いいから いいから
「いいから いいから」世界を平和にする為の大切な合言葉なのかもしれません。おじいちゃんが大活躍!敬老の日の読み聞かせにもピッタリです!
☆3つのおすすめポイント
- いきなり家に現れた雷の親子。おじいちゃんは「いいからいいから」と来た理由も聞かずに、もてなします。男の子も一緒におもてなし。雷の親子が逃げていってしまうほどのおもてなしとは?
- 次の日、おじいちゃんと男の子のおへそが無くなってしまいました。男の子はショックを受けたけど、おじいちゃんは「いいからいいから」と受け入れてしまいました。カエルになったらどうしよう。そこに郵便で送られてきた封筒。中身は何でしょう?
- 「いいからいいから」と許す気持ちの大切さを伝えるストーリーの中に、ギャグ要素も取り入れているから、ギャップがさらにストーリーを楽しく盛り上げます。
☆際立った特徴
おじいちゃんの口癖は「いいから いいから」どんなにビックリすることが起きても「いいから いいから」と許し、逆に「よく来てくれました!」と喜び、思いやりをもって接します。
長年生きているおじいちゃんならではの考えなのかもしれません。長年生きているからからこそ、小さな失敗や自分に今から訪れるかもしれないトラブルを「いいから いいから」と大きな心で受け止めているのでしょう。もし、おじいちゃんのように子どもの頃から「いいから いいから」と言える人になれたら、どんなに幸せな事でしょうか。私もそんな人になりたいし、子ども達もそんな大きな心と優しさで相手を思いやれる人に育って欲しいと願ってしまいます。
本書の帯に著者長谷川義史さんの願いが書かれています。きっとこの願いが本書の中にいっぱい詰まっています。そして、本書を読む子どもたちにとってもわかりやすい「いいから いいから」という言葉で、”怒らない大切さ”を伝えています。
【怒ってはいけない。誰かが怒ると誰かに伝染してまた誰かが怒られる。それがまた誰かに伝染してなーんも良いこと無い。世界を平和にする本気の合言葉「いいからいいから」】
☆書店員の感想
いきなり家に現れた雷の親子。おじいちゃんは「いいからいいから」と来た理由も聞かずに、もてなします。僕も一緒におもてなし。雷が逃げていってしまうほどのおもてなしとは?
いきなり目の前に現れた雷の親子。ビックリして怖くなりますよね。普通は「誰だー!」と怒ったり、「何の用だ!?」と手にフライパンを持って威嚇するようなシーンです。しかしおじいちゃんは「せっかく来てくださったんだから。いいから いいから」と逆に喜び、おもてなしをします。雷の親子は何か言いたそうな様子でしたが、もてなされるとは思ってもみなかった様子。食事はハンバーグにお刺身。かなり豪勢な食事に雷のお父さんは申し訳無さそうにご飯を食べました。
さらにおもてなしは続きます。次はお風呂に誘いました。「それは困ります。そこまでしていただくと・・・」と雷の親子は遠慮したけど、おじいちゃんと男の子はパンツを脱いで、少々強引にお風呂に連れて行きました。雷のお父さんはおじいちゃんが、雷の子どもは男の子が背中をゴシゴシと洗い流してあげると「自分で洗いますから」と恥ずかしがるお父さん。しかし、さらに角まで洗ってあげるおじいちゃん。
お風呂から上がると、下着の替えがない雷のお父さんにおじいちゃんは自分の新しいパンツを差し出しました。さすがにパンツまでは・・・と雷のお父さん。ヘロヘロ〜と膝の力が抜けたように座り込みます。
「もう勘弁してー!!」と言わんばかりにそそくさと雷の親子は逃げて帰ってしまいました。
次の日、おじいちゃんと僕のおへそが無くなってしまいました。僕はショックを受けたけど、おじいちゃんは「いいからいいから」と受け入れてしまいました。カエルになったらどうしよう。そこに郵便で送られてきたの封筒。中身は何でしょう?」
郵便で届いた封筒の中にはなんと雷の親子に取られたおへそが2つ入っていました。「親切にしていただいたのに、いつものようにおへそを取ってしまいました。おへそはお返しします。ごめんなさい!」と書かれた手紙。
もしかしたら普段は、おへそを取りに行くと大抵「誰だー!」と怒られて、その勢いで悪びれもなくおへそを取っていたのでしょう。罪悪感なんて感じたことも無かったかもしれません。しかし今回は怒られるどころか、十分な程おもてなしをされ、困惑した様子でした。取って帰ってみたけど、罪悪感でいっぱいになったのでしょうね。返さずにはいられなかったという気持ちが伝わってきます。郵便切手が貼って無くて、結局おじいちゃんが払ってあげたという所が、雷の親子のおっちょこちょいな部分でもあり、それだけ「急いで返さなきゃ!」という焦りや申し訳なかったという深い謝罪の心を感じます。
「いいからいいから」と許す気持ちの大切さを伝えるストーリーの中に、ギャグ要素も取り入れているから、ギャップが面白い!
男の子が誤っておじいちゃんのおでこにおへそをつけてしまいました。そしておじいちゃんの口調が「ケロケロッ」とカエルみたいに・・・そんなバカなー!!とギャグも入れつつ、怒らずに「いいからいいから」と許す所や、鬼が封筒を切手無しで送ってきて、おじいちゃんが代わりに払うというおっちょこちょいな所など、「おいおいっ。そんなバカな・・・」と思わず突っ込みたくなり、笑っちゃいます。
最後のページは、なんとカエルポーズで座るおじいちゃん所に、幽霊の親子が訪れています。おじいちゃんはハエを捕まえるために舌をビローンと伸ばしつつ、「いいから いいから。どうぞお座りになって」と招いているようです。
最後までギャグ。だけど、その先のストーリーがもっと知りたくて、その先のストーリーに繋がるヒントは無いものかと、私はじっくり眺めてしまうのでした。