リサとガスパールのはくぶつかん
リサとガスパールにしか出せない空気感やハプニングが読者をワクワクさせます!今日は博物館へレッツゴー!ドキドキしたい子にピッタリ!
☆際立った特徴
- ウサギでも犬でもない、仲良しな二人は、とてもイタズラ好き。
- 油絵で描かれる素朴で温かみのある作風。
- 背景として実在するパリの著名な場所が多数登場。
☆読み聞かせのポイント
- 博物館へ一緒に行った気分で読んでみよう。博物館へ行った事のある子は、「〇〇を見たことあるね」など、思い出してお話しよう!
- イタズラ好きの二人。二人のナイスアイデアを一緒に楽しもう!
- 反対にこんなことしたらどうなるのかな?クラスのみんなの立場になって、どんなに心配するか考えよう。博物館ではどんな風に回ればいいかな?
☆あらすじ
今日は、バスに乗って博物館へ遠足!
博物館ってどんな所か先生が説明してくれた。動物のはく製がいっぱいあるんだって。
博物館へ着くと、僕たちはあちこちを回り、色んなものを見学したんだ。
絶滅動物の展示室に入ろうとした時、友達が僕とリサに「君たちは絶滅動物と間違えられちゃうかもしれないから、入らない方がいいよ」って言うんだ。なにおー!
でも、リサと僕はいい事を思いついちゃった…。
そっと柵の中に入って、展示してある動物達のようにポーズをとった。
すると、みんなぜんぜん気がつかないで写真を撮ってるよ。
僕の天才的な作戦は大成功だ。
でも、調子に乗ってポーズをとっていたら、まずい事になった。
館内の電気が消えて真っ暗になっちゃった。しかもクラスのみんなに置いて行かれちゃった。
大丈夫、何か食べて、明日までここにいればいいさ。
でも、ここにあるのは恐竜の骨ばかり。食べ物なんてどこにもない。どうしよう…。
その時「ぎゃー!」と恐竜が突然吠えた。ビックリして心臓が飛び出そうになった。
でも、吠えたのは恐竜ではなく、ガードマンの犬だった。
クラスのみんなが探しに来てくれたんだ。
あーあ、良かった。助かったみたいだ。
☆書店員の感想
博物館へ遠足へ出かけた子ども達。リサとガスパール達と同じ目線で博物館そのものを楽しみましょう!
自分が学生の時のバス遠足といえば、バスの中の特別な時間を思い出します。バスへ乗り込む前のドキドキや、座席に座ってガイドさんや先生の話を聞いてた時「これからこんな所に行けるんだ。何があるんだろう。どんな楽しさが待っているんだろう。」と隣の席の友達と想像を膨らませたものです。
本書の中でもリサとガスパールがバスへ乗り込み「博物館へ行くんだ!楽しみだな♬」とドキドキワクワクしている場面から描かれています。博物館へ行ってからも色んな展示物を楽しく見ながら学ぶ様子も描かれています。
読者もきっと、リサとガスパールと並んで博物館を見て回っているような気持ちになる事でしょう。きっとすでに見たことのある展示物も描かれていますよ。「動物園で見たことがあるね。」「沢山の種類がちょちょにはあるんだね。」と思い出して話してみるのも楽しい読み方だと思いました。
絶滅生物に間違われるからとクラスメイトにからかわれた二人。でも、そこから二人のイタズラ心がうずき始めたようです。どんな気持ちでイタズラを楽しんでいたのかな?
リサとガスパールは人間と同じように生活しています。人間じゃない事に違和感を持つ人もいないようです。そんな世界観・設定の世界なのかな?と思ったのですが、博物館で絶滅危惧種の展示スペースの前に来た時に、その外見が絶滅危惧種と似ているという事をからかわれてしまいます。今まで楽しく見て学んでいた二人だったのに、それがきっかけでイタズラ心がうずいてしまったようです。
絶滅危惧種に似ていると言われたことを逆手にとって、自分達が展示物の1つになってみんなを驚かせようと企んだ二人。そもそも似ていると言われただけあって、展示スペースにじっと立つ二人に誰も気がつきません。二人の心の中はきっと「しめしめ…気がつかないで僕たちの写真を撮っているぞ。」といった感じでしょか。
しかし、調子に乗りすぎた二人は気がついた時にはみんなに置いて帰られてしまいました。
博物館の誰にも気がつかれず、電気を消されドアを閉められ、二人は完全に置いてけぼりに…。暗い館内に二人だけになって初めて、「少しイタズラするつもりだったのに、やりすぎちゃったな。」と感じたのではないでしょうか。
二人が反省した頃、ガードマンと共にクラスメイトが探しに戻ってきます。二人の安堵した様子に、読者もホッとします。
夜の博物館は、スリルがいっぱい!
博物館に取り残された二人。そこには動くものはなく、ただ何万・何千年も昔に生きていた恐竜の骨だけが展示されています。ライトアップされた恐竜たちはとっても迫力があり、幼い二人にとってゾクゾクッと怖くなるような時間だったのかもしれません。しかし、なぜだかロマンチックにも感じちゃうのが、夜の博物館の不思議な魅力です。
油絵の具で描かれているので、他で描くのと一味違った雰囲気を感じさせます。
表紙にも描かれているように、博物館に展示された恐竜の骨は、今にも動き出しそうです♬
- 作品名:リサとガスパールのはくぶつかん
- 著者名:文 アン・グットマン 絵 ゲオルグ・ハレンスレーベン 訳 石津ちひろ
【参考文献】