すーべりだい

ユーチューブ動画で保育士書店員が詳しく解説しています

夢のようなブランコが登場!不思議でユーモアに溢れた滑り台に乗ってみたい!公園へなかなか行けない季節にピッタリ!

☆3つのおすすめポイント

  1. 様々な滑り台が登場します。想像も出来ないような滑り台、もし滑ったらどんな風に滑るのかな?「もっともっと!」主人公の女の子もウキウキ・ノリノリです。
  2. 書体を動きや音の強弱によって変えています。自然と強弱や抑揚をつけて読みたくなります。読み方を変えるだけで、楽しさが膨らみます。
  3. 筆で描かれた部分と切り貼りした部分があるからこそより一層リアルに感じます。これはごく普通の公園。でも・・・なんだか不思議!!これは自然なようで不自然な世界、だから想像が膨らんで、夢も広がるストーリーなのです。

☆あらすじ

ここは公園です。女の子が滑り台の階段を登って「それー」と滑って遊んでいます。

さあ、横にもう一つ滑り台が見えますよ。

今度は滑り台の傾斜がながーーーい滑り台。すーーーーーべりだい

隣に違う滑り台があります。次の滑り台は傾斜部分ではなく、滑り終わって平らになった部分がとっても長い・・・ すべりだいーーーーー

その隣の滑り台は、傾斜部分がジェットコースターのようにぐるぐるぐるーと回転したり左右にグネッと曲がっている するする べぇりべぇり 

到着と思ったら座面がバネで飛び出してきた、だいーーーん バネで体が勢いよく飛び出てきて、体が跳ねちゃった。「うわー!!」「もっともっと!」

アップルパイに滑り落ちる、甘くて美味しい すべりぱい

サイが滑って、すべりさい

滑り落ちるはずが、座面が真横に真っすぐ伸びて滑れない滑り台もあります。「うーん、これは困っちゃう!」

次は、アスレチックのような大きい遊具。階段で登って滑って、また登って横に移動して、滑って・・・上から見ると、滑り台なのだけど、どこかしらが繋がっている不思議な滑り台。のすべりだい、のすべりだい、のすべりだい、のすべりだい、のすべりだい。この遊具は【すべりだい】の文字になるように5台がくっついて出来た大きな遊具。【す】から順番に順序良く滑ることが出来るかな?

次は、女の子が滑り台を滑っている途中で、空間を壁紙みたいにベリッ!と破ってあっち側へ・・・今度はあっち側からベリッとこっち側へ。気分爽快! すーベリッベリッだい

次の滑り台は長いぞ!滑り始めて、滑りきったと思ったら、ターンして滑ってターンして滑って・・・なんとターンが14回。さあ、大きく息を吸って・・・すーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーべりだい

「はぁ疲れた。ちょっと休憩・・・」と立ち止まったら、『あれは、なんだ!?』上から巨大な物が降ってくる!逃げろっ!!!ドカーンと地面に落ちた物は、なんとコンクリートで出来た滑り台。ずん べりだい

この滑り台が落ちた時に、台地にヒビが貼って、この滑り台の周りの土地が崩れ落ちちゃった。崩れて崖のようになった場所の端から遠くまで見渡すと・・・下へ降りるための滑り台があります。なんか、着地場所がめちゃくちゃ下に見えますけど・・・と女の子も驚いています。

「よし、いくぞ!」と、決心して女の子は滑り台に座って、せーの・・・すーと滑ってすー すーべり 途中で座面が途切れて、だーい だーい だーい だーい

女の子の体が放り出されるかのようにジャーンプ!ジャンプした先にはまたまた滑り台の続きが待っていて、そこにすっと着地。そしてすー すー と滑って・・・地面に足がつきました。到着!

「すぅー・・・すべり だいすき♪」

一休みするのかな?いえいえ、まだまだ。「もっと すべりたーい!」 サイは、たまらん!と「やすませてくださーい」と目を回しました。

すーべりだい 表紙

☆際立った特徴

表紙のような普通の滑り台から、一部分が長い物、途中で座面が切れてジャンプするようになっている物、アスレチックのような物、空間を破ってしまう物・・・様々な夢のような滑り台が登場します。

子ども達の1番身近な公園の滑り台が変幻自在に変化したいき、「どこにこんな素敵な公園があるの?行ってみたい!」「こんな面白い滑り台に乗ってみたい!」と、子ども達の心は行ってみたい!乗ってみたい!ときっとウズウズすることでしょう。

描写によって、手書き部分とカッターで切って貼った部分と分けて描かれています。子ども達にとって、とても身近な”公園の遊具”の肌感を、リアルに表現したいと、作者鈴木のりたけさんは思われたそうです。

背景を筆でペイントし、その上から遊具や主人公の女の子が切り貼りされています。そう聞かなければ分からない位、切り貼りしている部分と背景がマッチしていて、とても自然です。でも妙に立体的な部分もあって、絵をじっと見ていると、読者は不思議な感覚になります。

そして、この女の子が遊でいる公園ですが、一体どこなのか、どんな大きさの広場なのか、これは地球なのか・・・色々謎に満ちています。

しかし、謎が多いな・・・と思うのは大人だけかもしれません。きっと素直な子ども達は「こんな滑り台を滑ってみたいな!」「こんな滑り台が次は登場してほしいな!」と、絵本の世界に引き込まれ、夢中になって楽しむことができます。不思議で謎が多い場所だからこそ、きっと柔軟に想像して、夢を膨らませてくれる事でしょう★

言葉遊びを楽しむことが出来ます。例えばサイが滑る滑る台だから、「すべるサイ」。アップルパに突っ込んで聞く滑り台は「すべりパイ」などなど。きっとお気に入りの滑り台と、言葉に出会う事ができますよ!

