バナナこどもえん ざりがにつり

ユーチューブ動画で保育士書店員が詳しく解説しています

3歳頃からの読み聞かせにピッタリ!ザリガニと子ども達の釣るか釣られるかの真剣勝負!!子ども達が1匹のザリガニをめぐってケンカしますが・・・子ども達の心の成長を強く感じるストーリー。

☆読み聞かせ・声掛けのポイント

  • 登場する子ども達の様々な感情を感じる作品です。ぜひ「この時どう思っているのいるんだろうね」とカッキーやあー君の様子から感じ取ってみましょう。
  • ザリガニ釣りって楽しそうだね!やってみたいね!と、現実に結び付ける声掛けをしましょう!ザリガニ釣りへ行く前の読み聞かせにもピッタリ!細かい描写で描かれているのでシミレーション出来ます!
  • あー君とカッキーのケンカの場面。自分だったらどうする?と考えてみましょう!

☆際立った特徴

  • 水彩絵の具で描かれている。人物・背景の全てから温かみを感じます。
  • ザリガニ釣りに出かける子ども達。ザリガニ釣りを楽しむ様子は力強さや迫力があり!
  • 子ども達の真剣な目付きや「釣ってやるぞ!」という姿勢は、どの子も本気を感じます。
  • 対するザリガニも、エサは食べたいが、決して人間に捕まるまいとする姿が、まるで本物を目の前で見ているかのよう。
  • 釣れたザリガニをめぐってケンカ。2人の中に流れる緊迫感が伝わります。
  • 大人が介入して白黒つけるのではなく、温かく見守り、自分たちで解決できるように導く先生の姿もとても印象的。
  • そんな二人が出した結論は?最後は素敵な約束を交わします・・・★
バナナこどもえん ざりがにつり表紙

☆ピックアップポイント

  1. ザリガニ釣りに出かけたバナナ園の子ども達。どうやって釣るのでしょう?子ども達の、真剣な釣り姿と、捕まるまいとするザリガニとの戦いは、どちらも生き生きとしていて迫力があります!
  2. ザリガニを見つけたあー君と、捕まえてあげたカッキー。どちらが家に持って帰るかをめぐってケンカします。まだ言葉の未熟な子ども達。感情を、言葉だけではなく、顔・体の向きなどで表現しています。この時、どんな気持ちだったのか、どのページからも伝わります。
  3. 大人が正解を促すのではなく、自分たちでお互いが納得出来る方法を考えます。ケンカしたことで強い友情が生まれます。

☆あらすじと書店員の感想

ザリガニ釣りに出かけたバナナ園の子ども達。どうやって釣るのでしょう?子ども達の、真剣に釣りをする姿と、捕まるまいとするザリガニとの戦いは、どちらも生き生きとしていて迫力があります!

温かな夏の時期。子ども達は半袖で登園してきました。朝から、こんな日はザリガニ釣りに行きたいぞ!考えてきたカッキーが、一目散に友達や先生の所へ行き、「今日はザリガニを釣りに行こうよ!」と誘います。子ども達にとってザリガニ釣りは初めてではなく、何度か経験している事の1つで、とても楽しい事を知っている様子です。『僕も行きたい!』『私も行く!』と男の子も女の子も、行く気満々です。さあ水筒とリュックサックと、バケツと木の棒を持って出発です!!

木の棒は、ザリガニ釣りには必需品。棒に糸を結び、エサのスルメも結びつけます。するとザリガニ用の釣竿の完成です!

子ども達の目は、準備から真剣そのもの。エサを小川にたらしたら、ザリガニを上手くおびき寄せます。しかし、ザリガニもエサのスルメは食べたいけど、簡単に捕まるわけにはいきません。「これは罠だ!」と気づかれたら、逃げてしまいます。子ども達と、ザリガニとの戦いは、釣るか釣られるかの真剣勝負なのです!

言い出しっぺのかっきーは、上手く釣れずにモヤモヤ・・・とした表情。周りの子ども達が次々に釣っていく様子を、羨ましそうに見ています。

すると、目の前にザリガニがいるのにも関わらず、素手で捕まえられず、うじうじしているあー君の存在に気がつきます。

触るのが怖くて捕まえられないあー君を見かねて、かっきーは代わりに捕まえてあげるのですが・・・。

ザリガニを見つけたあー君と、捕まえてあげたカッキー。どちらが家に持って帰るかをめぐってケンカします。まだ言葉の未熟な子ども達。感情を、言葉だけではなく、顔・体の向きなどで表現しています。この時、どんな気持ちだったのか、どのページからも伝わります。

始めはかっきーも、「これはあー君が見つけたザリガニで、俺は採ってあげただけだ」と頭では分かっていた様子ですが、一変します。

なんと捕まえたザリガニはバケツの中で脱皮してしまうのです。かっきーは、ザリガニを自分のものにしたくてたまりません。そして、自分より年下の気の弱そうなあー君に対して、「お前は見つけただけで捕まえてないんだから、これは俺のだ!お前は脱皮した皮を持って帰ればいい!」と強い口調で主張します。

もちろんあー君は、急なことに驚き、反論も出来ず泣き出してしまいました。

しかし、周りの子ども達はその様子を見逃しません。あーでもない、こーでもないと、自分たちの考えを、かっきーに言います。

しかし、かっきーは、とにかくザリガニを自分の物にしたくて、更に睨みつけるように顔を赤くして、「絶対にあきらめない!!」という思いで、あー君を睨みつけます。

しかし、あー君も負けてはいません。言葉では返さないものの、涙を止めて、ただ困った顔でかっきーを見つめます。そして、次第にあー君は、冷静になって「もういいや。いらないよ。かっきーにあげるよ。」とポツンと言いました。

驚いたのはかっきーです。あー君の態度があまりにも冷静で、自分が急に情けないような、なんだか恥かしいような。急に負けた気分になり泣きさしそうな表情になるのです。

かっきーは、あー君より年上です。プライドがあります。4歳のあー君に譲られて、持って帰るわけにはいかないのです。

さあ、この後はどうなるのでしょう。

大人が正解を促すのではなく、自分たちでお互いが納得出来る方法を考えます。ケンカしたことで強い友情が生まれます。

そっと二人の様子を見守っていた園長のななこ先生です。二人の目線になるようにしゃがみ、『どうすることにした?』と、何も知らないふりをして二人に問いかけます。

すると二人は、釣った所に返しに行くことに決めました。先生が入って、お互いに冷静になって、互いにとって平和的で平等な選択が出来ました。

先生は二人の肩に手を置きながら、しっかり二人が考えて、答えを出せたことを喜んだでしょうね。ニッコリと笑い合うカッキーとあー君の間には、強い友情の絆が生まれたようにも感じるシーンでした。

そして次の日です。雨が降っているので、今日はザリガニを小川に返しに行くだけ。そこには二人以外にも、友達の姿がありました。二人が小川にザリガニを返す姿を見届ける為でしょう。そして、バケツをひっくり返した時、ザリガニがスイスイ―ッと子ども達から離れて川の奥へ泳いで行きました。『もう捕まるまい!』とでも思っているのでしょうか。

しかし、かっきーとあー君は、逃げていくザリガニを見つめながら「次こそは、自分で釣ろうな!」と約束します。

いつか、きっと約束が果たされる時がやってきますね・・・★

バナナこどもえん ざりがにつり 裏表紙

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。