たまごにいちゃん

ユーチューブ動画で保育士書店員が詳しく解説しています

なんでも「いや!」「できない!」と言ってしまう、あまり自分に自身が持てていない子にオススメ!”たまごにいちゃん”のマイペースな成長ストーリー。

☆3つのおすすめポイント

  1. たまごにいちゃんにとって殻から出ずに卵でいると言うことは、赤ちゃんのように何をしても怒られず、お母さんに温めてもらえる、ずっと甘えていられるという事のようです。
  2. ハプニングがきっかけで殻が割れてしまいました。成長してしまった自分は大丈夫だろうか。みんなに受け入れてもらえるだろうかと心配しています。
  3. 成長したたまごにいちゃんの姿を見たお母さんと弟は「とてもすてきよ!」「おにいちゃんすごくカッコいいよ!」と伝えました。そして自分自身でも「うん、きみ悪くないよ」と認めてあげるのでした。

☆あらすじ

ニワトリの子どもがいました。本当はもう殻から出ないといけないのですが、出たくないんです。この子の名前は「たまごにいちゃん」。ずーっと卵でいたいと思っています。

たまごにいちゃんは、いつも石をよけながら歩きます。だってぶつかったらヒビが入っちゃいますからね。

ある日、お母さんと朝の挨拶を交わすと、お母さんは言いました。「早く大きくなるといいわね」しかしたまごにいちゃんは言い返しました。『いいえ。ぼくはこれでいいんですよ!』と。

たまごにいちゃんは、弟の方がヒヨコに育っていて、自分より大きくたって平気です。卵の方がいいんです。だって、だって・・・いつもお母さんに温めてもらえるから。

他にも他の動物の毛の中に入ってかくれんぼしたり、水に浮かんでいるのも大好きで、楽しい事がいっぱいです。でもからすは苦手です。いつも殻を割ろうと近づいてくるから。「やめてやめて!殻が割れたら僕、楽しくなくなっちゃう!」たなごにいちゃんは必死で逃げます。急いでブタの鼻の穴へ逃げこみました。ところが、ブタは鼻がくすぐったくなって、へくしゅーーーん! たまごにいちゃんは、ころころころころ・・・クシャッ 石に当たってしまいました。今なんか嫌な音がした・・・。『うわ!やっぱり 殻にヒビが入った』このままでは本当のおにいちゃんになってしまうと、心配で夜はなかなか眠れませんでした。

朝になって、思った通り、殻はバラバラ。殻がなくなったたまごにいちゃんは、すでにニワトリの姿でした。『うーん、こうなったら仕方がない』

元気にお母さんに朝の挨拶に行くと「急におおきくなっちゃって!でもとても素敵よ」と言われ、弟のヒヨコからも「わービックリした!おにいちゃん、すごくかっこいいよ!」とほめられました。

水たまりに映った自分を見て、思ったよりカッコいい自分が立っていました。「うん、きみ わるくないよ!」水たまりの中の自分にそっと言いました。

たまごにいちゃん 表紙

☆際立った特徴

早く成長してなんでも出来るようになりたい子もいれば、まだまだ子どもでいたい、お父さんお母さんにもっと甘えたいと思う子もいます。そして成長は人それぞれ。本書の主人公のたまごにいちゃんは、「お母さんにもっと甘えたい。ずっと子どものままで自由でいたい」と思うニワトリの子どもの”たまご”です。卵の殻から顔と足だけを出しています。誰に比較されようがかまわない。僕はこのままがベストなんだ!!と思っています。そんな彼が一生懸命守っていた卵の殻にヒビが・・・。「どうしよう。このままでは本当のお兄ちゃんになってしまう・・・。」 どうなるのかたまごにいちゃん。彼の体と心の成長を描いたストーリーです。

☆書店員の感想

たまごにいちゃんにとって卵でいると言うことは赤ちゃんでいるという事のようです。

何をしても怒られず、お母さんに温めてもらえる、ずっと甘えん坊の赤ちゃんでいたいたまごにいちゃん。まさしくそれは赤ちゃんの特権ですね。何をしても可愛い可愛いと許されるけど、時期が来たらそうも言ってられないようになってきます。そんな中、なんと主人公のたまごにいちゃんは、赤ちゃんのままでいるれるように努力します。卵の殻にヒビが入らないように気を付けながら生活しています。弟が自分より大きくなっても気にしません。そこまでして努力する理由はなんでしょうか?

大きくなったら、失敗したら怒られるから?水に何時間も浮かんでいられなくなるから?お母さんに温めてもらえなくなるから?さあ、どうしてなんでしょうね。

ハプニングがきっかけで殻が割れてしまいました。

殻が割れてなくなってしまった自分は大丈夫だろうか。みんなに受け入れてもらえるだろうかと心配しているのか眠れないたまご兄ちゃん。不安な夜を過ごしています。朝になっていよいよ殻が割れてしまいました。でも、すぐに「こうなっては仕方がない。」と気持ちを切り替えています。きっと卵の殻にヒビが入ってから今までに、何時間も不安な気持ちのまま過ごしたたまご兄ちゃんは、この時にはすでに気持ちの整理がついていたのでしょうね。

不安が吹っ切れたような表情で、お母さんや弟に会いに行くのです。

成長したたまごにいちゃんの姿を見たお母さんと弟は「とてもすてきよ!」「おにいちゃんすごくカッコいいよ!」と伝えました。そして自分自身でも「うん、きみ悪くないよ」と認めてあげるのでした。

誰かに認められることってこんなにも自分に自信をくれる物なんだなと感じた結末でした。「とってもすてきよ!」「かっこいいよ!」と言われたたまご兄ちゃんは、きっと嬉しくて、卵じゃない自分でも、成長した自分でも大丈夫なんだって自身がついたことでしょう。

そして、たまごにいちゃんの今後がどう成長するのか楽しみなストーリーでした。どんな風に育っていくのか、続編も見てみたいです。

ついつい私は子どもには『はやくしなさい!』『これくらいできるでしょう!!』と本人の思いや考えを後回しにして一方的に言ってしまいます。時には他の子どもと比べてしまう事もあります。知らず知らずに傷つけてしまって母反省・・・ということもしばしば・・・。しかし、よく考えたら子どもの成長はそれぞれ。私も息子に「出来ない!」「むり!」と言われることも多いのですが、きっといつか「やってみるわ」「やってみたら出来たわ!」と言ってくれる日がきてくれるかなーと思って待っています。道のりは長いですね。

最後に、たまごにいちゃんの殻を割ろうとしたカラスは、もしかしたらたまごにいちゃんいとって、成長するきっかけをくれた大恩人かもしれません。少々強引ではありましたが、そう思うとカラスは今回とてもいい仕事をしてくれました。笑

たまごにいちゃん 裏表紙
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。