みなさん、こんにちは。
元介護認定審査会委員で、2005年のケアマネ試験に一発合格したナオさんです。
「十訂 介護支援専門員基本テキスト」を、毎日およそ20ページずつ読み進め、約2か月で読破するシリーズ。
今回は、第47回目です。
今回の学習範囲は、基本テキスト下巻261ページから280ページまで。
第7章 精神に障害のある場合の介護
を学びます。
動画で使用したイラストとあわせて、「試験直前まとめ」で、知識を確実なものにしましょう。
試験直前まとめ|高齢者の精神障害で押さえる12の重要ポイント
今回は、「高齢者の精神障害」と「精神に障害のある高齢者への支援」について、ケアマネ試験直前に確認しておきたい12の重要ポイントをまとめます。
この分野では、病名や症状だけでなく、本人への適切な関わり方も重要です。
特に、老年期うつ病、統合失調症、アルコール依存症、せん妄については、症状の特徴と支援方法をセットで整理しておきましょう。

1.高齢者の精神疾患は、さまざまな要因が重なって起こる
高齢者の精神疾患には、さまざまな要因が関係します。
主なものとして、
- 脳の加齢性変化
- 身体疾患
- 薬剤の影響
- 配偶者などとの死別
- 退職や役割の喪失
- 転居や入院などの環境変化
などがあります。
高齢者の精神症状をみるときは、精神面だけでなく、身体・薬剤・生活環境まで含めて考えることが重要です。

2.高齢者の精神症状は典型的とは限らない
高齢者の精神疾患では、教科書どおりの典型的な症状が現れるとは限りません。
症状が多彩であったり、訴えが曖昧であったりすることがあります。
たとえば、
「頭が重い」
「体がだるい」
「眠れない」
「食欲がない」
といった身体的な訴えが前面に出る場合もあります。
精神疾患だから必ず典型的な精神症状が現れるとは限らないことを押さえておきましょう。


3.老年期うつ病では「心気的訴え」が重要
老年期うつ病では、心気的訴えが多くみられることがあります。
心気的訴えとは、身体の異常や病気を強く心配する訴えです。
また、高齢者では「悲しい」「憂うつ」といった気分の落ち込みよりも、
- 不安
- 緊張
- 焦り
- 落ち着かなさ
などが目立つ場合があります。
試験では、老年期うつ病では心気的訴えが少ないといった選択肢に注意しましょう。

4.老年期うつ病では妄想がみられることもある
うつ病が重くなると、妄想がみられる場合があります。
代表的なのが、次の3つです。
罪業妄想
「取り返しのつかない悪いことをしてしまった」など、自分には重大な罪があると思い込む妄想です。
貧困妄想
実際には生活できるだけのお金があるにもかかわらず、「お金がなくなった」「もう生活できない」と思い込む妄想です。
心気妄想
「重い病気にかかっている」「体がもう駄目になっている」などと思い込む妄想です。
「うつ病では妄想は起こらない」ではありません。
ここはひっかけ問題に注意しましょう。

5.うつ病では自殺リスクに注意する
うつ病では、自殺リスクに注意する必要があります。
「生きていても仕方がない」
「家族に迷惑をかけている」
「消えてしまいたい」
などの発言を軽く扱ってはいけません。
また、うつ病の人に対して、
「もっと頑張りましょう」
「外に出れば元気になります」
などと安易に励ましたり、活動を強制したりすることは適切ではありません。
まずは本人のつらさを受け止め、休養と安全を確保しながら専門職につなぐことが重要です。

6.統合失調症は「陽性症状」と「陰性症状」を区別する
統合失調症では、陽性症状と陰性症状の区別が重要です。
陽性症状
- 幻覚
- 妄想
- まとまりのない思考や会話
などです。
陰性症状
- 意欲の低下
- 感情表現が乏しくなる
- 人との関わりを避ける
- 引きこもる
などです。
試験では、
幻覚・妄想=陽性症状
意欲低下・感情の乏しさ・引きこもり=陰性症状
と整理しておきましょう。

