鉄棒の真似もしてくれました。みんな幼稚園がとっても楽しみになってきました。
どんどん森の中を進んでいくと、突然1匹の野良犬が現れました。
野良犬はよだれを垂らし、おいしそう、と、たこ焼きたちを狙っています。
さぁ、どうしましょう、とろちゃんが狙われています!
すると、きよこ先生が大きな声で守ってくれました。それでもひるまない野良犬。
きよこ先生はこのような状況でも落ち着いています。
そして大きく息を吸い込み、プー!!っと口からスミを吹き飛ばしました。
野良犬は、あっという間に飛んでいってしまいました。
こわくて泣き出したたこ焼きたち。きよこ先生が優しくギュッとしてくれました。
もう歩けないと泣き出したたこ焼きたちにも、笑顔で接してくれます。
幼稚園へ、最後に長い滑り台を滑って到着です!
たくさんのお友達と、楽しい幼稚園生活の始まりです。
☆際立った特徴
この本は、著者のさいとう しのぶさんが、息子さんとの幼稚園生活の思い出大切にのこしたいという思いから描かれたお話だそうです。幼稚園に通ったり、保育園に通ったり…、子どもの数だけ、楽しい思い出がつぎつぎ増えていきますね。
美味しそうな、可愛いたこ焼きたちが、トコトコ歩いて登園します。
楽しみな幼稚園へ向かう道のりが、まるでワクワクドキドキの冒険のようです。大きな、たこのきよこ先生が、ニコニコ優しく守ってくれて、幼稚園に向かうときも、幼稚園での生活も安心して過ごせます。
ニコニコ、コロコロしているたこ焼きたちのようすが、毎日楽しみでいっぱいな子どもたちのようすと重なって見えてきて、愛らしいです。
細かいところまで描かれている可愛くて優しい雰囲気の絵に、迫力のある犬、たくさんの喜怒哀楽が豊かに表現されています。
たこ焼きたちの賑やかな声が聞こえてくるような、楽しい描写です。
本の最後には、「たこやきようちえん」の歌もついてきて、読んでも歌っても楽しいお話です。
☆書店員の感想
●6個のたこ焼きたちが、幼稚園へ登園します。無事にたどりつけるかな?登園の道のりも、大冒険のようです。
頭に青のり、鰹節をのせて、ソースの香ばしそうな匂いがしてきそうなたこ焼きたち。実際の子どもたちのように、それぞれ個性的です。
たこ焼きの幼稚園、という設定にも面白さを感じます。たこ焼きたちが登園して、たくさん集まっている幼稚園の絵を見ると、子どもたちがたくさん集まっている保育園や幼稚園を感じさせます。たこ焼きたちがだんだん人間の子どもたちに見えてきます。ちょうど学校から帰ってきた長男がたこ焼きのように見えてしまいました。(笑)
幼稚園用にお弁当を作ってくれているおじさん。ミニチュアのお弁当を作っているようで、器用さ・職人技を感じます。
美味しいお弁当を持って登園です!
お迎えにきてくれた、「たこや きよこ先生」と幼稚園に向かいますが、子どもたちはその道程も遠足のように楽しみます。先生と手をつないだり、遊んだり。大人にとってはなんでもない道のりですが、子どもにとっては目移りするものがたくさんありますね。
野良犬が出てきたときはビックリしましたが、きよこ先生のおかげで無事に過ぎることができました。楽しさと、ハプニングも起こる冒険のような道のりでしたが、きよこ先生と一緒なら、それも良い思い出となりそうです。
●子どもたち(たこ焼きたち)が慌てたり、ぐずったり、足が止まっても動じない大きなたこの先生。大きな愛に溢れています。
たこや きよこ先生という名前がユーモアに溢れ、先生の人柄が明るく見えます。タコのようにしなやか、骨は無いけど芯はある、というように感じました。子どもたちが大好きで、温かく広い心を持っているようです。子どもたちにとっては、このような温かい先生は、第2のお母さんのように感じるのでしょうか。たこ焼きたちも、うんと甘えます。
甘える時は甘えさせてくれて、子どもたちの笑顔を第一に守ってくれているような存在です。きよこ先生はほとんどのシーンで笑顔なので、見ているこちらも安心感があります。
長男は本当に保育園に行くのがイヤ!という時期が多く、登園にとても時間がかかりました。駐車場から入り口まで10mくらいだと思うのですが、その距離が何キロもあるように感じた日々でした。
産休中は、長男と歩いて登園していました。今まで10mが何キロもかかっているような感覚とは違い、子どもと歩いて10分の道のりが、あっという間でした。その頃には、保育園に行くのを嫌がることはほとんどなかったので、他愛のない会話をしたり、動物に出会ったり、何か新しいものを発見したりと、親子ともゆとりを持って、お散歩気分で歩いていました。もしかして、こちらの気持ちを察していたのかな?と今では思ったりします。
たこ焼きたちの登園の道のりも、きよこ先生との大切な楽しい時間ですね。
途中で出会った野良犬も、きよこ先生が追い払ってくれましたが、裏表紙ではすっかり仲良くなっています。
これからは野良犬と出会っても、仲良く登園できそうですね。きよこ先生の包容力は偉大だなと感じました。
●子どもが大好きなたこ焼き。我が家の息子たちも大好きです。細かい絵と、楽しそうな雰囲気、ちょっぴりこわいところも、場面ごとの様子が伝わってくる絵とお話です。
ピンクのリボンをつけているたこ焼き、赤いリボンの子、オレンジのリボンの子や「たこ焼き図鑑」の本を大切に抱えている眼鏡の男の子。ちょっと縦長の形の男の子に、ほのぼのとした男の子もいます。子どもの大好きなたこ焼きも同じまんまるでも全く同じものがないように、また子どもたちにもそれぞれ個性があるように、たこ焼きたちにも可愛い個性が吹き込まれています。表紙の裏に、たこ焼き屋さんのおじさんと、たこ焼きたちが描かれていて、一人づつ名前も描かれています。お名前なんだったかな?と見返すことができますよ。
表紙のたこ焼きを見て、次男も「たこ焼き!これ読んで〜!」ととても喜んで持ってきました。粉もの大好きな息子たちです。
たこ焼き屋のおじさんも、職人顔でたこ焼きを焼いているかと思えば、幼稚園に行きたいとせがまれ、ゆるんだ顔で電話する姿が。小さなお弁当も一生懸命作って、たこ焼きたちのことが大好きなんだなぁと感じました。
登園中に出会った雀や、遠くなる町の描写も細かいながらも丁寧に描き込まれていて、ステキに感じます。
途中出会った野良犬を見て、不思議なことに息子ふたりとも、「ライオンみたい!」と同じことを言っていました。別のタイミングで絵本を開いていたので、ライオンみたいと話しているところはそれぞれ知らないはずなのですが、よっぽど迫力のある野良犬だったのでしょうね。よだれを垂らし、ライオンに見えるほどのこわさがあったようです。
たこ型に特化した幼稚園の遊具も楽しそうです。タコ・たこ焼きが好きな人にはたまらないかもしれません。
裏表紙の裏のページに、「たこやきようちえん」の楽譜がついています。文中に、「♪」で始まる文章がいくつか出てくるのですが、歌詞は違ってもこの楽譜のメロディーに合うので、一緒に歌いながら読み進めてみるのもおすすめです。
幼稚園や保育園に行くときにも、つい口ずさんだり、このお歌で楽しい気分で登園できそうな気がしました。
とっても香ばしい匂いがしてきそうなたこ焼き幼稚園に、一度遊びに行ってみたいと思いました。