ももたろう

ももたろう 表紙

日本一有名な桃太郎のストーリー性や迫力感を楽しめる一冊!少し自分で読めるようになってきた就学前後のお子さんにもピッタリです。

☆3つのおすすめポイント

  1. おじいさんとおばあさんに大切に育てられた幼少期。大切に育ててもらったからこそ、桃太郎は正義感と感謝の心で、鬼退治へ行く決心をします。
  2. 道中出会った犬・サル・キジと、きび団子を食べて力を溜め、鬼退治へ向かいます。桃太郎たちの強いこと!そして、今までさんざん悪いことをした鬼たちを許してやる優しい心を持っています。「信じること」「許すこと」の大切さ。
  3. 日本一有名な昔話である【桃太郎】。昔らしい話し言葉や絵からその勇ましさや優しさ、勇敢さなどを感じることが出来る一冊です。

☆際立った特徴

初版1965年から愛され続ける本書は、桃から生まれた時の真っ赤な桃太郎の体の色や、鬼ヶ島へ向かう際の風景の美しさ、恐ろしい顔の鬼をやっつけていくシーンなどの、水彩画の描写には迫力があります。そして一本の映画を見ているような内容の濃い物語です。犬・サル・キジと鬼ヶ島へ鬼退治に行きお姫さまを助ける冒険の様であり、桃から生まれるというファンタジーさもあります。

そして、今ではあまり聞きなれない昔ながらの言葉で書かれているのも特徴的!昔の美しい言葉だからこそ、昔話の面白さをさらに引き立てます!

ほぼ、ひらがなで書かれていますが、数だけは漢字表記となっています。少し自分で読めるようになってきた就学前後の子には、自分で読む一冊にピッタリです。

☆あらすじと書店員の感想

おじいさんとおばあさんに大切に育てられた幼少期。大切に育ててもらったからこそ、桃太郎は正義感と感謝の心で、鬼退治へ行く決心をします。

川から拾ってきた桃から、パカッと桃を割って出てきた桃太郎。なんてドラマチックで摩訶不思議な誕生でしょうか。自分がおばあさんだったら、腰が抜けるほど驚く出来事ですよね!そんな桃太郎の誕生ですが、おじいさんとおばあさんは、最初はとても驚くのですが「桃太郎」と名づけて大切に育てていきます。

おかゆを炊いたり、魚を採ってきて食べさせたり、様々なことを教えたり・・・それに答えるかのように桃太郎は、どんどん大きく育ち力持ちになり、とても頭の賢い子に育っていきました。そして、おじいさんとおばあさんは「ももたろうや ももたろうや」と、とても可愛がったそうです。この桃太郎を呼ぶ言葉を聞いただけで、桃太郎はとても愛されていたことが伝わってきますね。愛されていたからこそ、体だけでなく心まで強い子に育ったのかもしれません。

そんなある日、鬼たちの話を聞いた桃太郎。

村人の大切な食べ物や物・そしてお姫様を盗んでいく鬼たちって一体どんな奴らなのか。どんな強さなのか、きっと桃太郎は知らないことだらけだったはずです。しかし、一人で立ち向かおうと決心します。

桃太郎はきっと、「自分ならやれるかもしれない。育ててもらったご恩を返したい!世の中の助けになりたい!お姫様を助けたい!」と思ったのかもしれませんね。

道中出会った犬・サル・キジと、きび団子を食べて力を溜め、鬼退治へ向かいます。桃太郎たちの強いこと!そして、今までさんざん悪いことをした鬼たちを許してやる優しい心を持っています。「信じること」「許すこと」の大切さ。

日本一のきび団子をおばあさんに作ってもらった桃太郎。それはきっと一つのお守りのような物だったのかもしれません。「きっときび団子が力をくれる。」と信じたのでしょう。

そして鬼ヶ島へ向かう道中に犬・サル・キジに出会います。

『きび団子をくれたらお供します』と言う彼らにきび団子をやり、桃太郎は仲間に入れてやります。これもまた、きび団子の力ということなのでしょう。きび団子のおかげで仲間が出来て、みんなに戦うパワーを与えてくれたのでした。

そして、なんといっても戦いのシーンです。鬼たちは完全に油断していたようですが、一致団結した桃太郎達の強いこと強いこと!素晴らしいチームワークでした。泣いて謝らせた桃太郎。村の人々を大変苦しめた鬼たちですから、命までとってしまっても仕方のない展開なのですが、桃太郎は許してやります。そして鬼たちが差し出した宝物に対して、「宝物はいらないけど、お姫様は返せ!」と言うのです。

金銀財宝よりも、桃太郎は命の尊さや無事を祈って待っているお姫様の両親の想いを一番に考えているのではないかと感じました。

これもきっと愛され育った桃太郎だからこその答えだったのかもしれません。

日本一有名な昔話である【桃太郎】。昔らしい話し言葉や絵からその勇ましさや優しさ、勇敢さなどを感じることが出来る一冊ます。

昔話のももたろうを題材として描かれている絵本は、これまでに沢山あると思います。その中でも本書は1965年からずっと発売され続けている人気作です。

特徴的な所が、登場人物の話す言葉とその量の多さです。時代劇でしか聞く事のないような昔らしさが残った話し言葉となっています。そして、セリフが多いように感じます。

でも、安心してください。昔の話し言葉ですが、ちゃんと聞く人に伝わります。幼いお子さんでもしっかり理解できると思います。

セリフ調の部分が多いからこそ、登場人物の感情が分かりやすいです。

私が本書の中で驚いたことは、鬼ヶ島へ着いたももたろうが、出てきた鬼に向かって「お前たちをやっつけに来た!」と宣戦布告する場面です。

なんでわざわざそんな事を言うのか、気づかれないうちにさっと忍び込めば良いのでは??・・・と、きっと今の子ども達にはピンとこない部分ではないでしょうか。ここには、【正々堂々と敵を倒しに行く!】という日本人の、侍の、美学があるのかもしれません。

さあ、お姫様を嫁にもらった桃太郎です。鬼はもう来なくなったそうですよ。でも、こんなに強くて賢い桃太郎です。もしかしたら犬・サル・キジと新たな冒険へ出かけたかもしれませんね。それとも幸せにのんびり生活をしているのかな?

老若男女・日本中で一番知られている桃太郎を改めて読みながら、ママ・パパ・お子さん、おじいちゃんおばあちゃんみんなで、楽しんで頂けたらと思います!

ももたろう 裏表紙
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。