7.生活環境の変化は統合失調症の再発要因になる
統合失調症は、症状が安定していた場合でも、高齢期の大きな生活変化をきっかけに再発することがあります。
たとえば、
- 配偶者や近親者との死別
- 転居
- 入院
- 施設入所
- 人間関係の変化
などです。
「高齢者は環境変化に適応しやすい」と考えないことがポイントです。
生活環境の急激な変化は、精神状態を悪化させる可能性があります。

8.遅発パラフレニーは老年期の妄想性障害として覚える
試験対策として覚えておきたい言葉が、遅発パラフレニーです。
遅発パラフレニーは、老年期にみられる妄想性障害の代表として整理されます。
幻覚や、比較的まとまりのある妄想が現れる一方で、人格や記憶などが比較的保たれていることがあります。
妄想の内容を強く否定して説得するのではなく、本人が感じている不安や恐怖に共感することが支援では重要です。


9.アルコール依存症には認知症やうつ病が合併することがある
高齢者のアルコール依存症では、身体的な問題だけでなく、精神疾患との合併にも注意が必要です。
アルコール依存症には、
- 認知症
- うつ病
などが合併することがあります。
したがって、
「アルコール依存症では認知症を合併しない」
「アルコール依存症ではうつ病を合併しない」
といった選択肢は誤りです。


10.アルコール依存症では自助グループも重要
アルコール依存症からの回復では、医療機関による治療だけでなく、地域の支援資源も活用します。
代表的なのが、
- 断酒会
- AA(アルコホーリクス・アノニマス)
などの自助グループです。
同じ問題を抱えた人同士が体験を共有し、飲酒しない生活を継続できるよう支え合います。
ケアマネ試験では、自助グループの活用は有用であると押さえておきましょう。

11.せん妄は「急性」「変動性」「意識障害」
せん妄は、急に発症する意識障害です。
重要な特徴は、
- 急に始まる
- 一日の中でも症状が変動する
- 注意力や意識の状態が低下する
ことです。
また、せん妄というと、興奮して落ち着かなくなる状態をイメージしやすいですが、それだけではありません。
ぼんやりする。
眠ってばかりいる。
返事が少ない。
といった、**活動性が低下する「低活動型せん妄」**もあります。
「せん妄では必ず興奮する」という考え方は誤りです。

12.せん妄では原因への対応を優先する
せん妄が起きた場合は、症状だけを抑えようとするのではなく、原因を探すことが重要です。
主な原因・誘因には、
- 薬剤
- 感染症などの身体疾患
- 脱水
- 低酸素
- 痛み
- 便秘
- 尿閉
- 睡眠不足
- 入院や転居などの環境変化
があります。
そのため、せん妄が起きたからといって、すぐに薬だけで抑えるという考え方は適切ではありません。
原因を把握し、その原因に対応することが基本です。

支援の共通ポイント|病名ではなく「その人」を見る
今回の内容すべてに共通する重要な考え方があります。
それは、本人を病名だけで見ないことです。

精神症状があるからといって、本人の言葉を否定したり、強く説得したり、支援者の考えを押しつけたりするのは適切ではありません。
本人の自尊心を守り、
- 否定しない
- 急がせない
- 強制しない
- 不安や苦痛を受け止める
- 安心できる人間関係をつくる
- 安心できる生活環境を整える
ことが重要です。
妄想や幻覚がある場合も、その内容に同調するのではなく、本人が感じている不安や恐怖に共感するという考え方を覚えておきましょう。

試験直前の最終チェック
最後に、特に間違えやすいポイントを確認します。
老年期うつ病
→ 心気的訴えがみられる。妄想も起こり得る。安易に励まさない。
統合失調症
→ 幻覚・妄想は陽性症状。意欲低下や引きこもりは陰性症状。
アルコール依存症
→ 認知症やうつ病を合併することがある。自助グループも活用する。
せん妄
→ 急性で症状が変動する。低活動型もある。まず原因を探して対応する。
この4つを軸に整理しておくと、選択肢の正誤を判断しやすくなります。
「病名+特徴+適切な対応」までセットで覚えることが、この分野の得点につながります。