参考文献)Ehon Navi 「すーべりだい」「ぶららんこ」鈴木のりたけさんインタビュー

KUMONがうた・読み聞かせを応援[ミーテ] 絵本作家インタビュー「誰でも自由に楽しめる それが絵本の魅力」

☆書店員の感想

様々な滑り台が登場します。想像も出来ないような滑り台、もし滑ったらどんな風に滑るのかな?「もっともっと!」主人公の女の子もウキウキ・ノリノリです。

子どもの頃よく遊んだ公園。そして、よく滑った滑り台。階段を登って空を見上げれば青い空が誰よりも近くに見えて、滑れば誰よりもスピードが出るような、不思議で楽しい遊びの一つでした。

そんな滑り台が、本書では変幻自在に変化していきます。

無さそうでありそうなのが、とっても長い滑り台。「日本一長い滑り台」と言われる物もありますね。そして、傾斜が終わってからが長い滑り台もあります。(これは体力的に辛い・・・)でも、本書の中では、これはまだ序の口です。

ジェットコースターのように回転する滑り台ってありませんね。バネが飛び出てきて、その勢いでダイーンと滑っている人の体を跳ねさせるアトラクションも見たことがありません。そんな夢のような滑り台があったら・・・ウキウキしますね!私もバネでダイーンとジャンプしてみたいものです。着地は誰が一番カッコ良かったか友達と戦ってみたりして・・・(笑)

アップルパイに突っ込んでいく滑り台もありますよ。甘くてきっとお腹が空いた時には最高ですね!動物のサイ専用の木製の「すべりさい」もあります。動物達が次々遊びにくるのかな?

アスレチックのような大きな遊具もあります。これならお友達が何十人いても、みんなが仲良く遊べそうです。

なんて賑やかな公園でしょうか。主人公の女の子が途中で「もっと、もっと!」とはしゃぐセリフがあるのですが、ここはきっと子ども達のパラダイスなのでしょう!大人も子どもと一緒に童心に帰って遊んでみたくなる場所だと思いました。

書体を動きや音の強弱によって変えています。自然と強弱や抑揚をつけて読みたくなります。読み方を変えるだけで、楽しさが膨らみます。

本書は、自然に読むのも良しですが、強弱をつけたり抑揚をつけると更に面白さが膨らんでいくと思いました。というのも、そもそも強調している音や言葉は太文字になっていて、動きや振動がある物を表す言葉にはヒビが入っていたり、繰り返す言葉があるのですが、グラデーションでだんだん薄くなっていったりと、工夫されています。

その為、自然と読み手は、その文字を表すのにピッタリの読み方を自然としてしまうのです。

筆で描かれた部分と切り貼りした部分があるからこそより一層リアルに感じます。これはごく普通の公園。でも・・・なんだか不思議!!これは自然なようで不自然な世界、だから想像が膨らんで、夢も広がるストーリーなのです。

私が特に好きな滑り台は、空間をぶち破る滑り台です。まさか!?の展開に、女の子の横で見ていたサイと同じ、「えっ!?」という顔になってしまいました。

とても不思議です。滑り台の途中に背景と全く同じ壁紙があって、そこを突き破っているかのようです。そしてどこへ行ってしまったのかな?と思ったら、またまた空間を破って戻ってきます。破って行った先は一体何だったのかな??二次元の世界なのかな?

それは女の子しか知らない秘密の場所なのかな?

次に空から降ってきた滑り台も、すごく迫力がありました。コンクリートのようにも見えるし、石のようでもあるような。滑り台の形に加工してあるのですが、何となく古い感じもします。どこから来たのか、誰の為に作られたいつ頃の物なのか。そして、その重たいものが落ちてきたせいで、地面にヒビが入ります。そして公園の周りを見てみると、どうやらそこは陸の孤島。その公園の周りは、なんと崖のようになっています。その崖を降りるには、長い滑り台を降りなくてはなりません。

ここは一体どんな世界?この空間はどんな場所?私はやっぱり不思議です。不思議でいっぱい・・・です。

でも、きっと子ども達はそこまで不思議とは感じないのかもしれません。だって、こんなにも楽しい公園で、夢のようなブランコが沢山あるんですから。これがこの絵本の中の普通で、自然な事。別に不思議な事はないよ!面白いよ!って言われちゃうかもしれません。

そう考えると、もしかしてそれが、『本書の一番面白い所』なのかもしれません。

大人は不思議を楽しんで、子どもは夢や想像を膨らませる絵本。親子で一緒に”滑り台”を読んでそれぞれの楽しんで感じて、「どうなってるのかな?」と話し合ったり「どれに乗ってみたい?どんな滑り台があったら嬉しい?」と夢を語り合うときっと面白いと思いました。

公園になかなか行けない時だからこそ、絵本の中で公園へ行って、ブランコに乗った気分で楽しみませんか?

すーべりだい 裏表紙
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。