にゅうしちゃん
可愛い乳歯たちがたくさん!子どもも大人も歯について詳しく知ることができます。可愛くてちょっとクスっと笑ってしまうような素敵なイラスト。大人にも小さなお子さんにもピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- 歯が赤ちゃんのように描かれていてとってもかわいい!全ての乳歯を擬人化することで、身近なお友達として感じることができます。歯とぜひお友達になりましょう!
- 大人も勉強になるほど歯について詳しく説明されています。可愛いイラストで、自然と楽しく学ぶことができます。どうして歯を磨くのかな?など、歯磨きの大切さを実感できます。
- みんなの乳歯ちゃんも元気かな?歯って、食べて生きていく上で一生のお付き合いをする大切な存在です。乳歯ちゃんとのお別れもやってきますが、お口の健康を保っていきましょう。
☆あらすじ
おーちゃんという女の子がいました。おーちゃんのところに最初の歯のお友達、「乳歯ちゃん」がやってきます。赤ちゃんのおーちゃんはなんでも口に入れて確かめます。
乳歯ちゃんがやってくると、固形物も食べられるようになってきます。甘くておいしい赤ちゃんせんべいを食べ始めると、口の中にはたくさんの「ミュータンスちゃん」がやってきます。ミュータンスちゃんも甘いものが大好き。しかし、この子たちが「虫歯ちゃん」を作る原因となってしまうのです。
一度穴が開いて虫歯ちゃんになってしまうと、もとには戻りません。痛くて痛くて泣いてしまうので、そうならないように優しく磨いてあげましょう。汚れがたまりやすい場所の紹介もありますよ。
そして、成長するにつれて乳歯ちゃんがどれだけ増えるのか、口の中の様子が分かりやすく描かれています。歯にはみんな名前があって、それぞれ役割があります。「犬歯ちゃん」「切歯ちゃん」「臼歯ちゃん」がいて、全部で20本です。
乳歯ちゃんたちは6か月ごろから数本ずつやってきて、3歳ごろに全員揃います。
乳歯ちゃんと仲良しの歯茎ちゃんは、乳歯ちゃんのかけがえのない大切なお友達です。
乳歯ちゃんの中身や、足の本数も教えてくれます。切歯ちゃんと犬歯ちゃんは足は1本ですが、下の臼歯ちゃんは2本、上の臼歯ちゃんは3本です。また、乳歯ちゃんを助けてくれる仲間たち、乳歯ちゃんが大好きな食べ物のお友達もいて、とってもにぎやかです。
乳歯ちゃんのファッションショーも、いろんな食べ物でオシャレをしていてシュールなんですが、可愛らしいです。
そんな風に楽しく過ごしてきた時間も、おーちゃんの成長とともにお別れのときがやってきます。けれど、さみしく思う必要はありません。乳歯ちゃんとお別れしたあと、今度は新しいお友達がおーちゃんのところへやってきます。それは、「永久歯ちゃん」です。また新たなお友達との出会いです。
☆際立った特徴
乳歯ちゃんが赤ちゃんのような姿で、女の子のところへやってきます。歯が生える=お友達がやってくる、という視点でお話が進んでいきます。口の中にお友達が来てくれた、と楽しい気持ちになります。
歯の種類や虫歯について、生える時期や、歯にいい食べ物など、歯についての知識がふんだんに盛り込まれていて、歯についての意識づけになります。
可愛いイラストで、乳歯ちゃんも女の子のおーちゃんもキュート、とっても惹かれます。
歯の大切さと、子どもの成長を想うことにもつながる絵本です。
☆書店員の感想
●歯の擬人化が面白い!全ての乳歯を擬人化することで、身近なお友達として感じることができます。歯とぜひお友達になりましょう!
