11ぴきのねことあほうどり
「そんなバカなー!?」と驚きのストーリー展開。計画が潰れたネコ達にちょっぴり笑ってしまう。笑いたい気分の時にピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- 1ぴきの大将と10匹の子分の、11匹のネコ達。いつもお腹がペコペコなんです。コロッケに飽きたネコ達の所にやってきたアホウドリ。ネコ達の目がキラッ。よだれがタラッ。狙われるアホウドリ。
- アホウドリの国へやってきた11匹のネコ達を待っていたのは、11匹のアホウドリの兄弟たち。1羽、2羽・・・だんだん大きいアホウドリが入って来ました。えっ!?ビックサイズすぎ!待合室の扉壊れちゃったよ!と驚く展開。
- アホウドリを食べようと企んできたのに、計画は無し無し!気球ごと口の中に入れれちゃうほど大きなアホウドリがいるなんて聞いてないよー!
☆あらすじ
「いらっしゃい!いらっしゃい!」トラネコ大将がコロッケ屋さんを始めたようです。11ぴきのネコたちは毎日せっせとコロッケ作り。どんどん作って売りました。ころっけ屋さんは大繁盛です。しかし、だんだん少しずつ売れ残るようになり、ネコたちはそれを食べていました。
コロッケばかりで嫌になった11匹のネコたち。「おいしい鳥の丸焼きが食べたいねぇ。」「あー食べたいね。」頭の中は鳥の丸焼きのことでいっぱい・・・。
そんな時です。トントントンとドアをノックするアホウドリが1匹。「私は旅の者です。コロッケを1つ分けてくれませんか?」と言われます。まさかの餌が目の前に!家に招き入れ沢山のコロッケを振る舞います。
このアホウドリにコロッケを沢山食べさせて太らせる為に・・・。食べたい気持ちをぐっと抑えます。話を聞くとアホウドリは国に兄弟が11匹いるとのこと。それなら丁度いい!アホウドリの国に行けば、1人が1匹食べられるぞ。ニヤリッ
遠い遠いアホウドリの国へ行きみんなにコロッケを作ってあげる名目で、ネコたちはアホウドリに先導され気球に乗って向かうことにしました。無事に国に着き、気球は木にくくりつけて停車させておきました。待合室に通された11匹。「もうすぐアホウドリ達が来るぞ・・・」ニヤニヤ。ニャゴニャゴ。
『私の兄弟を紹介します。』とアホウドリが1羽ずつ待合室に入ってきました。待ってました!とネコたちはニヤニヤが止まりません。1羽、2羽、3羽・・・だんだんアホウドリの大きくなっていきます。9羽、10羽・・・11羽が入ってきたら、天井に頭が突く程のビックサイズなアホウドリ!?何と待合室の扉を破壊しちゃうパワーもあります。
「ひゃーにげろー!!ニャゴニャゴー」と11匹は気球に乗り込みますが、パクー!とビックなアホウドリが口で気球ごと止められちゃいました。『皆さん、コロッケお願いしまーす!!』「こりゃあ逃げられない・・・」と諦めた11匹のネコたち。アホウドリ達がお腹がいっぱいになるまでコロッケを作りました。アホウドリ達の食べること、食べること・・・。ネコ達もうヘトヘト。
☆際立った特徴
11匹が今回はコロッケ屋さんを始めた所からストーリーが始まります。飼い主がいないネコ達はいつもお腹がぺっこぺこ。コロッケの売れ残りを美味しく食べていたのにだんだん飽きてきちゃって、たまたま出会ったアホウドリによだれが・・・今は1羽の鳥だけど、アホウドリの国まで行けば、みんなが1羽ずつ食べれるぞ。しめしめ・・・と悪いことまで考えちゃう。とっても食に対して貪欲なネコ達です。
登場したアホウドリは数字が3までしか数えられないので、コロッケ6個を「3が2つもある!」と言うんです。ネコ達はそっと笑うだけで特に何も言いません。でも、「3までしか数えられないんだ。馬鹿なやつだな」なんて内心では思っています。さあ、バカにしているのも今のうち。『絶対これから何かあるはずだ!』と。読者はストーリー展開を期待してしまいます。
アホウドリの国へ着いた時、待合室で待っているのですが、アホウドリが1羽、2羽と入ってくるページが4ページ描かれています。でも、同じ場所なのに11匹のネコ達の表情が変わるように、なんと地面や壁の色も変わっていきます。美しい色合いの中に奇妙さも混ざったような色の組み合わせが、この1番の見せ所を盛り上げているのかもしれません。
「アホウドリをバカにするからだよー。」「作戦失敗だね!」なんて、読者も物語の一員になった気分でツッコミを入れたり、笑っちゃいます。グッと物語の世界に引き込まれたんだなって気づきます。そして、また初めから見返てしまうことでしょう。
☆書店員の感想
本書の「11ひきのネコ」シリーズは、初版が1972年ですので、約50年前に発行されてから長く愛され続けている絵本です。どうしてそんなに人気があるのか。それは、11匹のネコ達のキャラクターが可愛くもあり、食に対する欲がスゴイ!「どんだけお腹が空いているんだろう。そこまでしてまで?」とツッコミを入れたくなる位、読者に「食べたいぞー!」という気持ちが伝わるように描かれています。なんだか純粋で憎めない存在で良い!からなのではないかと思いました。
可愛い11匹のネコ達は1匹の大将と10匹の子分で、親分だけしましまの体の色をしています。基本的にネコ達みんないつもお腹がペコペコ。コロッケ屋さんも、獲物を狙う時も“みんなが一緒。みんなで揃ってやってみようよ!”といった仲間のようです。だからいつも仲良しで一緒にいるんだなと思いました。ネコ達は普段は普通に話していますが、時々本性が出る時に「ニャゴニャゴ」と言います。ニャゴニャゴ言っている時は悪だくみ中か、危険があった時。あなたも11匹の側に行く時には気をつけて!なんてね。笑
11匹のネコ達の貪欲さ、素直さ、行動力の全てが面白くて、読み始めてすぐに物語の面白さに引き込まれていきます。なんでそうなったの?という疑問を少し残しつつストーリーが進んでいくからなのかな?後からコレはどうしてなのか?と見返したくなります。例えば、最初のアホウドリは本当は初めからネコ達をアホウドリの国へ連れて行ってコロッケを作ってもらう気だったんじゃないの?本当は賢いんじゃないの?など・・・。見返しても、アホウドリの表情を見る限り賢そうでもないな。でもドコかにヒントがあったりして?と探す自分がいました。
さて、アホウドリの兄弟のために11匹のネコ達はせっせとコロッケを作っているようですが、「食べること食べること。」という言葉でストーリーが締めくくられています。絵も、待合室を外から描いた絵で終わっています。きっとまだまだ、コロッケ作りは続いていそうですね。今でも作っていたりして・・・?笑
- 作品名:11ぴきのねことあほうどり
- 著者名:馬場のぼる
- 出版社:こぐま社