ぞうくんの あめふりさんぽ
梅雨の季節にピッタリ!雨の日だからこそ楽しい散歩を描いています☆
☆際立った特徴
- 「ぞうくんのさんぽ」の続編。シリーズ2作目。
- 最初から最後まで雨のシーンが続く。
- 泳げないぞうくん。
- 池の中からカバ君が池の散歩に誘う。どう散歩するのかお楽しみ!!
- ワニ君・カメ君も登場し、ぞう君の散歩にひと役かう。
- ラストはドシャーンとひっくり返ってのハプニング!!その後を想像させる水しぶきの迫力。
- 登場する動物達の色がグラデーションがかっていて、フワッと優しい雰囲気を出している。瓶のカラーインクを水で溶いて使用している。
- 遊びはダイナミックで迫力満点!水しぶきがこちらにも掛かりそうな程!!
☆読み聞かせのポイント
- 力自慢の動物達。水の中は浮力があるからといって、まさかそんな状態でぞう君のお散歩を助けるとは!!と思っても見ない光景を描いています。「すごいね。力持ちだね」「カメ君大丈夫かな?」など、大人も子供も絵を見て感じたままを言葉にして読むと、もっと物語にグッと入り込めると思いました。
- 「雨ザーザーだね。こんな日にお散歩するのも面白そうだね」など普段あまり味わう事の少ない雨の日のお散歩を絵の中で楽しみましょう!雨の日に散歩に行くきっかけにもなるかもしれませんね。
☆あらすじ
ぞう君は雨の日に、散歩に出かけました。
しばらく行くと池があり、池の中からカバ君が顔を出し「一緒に池の中を散歩しようよ!」と言いました。
しかし、ぞう君は泳げません。
「大丈夫。僕は池の中では力持ちだよ。」と、カバ君はぞう君の下に潜って、背中に乗せてあげました。
しばらく行くと、水がだんだん深くなってきました。そこにワニ君がやって来ました。
「僕もお手伝いするよ。背中に乗って!大丈夫。僕は水の中では力持ち!」と、ワニ君は背中にカバ君を乗せました。
しばらく行くと、もっと水が深くなってきました。そこに小さなカメ君がやって来ました。
「僕もお手伝いするよ!」
カメ君は背中にワニ君を乗せました。ワニ君の上にはカバ君とゾウ君が乗っています。
「僕は水の中では力持ち!」と言いかけたカメ君でしたが、あまりの重さに・・・バランスを崩してしまいました。
ドシャーン!!
ワニ君もカバ君も、そしてゾウ君もひっくり返ってしまいました。
泳げないゾウ君。みんなが大変だ!!と思った瞬間、ゾウ君が急に水面にプカッと浮かび上がりました。「そうか、力を抜けばいいんだね」
ゾウ君は上手に泳げるようになりました。
じゃあみんなで水遊びしちゃう?やろう!やろう!
大きな水しぶきが「ザブーン!!」
☆前作「ぞうくんのさんぽ」が生まれた日について 作者なかがわひろたかさんインタビュー
福音館 こどものとも50周年記念ブログ powered by ココログ: <作家インタビュー>『ぞうくんのさんぽ』が生まれた日 なかのひろたか
☆書店員の感想
雨の中を雨具を着てお散歩って経験ありますか?少し面倒だけど傘ではなく、あえて雨具を着て歩くのってとっても楽しいですよね。
本書では全てのページに一滴一滴ハッキリと強調して雨粒を描いています。不思議な物で、私はそれだけで「雨の日」の思い出が頭に浮かびました。
私は雨が降る日に子どもに雨具を着せて雨の散歩に出かけた事があります。なんだか雨がポツポツと直接体に当たる感覚が気持ち良くて、晴れた日とは違う景色が広がっていて、カエルの声が良く聞こえて、とても楽しかったです。
登場するゾウさんはどうして雨の日のお散歩に出かけたのでしょう?
もしかしたら私と同じ気持ちだったのかもしれません。雨の日だからこその楽しみや出会いを探しに行ったのかな?
●泳げないゾウ君を池の散歩に誘ったカバ君。「大丈夫!僕が乗せてあげるよ」と背中に乗せてくれました。その後ゾウ君を乗せたカバ君をワニ君が乗せ、その後ゾウ君カバ君ワニ君を小さなカメ君が乗せ・・・という展開に発展していきます。
その乗り方が本書の最大の特徴なのですが、ゾウ君の下にカバ君、カバ君の下にワニ君、ワニ君の下にカメ君と、下に入り込んで持ち上げるようにしています。池の中が進むにつれどんどん深くなるので、泳げないゾウ君が水面に顔を出せるようにしてあげているという訳です。
そうきたか!!と驚く展開です。
前作「ぞうくんのさんぽ」では、陸地でゾウ君が背中にカバ君、ワニ君、カメ君を乗せて散歩するストーリーだったのですが本作は池の中。水の中に強いカバ君・ワニ君・カメ君が泳げないゾウ君の為にと、背中に乗せてあげるのです。
前作とは逆になっている所が面白い所。水の中と陸の違いや、得意を活かして助け合う姿が面白さであり、互いを思い合う素敵な部分です。
最後は一番下に入り込んだカメ君がバランスを崩してひっくり返るのですが、この時ゾウ君はタイミングよく泳ぎ方をマスターします!力の抜き方が分かり、自然と体が浮くという事が習得できたからです。みんなで水の中でダイナミックに水遊びが始まるのですが、お話はここで終わります。
●終わりの水しぶきのダイナミックな描き方は、それだけでゾウ君達のその後の遊びを想像させる物でした。
まるでゾウ君達がはしゃいで遊ぶ様子が想像できるほど、元気な水しぶきだと思いました。水の掛け合いっこしているのかな?泳ぎの競争をしているのかも?と、絵本のストーリーの延長線を自由に想像できるラストシーンだと思いました。
あえて遊ぶ姿ではなく、大きな水しぶきを描いているからこその効果だと思います。きっと絵本を閉じた後でも頭の中で想像を膨らませ、楽しむ事が出来るのではないかと思いました。
- 作品名:ぞうくんの あめふりさんぽ
- 著者名:なかのひろたか 【インタビュー (なかのひろたかさんの絵本「ぞうくんのさんぽ」シリーズ 雨でも風でもマイペースにおさんぽ)】 参考文献 良書良日
- 出版社:福音館書店