へびのせんせいとさるのかんごふさん

ユーチューブ動画で保育士書店員が詳しく解説しています

へびの看護婦さんがお医者さんになりました!看護婦さんになったさるのお医者さん、大丈夫かな。今日の診察はどうなるでしょう。ハラハラドキドキ、予想外の展開が待ち受けています!動物や楽しい物語が好きな子にピッタリ!

この絵本は、『さるのせんせいと へびのかんごふさん』の姉妹絵本で、後編にあたる内容です。

☆3つのおすすめポイント

  1. へびの看護婦さんが、お医者さんになりました。看護婦さんになったさるのお医者さん、看護婦さんのお仕事は大丈夫でしょうか…。今日の診察はいかに。ドキドキな展開が待っています!
  2. ファンタジーな絵の描写で、独特の世界観を表しています。不思議で愉快な雰囲気の世界に、どんどん引き込まれていきますよ。
  3. お医者さんと看護婦さん、どんな職業の人たちも協力しながら仕事を行っています。そんなお話も、お子さんとの間で広がると素敵ですね。

☆あらすじ

動物村に病院がありました。そこにはさるのお医者さんと、働き者のへびの看護婦さんがいました。

へびの看護婦さんは、日々いろいろな仕事をこなしています。お医者さんに言われた通りの薬を持ってきたり、片づけたり。患者さんのようすの記録をつけたり。

咳止めやかゆみ止めなどのいろいろなくすりも作っています。

また、看護婦さんが薬を飲んでその薬を患者さんに注射したり、お腹の中を直接覗いてお腹の痛い患者さんの原因を調べたりします。

そんなへびの看護婦さんは、ある日さるの先生に、

「前から一度お医者さんになりたいと思っていたのですが、なれるでしょうか」と聞きました。

さるの先生は、きみならきっとできるよ、と言ってくれました。そして、一度お医者さんになって診察してみるかい?と、看護婦さんは一日だけ先生になってみることになりました。

しかし、へびの看護婦さんが先生になると、看護婦さんがいません。そこで一日だけ、さるの先生が看護婦さんになることになりました。

そこへさっそく患者さんがやってきました。風邪をひいたたぬきです。

さるの看護婦さんも、さっそく注射の準備にとりかかりました。口の中に薬を含ませて…

たぬきの腕にガブリ!たぬきはビックリ!痛くて飛び上がっています!

そして、かみついたはいいものの、なかなか歯が入っていかないのでうまく注射ができません。最後にはさるの看護婦さんは自分でそのまま薬を飲み込んでしましました。

注射くらい、ちゃんと打てるように練習してくださいね、とへびの先生に言われてしまう看護婦さんなのでした。注射はへびの先生が打ってあげました。

次の患者さんはライオンです。お腹が痛いようなので、診察台に横になり大きな口を開けてもらいます。

大きなライオンの口の中にさるの看護婦さんが入っていきます。

お腹の中がなかなか見えず、もっとぐっと入り込んださるの看護婦さん。すると、今度は体が抜けなくなってしまいました!このままでは看護婦さんの仕事ができません。

そこで、急遽ライオンに看護婦さんの仕事をしてもらうことになりました。

次の患者さんはかばです。かばもライオンと一緒で、お腹が痛いようです。さっそくお腹の中を覗くことに。診察台に横になって大きな口を開けます。

ライオンの看護婦さんが、かばに「ゆっくり飲み込んでくださいね」と声をかけてから、かばの体の中にぐいぐいと入って行きました。

しかし、ライオンの看護婦さんも途中で引っかかってしまい、かばの口の中から出られなくなってしまっています!

これではまた看護婦さんの仕事ができないので、今度はかばに看護婦さんの仕事をお願いすることになりました。

次にやってきた患者さんはゾウです。また鼻が詰まって夜眠れなくなってしまったそうです。それでは、これから鼻の中の掃除をしますね、と言って始まったのは、かばの看護婦さんによる鼻掃除。

かばの看護婦さんは少しずつゾウの鼻の中に入っていきます。そして、かばの体が全部ゾウの鼻の中に入りました!すると、鼻がむずむずしてきたゾウ…。

ついに我慢ができなくなり…。

ドッカーン!!と大きなくしゃみが出ました!

へびの先生とかばの看護婦さんは空高く飛ばされ、さらにかばの口からポーンと音をたててライオンが飛び出しました。続いてさるが飛び出し、動物村の仲間たちはそのようすを花火が打ち上げられたのだと思ったのでした。

そして、先生も看護婦さんも、ライオンもかばも大けがをしてしまいましたので、病院はしばらくおやすみすることになりました。

へびのせんせいとさるのかんごふさん 表紙

☆際立った特徴

この絵本は、『さるのせんせいと へびのかんごふさん』の姉妹絵本で、後編にあたる内容の絵本です。その中に登場してきたへびの看護婦さんが、昔から憧れていたお医者さんに1日だけなってみる、というお話です。『さるのせんせいと へびのかんごふさん』で登場してきた動物たちも出てきて、そのあとのお話の展開がとても楽しみになります。

絵本の大きさは26×22㎝となっています。

☆書店員の感想

●へびの看護婦さんが、お医者さんになりました。看護婦さんになったさるのお医者さん、看護婦さんのお仕事はできるのでしょうか…。今日の診察はいかに。ドキドキな展開が待っています!

