チリとチリリゆきのひのおはなし
寒い冬の読み聞かせにピッタリ!チリとチリリが自転車に乗ってお出かけします♩行った先で出会った温かくて優しい動物達と美しい雪の世界が、待っていますよ。
☆3つのおすすめポイント
- チリとチリリは、雪の中自転車に乗って出かけます。見つけた氷の扉を開けると、そこは氷の別世界でした。ホットドリンクをもらって大広間でビー玉遊び。さあ、この奥は何があるのかな?
- 氷で蕾が開かないお花。温泉の中に入れると、ぱっ!と咲きました。まるで温泉の中がお花畑。心も体もホカホカに温まり、湯上りの蒸しパンを食べてさらに幸せ気分です。
- 所々で、「自分ならどんなコテージに泊まりたいかな?」「大広間でどんな遊びをしたいかな?」と選んで楽しめるように描かれています。チリとチリリと一緒になって自分まで冒険に行って楽しんでいるように感じます。
☆あらすじ
初雪が降り始めた、ある日の午後。チリとチリリは自転車で出掛けることにしました。出掛けた時には地面が見えていたのに、だんだん雪が積もって地面が見えなくなってきました。森も池も凍って、辺り一面真っ白な雪景色。
しばらく行くと、氷の扉がありました。中に入ってみると、まるでそこは喫茶店。氷のテーブの後ろにはカモシカとサルさんがいました。「おつかれさま!まずはいっぱい!」と何やら入れてくれるようですよ。チリとチリリに調度いい大きさのカップに入れてくれたのは、リンゴとニッキのホットフルーツパンチでした。体がぽかぽかと温まります。
チリとチリリは自転車に乗って、氷の廊下を通ります。
すると、大広間につきました。様々な動物達が、トランプをしたり読書したり、お昼寝や編み物など、色々に過ごしています。チリとチリリはビー玉遊びに混ぜてもらう事にしました。それは、色々なお花の蕾が凍って出来ているビー玉でした。
しばらくすると、「準備できたわよー!」と、何やら呼びに来ました。
チリとチリリと動物達は、渡り廊下を行きます。なんだか温かくなってきました。
そこはなんと、”温泉”です。チリとチリリは温泉に入って、持っていたビー玉をお湯に入れました。すると、蕾の氷が溶けて、ぽっ!ぽっ!と花が咲きました。
お花の香りの温泉は、調度いい湯加減です。
お風呂上りに、何やら配っています。それは、色んな味で色んな色の”おんせん蒸しパン”でした。チリはみかん味、チリリは黒みつ味を食べました。お腹がいっぱいになると、なんだか眠くなってきました。
みんなどこかへ行くようです。チリとチリリはついて行きます。中庭に出ると、そこには色んな形のコテージがありました。くまの家族に、調度いい大きさのコテージに、二人は招かれました。中に入ると、大きなベットがありました。さっそくお布団にもぐりこみます。明かりを消すと、天井から星が透けて見えます。あっ!流れ星・・・。
チリとチリリは、その夜素敵な夢を見るのでした。
☆際立った特徴
チリとチリリは、かわいいおかっぱ頭と健康的なまっ赤なほっぺ。おしゃれだけどどこか懐かしさもある女の子。いつもふたりは自転車に乗って一緒に出掛けます。
初雪がふった日、チリとチリリは自転車で森へ出かけました。まっ白な森を進むと氷の扉があり、中に入るとそこには……。
二人の冒険を通して、自分なら、どんな遊びをしたいかな?どんなコテージに泊まりたいかな?と、読者も選んで楽しめます。別世界のような雪の森での夢のような出来事を描いた、あたたかい物語です。もしかしたら冬眠している動物達は実は氷の扉を開いて、こんなに素敵な場所で冬を過ごしているのではないか?と夢をみてしまうようなストーリー。
参考文献)EhonNavi「チリとチリリ」シリーズ 『あめのひのおはなし』インタビュー
「チリとチリリあめのひのおはなし」制作動画 ↓
☆書店員の感想
チリとチリリは、雪の中自転車に乗って出かけます。見つけた氷の扉を開けると、そこは氷の別世界でした。ホットドリンクをもらって大広間でビー玉遊び。さあ、この奥は何があるのかな?
冬の日にピッタリのコート・ブーツ・手袋・帽子をして、チリとチリリは、自転車で出かけました。オシャレな二人は顔を真っ赤にしてどこへ行くのかな?なんだかその様子を見ているだけで、読者はウキウキしてきます。だんだん雪が積もってきました。いつもとは違う景色の中に、不思議な扉を見つけました。それはまるで夢の国のような氷の中への扉です。
中へ入ると、まずはホットドリンクでおもてなしを受けます。体を温めるホットフルーツパンチは、自転車に乗って体が冷えていた二人の顔をさらに真っ赤にさせています。
そして、奥まで自転車で進むと、そこには沢山の動物達が楽しく過ごしている大広間がありました。人間が冬に家の中で楽しむことをそのまま、ここでは動物達もしていますよ。どんな遊びがあるかな?私なら木の実を食べながらトランプで遊びたいです。ぜひ、自分ならこんな事したいなと考えてみてくださいね。
氷で蕾が開かないお花。温泉の中に入れると、ぱっ!と咲きました。まるで温泉の中がお花畑。心も体もホカホカに温まり、湯上りの蒸しパンを食べてさらに幸せ気分です。
大広間での遊びの一つだったビー玉遊び。そのビー玉は、寒さで凍った花の蕾でした。自然が作ったビー玉はまるで本物みたい。透明な氷をまるで、ほんのりと優しい赤・黄色・紫色に色づかせたようです。
その後の事です。渡り廊下を進むと温泉がありました。その温泉の中にチリとチリリは入るのですが、先ほどのビー玉を入れてみました。すると氷が解けて蕾が出て、ぱっ!と花が開きます。お花の香りに包まれた温泉は、調度いい湯加減で、チリとチリリと、沢山の動物達を温め癒すのでした。
そして、温泉から上がると、ピンク・黄色・茶色・抹茶色のおんせん蒸しパンを配っています。甘いお砂糖がかかった蒸しパンを食べた二人は、なんだかお腹も満たされて、眠たくなってきました。「どこかで休みたいな」と周りを見ると、氷の提灯を持ってどこかへ行くようです。どこへ行くのかな?動物達についていくことにしましたよ。
氷のコテージの中、お布団にもぐりこんだチリとチリリは、布団の中から上を見上げます。星空が透けて見えます。流れ星が見えるその景色を見ながら眠りにつく二人です。
中庭の奥にはいくつもの氷のコテージがありました。動物達は調度いいサイズのコテージに入っていきます。そして、くまの家族に招かれた二人は、くまと一緒にお布団に入ります。そして氷の天井を見上げると、星空が透けて見えるのでした。星が降ってくるような素敵な星空です。空を見ながら目を閉じた二人は、どんな夢を見たのでしょうか。
星空の中を自転車に乗ってお出かけする夢かな?オーロラで出来た空のベールを眺めに行く夢かな?素敵な夢を見る二人は、きっと温かいお布団の中で幸せで深い眠りについている事でしょうね。
本書を読むと、まるで自分もチリとチリリと一緒に氷の扉の向こうへ冒険へ行ったような気持になります。そして、動物達と遊んだり温泉に入ったりパンを食べて、夜には星空を見ながら眠りにつくという、なんともロマンチックなお話を楽しめるストーリーになっています。外出が自由に出来ない今だからこそ、本書を読んで、寒い寒い冬を満喫しませんか?
- 作品名:チリとチリリゆきのひのおはなし
- 著者名:どいかや
- 出版社:アリス館