生後6か月ころになると、はじめて出会う「乳歯」。永久歯に生え変わるまでの大切な存在です。そんな乳歯を赤ちゃんのように描いているのが「乳歯ちゃん」。みんなスタイか頭に赤ちゃんの飾りのようなものをつけていて可愛らしいです。
絵本では、乳歯もお菓子もミュースタンス菌も、歯肉や歯磨き粉もキュートなキャラクターとして描かれていて、身近な存在に感じます。
乳歯の説明と一緒に、主人公のおーちゃんも少しづつ成長していきますので、お子さんの成長と合わせて読み深めていくことができます。
乳歯ちゃんたちも、歯の形に合わせて3種類の乳歯ちゃん「けんしちゃん」「きゅうしちゃん」「せっしちゃん」がいます。「けんしちゃん」はいわゆる犬歯で、4人の犬歯がいます。とがった形で食べ物を切り裂く役目を担っています。「きゅうしちゃん」は臼歯、ですね。全員で8人いて、食べ物をすりつぶしています。とても大変ですが、日々頑張っています。「せっしちゃん」は切歯で、8人のお友達がいます。のみや包丁のような頭の形をしていて、食べ物を噛み切っています。それぞれ特徴を持った形と働きをしていて、自分の歯について自然と興味が湧いてきそうです。
乳歯ちゃんたちはつぶらな瞳をして、そんなに大きな表情の変化がない乳歯ちゃんたちですが、虫歯のときはぽろぽろと涙を流し泣いています。なんだか切なくなって、「しっかり磨いてあげたい!」という気持ちになってきます。読んでいるうちに、乳歯ちゃんへの親近感が膨らんでいくように感じました。
●大人も勉強になるほど歯について詳しく説明されています。可愛いイラストで、自然と楽しく学ぶことができます。どうして歯を磨くのかな?など、歯磨きの大切さを実感できます。
乳歯について絵も説明も、詳しく細かく描かれている絵本です。
歯の役目や、歯の中身、生える場所と年齢の目安も描かれていて、とても勉強になります。けれど可愛いイラストと分かりやすい構図で、お子さんも楽しく歯について知ることができる内容だと思います。
また、乳歯ちゃんたちがお布団を敷いた上に、歯茎のような枕で寝転んで並んでいる姿がなんとも可愛らしいです。赤ちゃんがずらっと並んでいるようで癒されます。子どもの口の中に、こんなにかわいい歯が20本も並んでいるんだなということが実感でき、子どものみならず大人も改めて歯や歯磨きについて関心を深められるように思います。
さらに、歯の足の本数が違うということをこの絵本を読んで初めて知りました。せっしちゃんとけんしちゃんは1本、下のきゅうしちゃんは2本、上のきゅうしちゃんは3本です。長男は前のほうに生えている歯が結構生え変わってしまったので、次男の歯が抜けたときにじっくり歯の足の本数も見てみようと思いました。
また、口の中の虫歯の原因となる「ミュータンス菌」について聞いたことはありましたが、絵本の中にも出てきていて、ミューミューと鳴くミュータンスちゃんが一緒にたくさんドドドと押し寄せてくるようすは、虫歯になる切迫感がします。(笑)
虫歯になる原因と、その対処法が分かりやすく描かれていますので、「虫歯にならないように歯磨きをしたい」という意識づけになると感じました。
●みんなの乳歯ちゃんも元気かな?歯は、食べて生きていく上で一生のお付き合いをする大切な存在です。乳歯ちゃんとのお別れもやってきますが、お口の健康を保っていきましょう。
乳歯ちゃんとのはじめての出会いから、赤ちゃんだったおーちゃんがだんだん大きくなっていきます。乳歯ちゃんをかじっていた赤ちゃんの頃のおーちゃんが乳歯ちゃんたちと一緒に遊ぶようになって、乳歯ちゃんをしっかりブラッシングしてあげられるようになるまで成長しました。一緒に靴を選んだり、デンタルフロスちゃんで歯と歯の間を協力して掃除しているシーンもあります。食べ物が乳歯ちゃんについたのを想像して、ファッションショーをしているようすも見ていて楽しいです。パンでリーゼントをしたり、生クリームでお団子ヘア、マカロニでちょんまげなどユーモアたっぷりです。
そんなおーちゃんと乳歯ちゃん。大切なお友達ですが、ある日別れは訪れます。
おーちゃんを先頭に乳歯ちゃんたちと並んで歩いていると、一番後ろを歩いていた乳歯ちゃんがトテッと倒れます。そして、ひとり、ふたり、とぽぅっと旅立っていきました。おーちゃんは優しく手を振っています。なんだか切なくなるような描写ですが、仲良くしてくれてありがとうという気持ちでいっぱいになるようにも思います。
乳歯ちゃんが旅立ったあと、お口の中の空席には、新たなお友達がやってきます。それが「永久歯ちゃん」ですね。新たな出会いにこれからの長いお付き合い、大切に仲良く過ごして行かなければ、という気持ちが芽生えるように思います。
歯は当たり前のように口の中に生えて、大きくなって生え変わっていく。なんでもないことのようですが、口の健康は体の健康にもつながっているんですね。絵本にも「乳歯ちゃんが好きな食べ物」でいろんな食べ物が描かれていますが、きのこや牛乳、フルーツに大豆製品、大根やカブの葉っぱに魚、ひじきなどの海藻が描かれていて、歯にも体にもいいものばかりです。アーモンドやごまもありますよ。
歯についての知識や意識が大きく得られ、高められる楽しい絵本です。乳歯ちゃんとおーちゃんのやりとりも面白くて可愛くて、読み応えがありますので、お子さんにも大人の方にもおすすめしたい1冊です。