今日も動物村の病院では、さるの先生とへびの看護婦さんが働いています。さるの先生の指示のもと、へびの看護婦さんはテキパキと働き、チームワークバッチリです。記録を書いたり、薬を作ったり、注射をしたり、お腹の中を直接のぞいたりなど、いろんな仕事をこなすプロのナースのようです。

『さるのせんせいと へびのかんごふさん』を読んだ時も、へびの看護婦さんすごいなぁ!と思いながら読みました。なんでもできるスーパー看護婦さん!さるの先生もきっと、絶大な信頼を寄せているんだろうなぁ、と思いました。

そんなへびの看護婦さんが、お医者さんになってみたい、と話します。そこで、1日だけの約束でへびの看護婦さんはお医者さんに、さるのお医者さんは看護婦さんになりました。

へびのお医者さんが、やってきた患者さんを診察して、さるのお医者さんが注射などを行います…が。注射はうまく薬液が患者さんに入っていかず、ただ噛みついてしまっただけのようになってしまい、さらに薬はさるの看護婦さんが飲み込んでしまいます。

そして、お腹の痛いライオンのお腹の中を直接見ることになったさるの看護婦さん。ライオンのお腹に入ったのは良かったものの、そこから出られなくなってしまい、結局そのあとの看護婦さんのお仕事はライオンが行うことに。ライオンの口からは、さるの看護婦さんの足が出ていますが、そのまま業務を行っています。

さらに、ライオンの看護婦さんがかばのお腹の中を見ると、今度はライオンがかばの口から出られなくなるというハプニング!かばの口からはライオンの足が飛び出したままで、苦しさからか、まだお腹が痛いからかかばは汗だくです。しかし、今度はかばが看護婦さんになってゾウの鼻詰まりの処置を行う、というビックリ展開です。(笑) ライオンもかばも突然看護婦さんを頼まれましたが、快く(?)引き受けてお手伝いをしていてそこにもビックリしました。

●ファンタジーな絵の描写で、独特の世界観を表しています。不思議で愉快な雰囲気の世界に、どんどん引き込まれていきますよ。

『さるのせんせいと へびのかんごふさん』と同様、最後に鼻詰まりのゾウが現れます。そこへ、へびより体まわりの大きなかばがぞうの鼻に入っていって、ムズムズ…ハックショーン!!ハックショーン!なんてかわいいものではありませんね。(笑) ドッカーン!とへびの先生とかばの看護婦さんは飛ばされていきます。ゾウの鼻から出た鼻水の勢いとゾウの表情がくしゃみの豪快さを表現しています!背景もオレンジ色・黄緑色・黄色とゾウの体から思いっきり飛び出した感じが伝わってきます。

全体的に水彩画でにじみなどが多く使われた絵・背景なのですが、それが最後の絵に効果的に活かされているように感じました。ゾウの鼻から飛ばされた、かばの口からライオンが、ライオンの口からさるの看護婦さんが飛び出して、それがまるで花火のようになっています。3連発花火のようで、白い空に灰色の雲が浮かんでいるさらに高い位置で、3人の花火があがりました。まわりは灰色や水色が合わさって滲んでいるような空で、3人の花火のような線や光がちょっと控えめに目立っています。そんな中、へびの先生は空を飛ぶのも楽しんでいるような表情をしているのも印象的です。

みんなが花火になった場面以外は、動物村の病院なので背景は主に黄色や黄緑色、水色が淡く混ざった自然の雰囲気も感じさせるようすになっています。その中でいろいろと事件が起こっていくのですが、へびの先生はあまり動じず冷静なことが多いな、と思いました。ほのぼのと安心できる存在に感じましたが、さるの看護婦さんが一生懸命注射をしているシーンは、たぬきも痛さで飛び上がり、看護婦さんも必死な表情、このときはへびの先生も心配そうなようすで、読んでいるこちらもドキドキしてきます!そして、うまく注射を行えずに薬を飲み込んでしまったときの、さるの看護婦さんの顔がドアップで描かれているのですが、目を大きく見開き、口からは薬剤かよだれが垂れていて、ちょっと不気味なような…なんとも言えない印象強い顔をしています。

和やかなような背景とは裏腹に、いろんなハプニングが次々と起こっていく場面展開が絵で表現されていて、うまく交わって調和され、この絵本の世界観が作られているように感じました。

●お医者さんと看護婦さん、どんな職業の人たちも協力しながら仕事を行っています。そんなお話も、お子さんとの間で広がると素敵ですね。

今回はお医者さんと看護婦さんが入れ替わり、いろんなハプニングがありましたが、みんなだれも責めず淡々と進んでいくストーリーがシュールで面白い内容だな、と思いました。そしてさらに、働き者のへびの看護婦さんが普段先生のサポートをしっかりしているんだな、とも思いました。

へびの看護婦さんは、口には牙もあるし体も細いので、注射もお腹の中の処置も行いやすいのでしょうね。適材適所で、それぞれ協力し合って日々の診察がうまくいっているのかもしれませんね。それでもさるの先生は今以上に頑張らないといけないのかもしれません。(笑)

お医者さんと看護婦さんの関係に限らず、世の中にはいろんな職業の人たちが協力し合って仕事を行っていて、みんなだれかの役に立っています。個々人に得意なものがあって、それを活かしつつ仕事が行え、お互いに補いつつ協力し合う。そんな関係がきっといろんな場面でこれから出会えるように思います。お子さんも保育園や幼稚園等でも少しずつそんな体験をしていくかもしれません。そんなことにも絵本を通して少し触れられたら、また奥が深まっていいのかもしれないと感じました。

ファンタジーな世界で、とんでもハプニングが満載の面白い内容の絵本です。親子でぜひ一緒にこの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。

へびのせんせいとさるのかんごふさん 裏表紙
にむさん
  • にむさん
  • 現在4年生と年長の男の子、1歳の娘の育児に奮闘中です。
    兄が弟に、さらに最近では弟が妹に絵本の読み聞かせをしてくれるようになりました。子どもたちの姿から学ぶことも多い日々です。
    短大で介護の勉強をし、介護福祉士の資格を持っています。