妖怪横丁

ちょっぴり怖くて、とっても面白いお店がいっぱいの妖怪横丁。70種類の妖怪達に会いに来てね☆

☆特徴

  • 70種類の怖くて愛嬌のある妖怪達が登場。
  • 表紙裏に妖怪達の名前付き。
  • 「広瀬克也の妖怪シリーズ」の一作。
  • 文章は少ないが、その分絵からの情報量はとっても多い!!

※絵本館ホームページに「妖怪横丁」に登場する妖怪たちの無料ダウンロードできる塗り絵あり!

※3歳頃から、漢字が読める小学生も、妖怪好きの大人にも幅広い年代層にオススメの作品!!

☆読み聞かせのポイント

  • 妖怪達のお店を一つずつじっくり見て進めるのがオススメの読み方。「花子さんは子どもだから子供服を売っているのかな?」など、思った事を話ながら楽しみましょう。
  • 表紙裏に名前が書かれています。本編に戻って誰が何という名前か確かめるのも楽しいと思います。
  • 男の子は妖怪?人間?読み終わったらぜひ親子で・兄弟で考えを話してみてください。(私の意見は下の「☆書店員の感想」で紹介しています。)
妖怪横丁 表紙

☆あらすじ

お母さんに買い物を頼まれた男の子。

買い物かごを持って出かけました。

行き先は”妖怪横丁”。

でも・・・、なんだか様子がおかしいような。

鬼の親子に提灯お化け、座敷童が、

おや。めずらしい子がやって来たね。とお出迎え。

おもちゃ屋さんの店主は唐傘オバケ。

ろくろ首のロックな楽器店に、ひとつ目小僧の家はメガネ屋さん、ざしきわらしの福を呼びそうな不動産屋など・・・色んな店が賑やかに並んでいる妖怪横丁です。

沢山の妖怪たちが行き来する中、男の子も町を堪能して回ります。

しかし、誰かが男の子の存在に気がついたような…。そっと後をつけています…。

さあ、男の子は気付かれずに、買い物を済ませて家に帰れるかな。

☆書店員の感想

オープニングが意味深!!

買い物を頼まれた主人公の男の子。「おとうふ おねがいね」と声を掛けているのは、どうやらお母さんのような気がするのですが肘から下の手の部分しかヒントなく、服も紺色で決め手がありません。正直、誰なのかは不明です。

実はこのシーンが、読み終わった私の、一番の気になる部分であり、きっと深読みしたら楽しい深読みポイントとなるのですが…。この話は後半でお話したいと思います。

町はずれに大きな青い門が立っています。そこには「妖怪横丁」という看板がついています。門の周りは柳の木が並んでいて、まるで柳の塀のようになっているので、門の先の景色が見えません。

その環境だけでもただならぬ気配を感じてしまうのですが…買い物を頼まれた男の子は怖がる様子もなく、一目散に「妖怪横丁」の門を目がけて歩いていきました。

その姿を見かけた妖怪たちは、「見かけない子だね。」と手招きして読んでいます。

ちょっと・・・このまま行っても大丈夫なのかな??と心配になるような、男の子のこの先が気になるオープニングです。

文章が少ない!その分、目からの情報が多い!!

見開き1ページに文章が2〜3行のみです。あっという間に読み終わるのでは!?と心配はいりませんよ!とにかく絵の情報量がすごく多いと言えます。絵を見ているだけでストーリーが分かるし、字が読めるようになってきた頃のお子さんなら丁度口に出して読みやすい文章量だと思います。

妖怪横丁の楽しいお店や愉快な妖怪たちがとっても魅力的!!

妖怪横丁は、言ってみればズラリとお店が並んでいる商店街のような町並みです。しかし、普通と違うのが、よくよく見て見ると、妖怪たちの名前にちなんだお店がずらりと並んでいることです。

どういう事かというと、例えばガイコツがラーメンを作っている「がいこつラーメン(だしのうまさが自慢)」や、あずき洗いが洗濯してくれる「あずきとぎクリーニング」、ほかにもトイレの花子さんの子供服屋や、ひとつ目小僧家族がやっているメガネやなどなど、一癖二癖あるようなお店ばかりが並んでいます。どの店もとっても魅力的なんです!

妖怪についての知識がある子なら、お店の看板とその店の主人との関係性や繋がりを考えてみながら読んで欲しいと思います。きっとさらに楽しく、面白さに繋がっていきますよ。

見開き1ページに2~3件のお店を描いているので、お店の内装や看板、お店のスタッフやお客さん、そして道を行き交う妖怪たちを、じっくり見て楽しめます。

今まで妖怪について知らなかったという子が読む時は。

例えば、「あずきあらいのクリーニング屋」と聞くと、妖怪について少し知識がある方ならきっと説明が無くてもこの名前の面白さやピッタリなキャラクターと特長だという事にきっとすぐに気がつくと思います。

もし知らない子であれば、そこまで気がつくのは難しいかもしれませんね。でも大丈夫です!妖怪について知らなくてもお店や妖怪達を見ているだけでも楽しいのです。

「これはなんていう名前?」と興味を持った時に教えてあげてもいいし、「これってこんな妖怪なんだよ」と言葉を加えながら読んであげても楽しいと思いました。

妖怪横丁 裏表紙

主人公の男の子の謎

最後に、私が感じた主人公の男の子の謎めいた部分について、語ってみたいと思います。

ひとつ目小僧に「お前人間か?」と問われた男の子は振り返って、逃げて帰ろうとする所でお話が終わります。しかしよく男の子の表情を見て見ると、なんだか違和感を感じました。目をギョロっと見開いて、口角が少し上がり笑っているように見えます…。私は「あれ?この子は本当に人間なのかな??もしかしてこの子も妖怪なのかも?」と疑問に感じてしまいました。そこで思い出したいのがオープニングの場面です。

買い物をお願いされた男の子の手と、お願いした人の手が描かれています。先ほども言いましたが、お願いしたのは誰なのか分からないのです。

ここでわたしは深読みしてしまいました。

この男の子が人間なのかそうではないのか、もしかしたら読者の意見を作者さんは試しているのでは・・・。どう思うかは読者次第で、どちらでも正解だと言っているのではないかと思いました。

きっと本作品の一番の見所はこの男の子のラストの表情。この物語の深みや面白さをラストの男の子の表情に忍ばせていると思います。

ぜひ、みなさんはどう感じるか・・・中を見て確かめてみてください!

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。