パパがやいたアップルパイ
パパが育てたリンゴの木。しかしそれは、自然が与えてくれる全ての恵みが育ててくれたリンゴの木。ではこのアップルパイは誰の物?”自然”や”命”を見つめる1冊にピッタリ!
☆際立った特徴
- 美味しいリンゴを実らせる1本の木から、世界や自然の繋がりを感じるストーリー。
- 「これがあるお陰で、これが実り・・・」と1つの恵が全てに繋がっていくような、流れやリズムを感じる文章。【つみあげうたの絵本】
- 様々な模様・動物・自然を4色で描きます。
- アメリカの女流作家ローレン・トンプソンの絵本。
- 絵は画家ジョナサン・ビーン。モデルになったのは彼の育った果樹園。
☆読み聞かせのポイント
- 【つみあげうたの絵本】なので、流れるようにリズミカルに読むと面白いと思います。途切れ途切れに読むよりも、『全ての事柄が繋がっている』とストレートに響き感じやすいのではないかと思いました。
☆あらすじ
ここは、私達の家の庭にある、私達のリンゴの木です。
このリンゴの木はとっても大きく育っていて、沢山の葉を茂らせています。
そして真っ赤で甘いリンゴを沢山実らせています。
採ったリンゴで、パパが甘くて美味しいリンゴのパイを作ってくれました。
このリンゴの木は太い幹がねじれていて、とても逞しい幹です。
そして根っこも深く根差したとても立派な根っこです。
時に空から雨が降ります。
大きな雲が空をおおう事もあります。
雲は雨を降らせ、雨は根っこを潤し、大地から栄養をすくい上げ、太い幹が枝の先までそれを運ぶのです。
そして木は、甘くて美味しいリンゴを実らせ、そのリンゴでパパがリンゴのパイを焼いてくれました。
広々とした広い空。太陽が大地に温かい光と風を運び、夜には月が全てを見守ります。
この地球には、素晴らしい命が詰まっています。
地球は太陽をめぐります。
太陽が大地を照らす時もあれば、空には雲が広がって大地に雨という恵みを降らせます。すると大地から太い根っこが栄養を吸い上げ、パパのリンゴの木の実を真っ赤で甘く育ててくれるのです。
そして、そのリンゴを使って、甘ーいアップルパンをパパがやいてくれました。
これは私のパイ・・・♬
もちろんみんなにも、「どうぞ♬」
☆書店員の感想
表紙に登場する「リンゴの木」。そして、ストーリーの1ページ目に描かれる「アップルパイ」。この2つを中心に、話が進められていきます。お話の鍵になっています。
始めに表紙を見た時、なんて太くて立派な木だろうと驚きました。まるでどこか名のある神社やお寺に祀られているような、太い木だと思いました。しかも葉っぱの中を見れば真っ赤なリンゴが見えます。
こんなリンゴの木は見た事があいません。リンゴ狩りに行った事はありますが、全て人間の手が届くような位置に実が育つように”棚”がつくられていて高さがほとんど一緒でした。木の幹も本書のように太くは無かったと思います。
そう考えると、本書で描かれるリンゴの木は、自然の中で何十年もかけて自然に育った自然のリンゴの木ということではないかと思いました。
迫力すら感じる圧倒的な存在感を持つ【リンゴの木】。さあ、このリンゴの木はどうやってこんなに大きく育ったのでしょう。
そしてそのリンゴの木でパパが作ったアップルパイは、一体誰のアップルパイなのでしょう?
身近な食べ物も全て、地球の恵みと繋がっていると感じることが出来ます。
リンゴの木にお日様が当たったり、時には雲が出てきて雨を降らせます。それらは皆、植物にとって大事な恵みなのです。大地に光と温かさを与える太陽と、雨を降らせることで大地の栄養を植物の根っこたちは、グーンと体中に行き渡らせることが出来ます。
日中と夜が毎日訪れる事もまた、生命にとって大事な事です。太陽の出ている時には生き物は働いて、夜暗くなったら体を休めます。(夜行性の動物もいますが・・・ここでは一旦置いておいて。)
当たり前に繰り返される日々の出来事のようで、生物は、地球の全て(太陽や月・雨や雲・そして大地)から恵を頂いているんだなと、私は、本書を読み感じました。
沢山の栄養を含んだ真っ赤なリンゴ。主人公のパパや女の子が作ったかもしれないけど、動物達も食べたそうにしています。うらやましそうな表情がクスッと笑えて来るのですが、さあ、女の子はラストシーンでどうするでしょうか?
女の子のパパが焼いたアップルパイだから、やっぱり女の子とパパだけが食べるもの?
いえいえ、自然の恵みから頂いた美味しいリンゴは、やっぱりみんなで食べた方が美味しいですよね。
大きくてアツアツのアップルパイのですよ。動物達と一緒にリンゴの木の下でアップルパイを囲んでティータイムです♬
- 作品名:パパがやいたアップルパイ
- 著者名:作 ローラ・トンプソン 絵 ジョナサン・ビーン
- 出版社:ほるぷ出版