もりのおふろ

リビング書店の絵本チャンネルで保育士書店員が詳しく解説しています

動物が好きな子、お風呂が好きな子にピッタリ!お風呂が苦手な子も、お風呂がきっと好きになりますよ!動物がつぎつぎにほかの動物の背中を洗い合っていく姿から、自分も誰かの背中を洗ってみたくなるかも!?

☆3つのおすすめポイント

  1. 動物たちがつぎつぎ登場してきて、背中を洗い合います!最後には大きな円になって…。身も心も温まりそうなお話です。
  2. ゴシゴシ、シュッシュ、という言葉の響きも面白い!日常生活で自然と口にして楽しめます。お風呂に入るときの勢いも楽しさを引き立てます。
  3. 動物たちのちょっと人間味のあるような絵が魅力的です。絵のタッチも濃く、温かみを感じ、一緒にお風呂に入っているような気分になってきます。ほのぼのと優しいお話に癒されます。

☆際立った特徴

可愛い動物たちがたくさん出てきて、10種類の動物たちが円になって背中の洗いっこをしています。ほのぼのとするお話と絵の描写で、読んでいるこちらも癒されるようです。

クレヨンを重ね塗りしたような絵のタッチで、温かみとほっこりした雰囲気が伝わってきます。

絵本の大きさは22×21㎝のほぼ正方形で、大人の片手を広げたくらいの大きさです。お子さんが棚から取り出したり、自分でめくって読んだりするときに扱いやすい大きさのように思います。

☆あらすじ

森の奥で、丸いかたちをした大きなお風呂が湧いています。

はじめに、ライオンがやってきました。

ライオンは体を洗い始めます。ゴシゴシ、シュッシュ。足と、お腹と、顔をキレイに洗いました。

そこへ、つぎはゾウがやってきました。ライオンはゾウに、背中を洗ってもらえませんかとお願いします。

ゾウは快く、ゴシゴシ、シュッシュ、と背中を洗ってくれました。

すると、ゾウのうしろに今度はワニがやってきました。

そこでゾウはワニに、背中を洗ってもらえませんかとお願いします。ワニさんも、ゾウの背中をゴシゴシ、シュッシュ、と洗ってくれました。

そして今度は、ワニさんのうしろに3頭のブタのきょうだいがやってきました。

ワニさんはブタに、背中を洗ってもらえませんかと頼みます。ブタはワニの背中を洗い始めました。ゴシゴシ、シュッシュ…

ほかのきょうだいたちもうしろへ続きます。

さらにお風呂には、いろんな動物がつぎからつぎへと集まってきました。おおかみ、ゴリラ、カバ、ひつじ、馬もいます。みんな丸いお風呂のまわりを囲むようにして円になり座っています。

最後にうさぎがきました。うさぎはライオンに、背中を洗ってもらえないか頼みます。

ライオンはうさぎの背中を洗いました。

そして円はつながり、だれかがだれかの背中を洗っています。

みんなで泡ブクブク。

お湯をざぶーんとかけて、みんなでいっせいにお風呂にはいります!

みんなで入るお風呂、楽しくて気持ちがいいですね。

もりのおふろ 表紙

☆書店員の感想

●動物たちがつぎつぎ登場してきて、背中を洗い合います!最後には大きな円になって…。身も心も温まりそうなお話です。

森の中の、ちょっと広くなっているような場所で、大きな丸いお風呂が湧いています。たらいを大きくしたような雰囲気で、そばには椅子や桶も置かれています。空には月が出ているようですので、夜でしょうか。

まずはライオンがやってきました。体を丁寧に洗っています。足、お腹、顔をキレイに洗いますが…。やはり背中には届きませんね。ちょうどそのとき、ゾウがいいタイミングでやってきました!そして、ライオンはゾウに背中を洗ってもらいます。

そしてそのあともつぎつぎ動物がやってきて、背中を洗い合うことができました。背中を自分で「ゴシゴシ」と洗うのって、本当に難しいですよね…。体を洗うタオルを伸ばして、斜めに持って洗いますが、たまに誰かに洗ってほしい!と猛烈に思うときがあります。(笑)

ときどき長男が洗ってくれるのですが、小学2年生になると力も強くなってきて、洗ってもらうととても気持ちがいいです!

