おしっこ、うんちはどこにいく?
家で使われた水って一体どこへ流れて行くのかな?冒険気分で見てみよう!3・4歳から水道について学ぶ3・4年生にもオススメ!!
☆際立った特徴
- 家庭で使われた水はどこへ流れて行くんだろう?水の行き先を学べる絵本。
- 主人公の男の子とお父さんが、小さくなって冒険へ!スタートはトイレの便器の中。
- 「うんこはどこへ?」というタイトルの印象と異なり、下品さは感じない。
- 海外の絵本?と思えるようなオシャレさがある絵。
- 使われている色は、線を描いている黒と、その他はパステルカラー。
- 身近なのに、その中身はよく知らなかった水の行き先や、マンホールについて知ることが出来る。
- 小学3・4年生で学ぶ「水再生センター」の具体的な設備や役割についても書いている。
- 難しすぎず、就学前の子でも気軽に読んで楽しめる。
- 「海の水を汚さない」という学びにもなる。
☆読み聞かせのポイント
- 「うんちってどこへ流れて行くのかな?」と読む前にお子さんと、まず話してみると面白いと思います。「さあ、一緒に水の冒険へ出かけよう!」と主人公の男の子について行く気持ちで読み進めていきましょう!
- 色合いがキレイで、『排水管』『下水管』の汚いという先入観を全く感じさせません。途中で流れてくる”うんこ”とも遭遇するのですが、「汚いから見たくない!」とはならないと思います。
- 地上と地下の断面を描いているページがあります。地面の下にこんなに水が集まって流れて行くだなんて驚いたり、地上ではみんなはどんな生活をしているのか見ても面白いと思います。「自分達が公園で遊んでいる時に地下では水が流れているんだね。」と話してあげると、身近に感じられるかもしれませんね。
☆あらすじ
朝起きて、僕は冷たい水を飲んだ。とっても美味しいな。
僕はすぐにトイレに行って、おしっこをしたんだ。
今飲んだばかりの水が、もうおしっこになったのかな?そんな訳ないか。
僕はトイレの水を流した。そして洗面所ですぐに手を洗ったよ。
僕がリビングにいる時、洗濯機の水が流れる音や、お風呂に入っているお父さんのシャワーの水が流れて行く音が聞こえた。その時僕は、さっきのトイレの水や洗濯機・シャワーの水はどこへ流れて行くんだろう?と、ふっと気になって考えた。
僕はお風呂から上がったお父さんに「トイレの水はどこへ流れて行くの?」と聞いてみた。するとお父さんは、「探検に行ってみよう!」と言った。
二人でウエットスーツを着て、小さくなる薬を飲んで、いざ、便器の中へレッツゴー!
流れに任せて進んでいくと、僕らは細い管に入って行った。ここは『排水管』と言うらしい。
排水管から出ると、今度はもっと太い管に入った。ここは『下水道管』なんだって。
ここは家だけじゃなくて色んな所から水が集まってくる場所なんだって。うんこもプカプカやって来たよ!
今までよりもっと大きな管の中に入った僕たち。
家で使った水だけじゃなくて、雨水もここに流れてくるよ。どんどん水が集まってくる。流れに任せて仰向けで流されていくと、暗い天井に小さな穴が丸く光っているのが見えた。あれは『マンホール』だ!
何か不具合や詰まりがあると、あそこから人が入って点検するらしい。ちなみに『マンホール』は”ひとのあな”という意味らしい。なるほどなー。
水は高い所から来て、低い場所まで流れていくと、ものすごく深い所まで行っちゃうから、途中ポンプで吸い上げられる。
僕たちが着いた場所は『水再生センター』。ここには町中の水が集まるんだよ。そしてここでいくつかの工程を経て、きれいな水に再生されて、またトイレ用の水などになって家庭で使われたり、海や川へ流されているんだって。
「魚さん達、キレイな水だから安心してね。」
そういえば、僕たちは海まで来ちゃったけど、どうやって家に帰ればいいんだろう?お父さん、そのこと考えていなかったみたい。あらら・・・。
☆書店員の感想
私は本書を手に取り、タイトルに「おしっこ・うんこ」と書いてあるけど、全く汚さや下品さを感じさせない本だなと思いました。逆に絵のポップなデザインと色合いの可愛らしさや美しさに、惹かれていく自分がいました。
そして、「うんこ」「おしっこ」とタイトルについている物というと、トイトレのお話である事も多いかと思うのですが、トイトレ絵本ではないという事も驚いた部分です。
下水道・排水管・水再生センターという場所で水をキレイに再生し、家庭のトイレの水として戻したり、海に戻したりするという事を知ることが出来ます。
実際に、子ども達は水再生センターについて小学校3・4年生で詳しく学ぶのですが、水の行き先や再生について可愛らしい絵で描かれているので、とっても見やすいし、分かりやすいと思いました。
「トイレの水と言えば汚い」という先入観とは全くかけ離れていて、本書ではトイレの水を含め、下水管の中の水も水再生センターに集められた水も、どこへ行っても何が混じっても、キレイな色で描かれています。とっても見やすし、冒険気分を楽しめると思いました。
●お父さんと男の子が、下水道の水の上で仰向けになり流されながら見上げるシーンが私はお気に入りです。マンホールがお月様のように見え、「まるでプラネタリウムみたい!」と男の子が感動します。そして、流されていきながら、気になった場所の説明をお父さんがその都度してくれるので「なるほど!」と、男の子にとっても読者にとっても勉強にもなるし、より一層楽しめるのではないかと思いました。
そこも含めて、小学生にもピッタリだと思いました。(リアリティーを求めるのであれば、本書と一緒に図鑑などで本物を確認すると良いかもしれません。)
今あなたがいる場所のずっと下で、水はいつでも流れています。あなたの家からも隣の家からも、町中の水も、いつか一つにまとまって流れて行きます。途中でうんこと出会う事もあります。でも大丈夫!避けながら進みましょう!
お子さんが就学前であれば、「トイレでおしっこやウンチが出たら流すよね。どこへ流れて行くのかな?」冒険気分を味わったり、小学3・4年生であれば学びの1つとして読んでも楽しい絵本♩
さあ、あなたも主人公の男の子とお父さんと一緒に冒険へ出かけた気分で、水に身を任せて進んでみてください!
- 作品名:中川ひろたかのせいかつかがく絵本 おしっこ、うんこはどこにいく?
- 著者名:作 中川ひろたか 絵 カワチ・レン
- 出版社:アリス館