そして、子どもたちは自分で自分の体を洗うのですが、必ず背中がおろそかになっています。ですので、この絵本を読んで兄弟で一緒に洗いっこしてくれるといいな…と、密かに思っているのです…が、その日によって二人の関係性というか、気持ちの持ち方が違うので、動物たちのように「洗ってあげるね~」とはなかなかうまくいかないのが現状です。(笑)もうちょっと大きくなったらできるのかな~、ますますできなくなるかな…、どう変化していくのか楽しみでもあります。(笑)

動物たちはお風呂を中心に、最後には円になりました。みんな、誰かの背中を洗って、そして誰かに背中を洗ってもらっています。お湯をかけて泡を流すときも、自分にかけるのではなく、背中を洗ってあげた相手にかけてあげています。

日々の生活の中でも、知らず知らずのうちにだれかの手助けをしていて、そしてだれかの助けを借りて生活している…、そんなようすにも感じました。お互いに助け合って、かゆいところに手が届く存在。素敵だなと思います。

もりのおふろ 裏表紙

●ゴシゴシ、シュッシュ、という言葉などの響きも面白い!日常生活で自然と口にして楽しめます。お風呂に入るときの勢いも楽しさを引き立てます。

何年か前にこの絵本をもとに、長男が保育園の年少か年中のころ発表会で劇をしました。長男は「ワニ」役だったのですが、「わたしの背中を洗ってもらえませんか」と言って、相手の動物に背中を洗ってもらっていました。そして、順番に洗ってもらっているときは「ゴシゴシ、シュッシュ」と陽気で軽快な声かけが飛び交い、子どもたちが動物を演じお風呂に入っているようすは可愛く、楽しい劇でした。

背中を洗いながら「ゴシゴシ、シュッシュ」と言っていると、楽しい気持ちになってくるように感じます。

みんなで輪になって洗い合っているシーンでは、「あぶく ぶくぶく」というフレーズも出てきます。ゴシゴシ、シュッシュ、と合わせて声に出して読むととてもリズミカルで、動物たちもみんなで泡を楽しんでいる姿がイメージとして膨らんできました。そのシーンの動物たちもみんなニコニコしていて、お風呂って楽しい!という雰囲気がページいっぱいに描かれています。ちょっぴりお風呂が苦手なお子さんでも、動物たちの楽しそうなようすや明るい声かけに、お風呂へのイメージが少し楽しいものへと変化していくかもしれません。思い切って、好きな動物になりきってお風呂に入ってみるのも良さそうです。

●動物たちのちょっと人間味のあるような絵が魅力的です。絵のタッチも濃く、温かみを感じ、一緒にお風呂に入っているような気分になってきます。ほのぼのと優しいお話に癒されます。

4足歩行でやってくる動物たちですが、お風呂のところへくると椅子に腰掛け前足を手のように使い、器用に泡ぶくぶく、ゴシゴシ、シュッシュ、と洗っていきます。このようすがなんだか人間のように思えてきて、動物たちが身近に感じました。また、笑顔溢れる愛嬌のある動物たちの描写がとても可愛らしいです。

そして、絵はクレヨンで重ね塗りされているようなタッチで、味わい深い絵になっているように思います。お風呂の中も一度茶色で塗ってからお湯の水色を重ねて塗っているようにも見えますし、背景も一度塗りではなさそうです。そこから「森の中にあるお風呂」の雰囲気がじんわりと伝わってきます。

ポイントごとに濃淡もつけられていて、立体感を感じます。お湯の湯気ももくもくと温かそうで、一緒にお風呂に入りたくなってきます。さらに、お湯をかけるシーン、お風呂にドボーン!と入るシーンでは、お湯の勢いもものすごく感じます!勢いあまって、ブタのきょうだいのひとりがお風呂の外に出そうになっているところを、もうひとりのブタが引っ張っています。(笑)これは、小さい子どもが好きそうですね!お湯がなくなってしまわないか心配になってしまうほどですが、この躍動感、そしてつぎのページのほっこり感…。ギャップがまたお風呂の良さを感じます。ちょっと寒くなってくるこの季節、ほっこり温まりたいですね。動物たちと一緒にお風呂で温まりませんか。きっと心まで温めて、身も心もほぐして癒してくれるように思いました。

にむさん
  • にむさん
  • 現在4年生と年長の男の子、1歳の娘の育児に奮闘中です。
    兄が弟に、さらに最近では弟が妹に絵本の読み聞かせをしてくれるようになりました。子どもたちの姿から学ぶことも多い日々です。
    短大で介護の勉強をし、介護福祉士の資格を持っています。