おおきくなるっていうことは
進級や進学、お誕生日にもピッタリ!大きくなるって、どういうことなのでしょう。子どもの成長に喜びを感じ、子どもに伝えたいあたたかいメッセージも詰まっている、子どもも大人も胸に響く絵本です。
☆3つのおすすめポイント
- 大きくなるっていうことは。子ども心にふと芽生える素朴な疑問のひとつでもあるかもしれません。それを身近な話題でひとつひとつ答えてくれますよ。
- 大きくなったあなたに向けて、おめでとうの気持ちを伝えたい。そして、大きくなるということは、体だけではなく、心も成長するということ。そんな大切なメッセージも込められています。
- 大人目線でもじんわりとくる内容です。進級や進学、お誕生日にもおすすめです。成長を感じ、お祝いし、これからもあたたかく見守っていきたい…。そんな気持ちになる絵本です。
☆あらすじ
大きくなるっていう事は、どういうことなのでしょう。
洋服が小さくなること。
新しい歯が生えてくる、ということ。
水に慣れて、顔を水に長くつけていられるということ。
あんまり泣かなくなること。
前よりももっと高いところへ登れるようになること。
高いところから飛び降りることができるようになったり、ここから飛び降りても大丈夫かな、と自分で考えて判断できるようになること。
小さいころはつい口に入れてしまったものも、なんでも食べたり口に入れなくなること。
お風呂のとき、イヤだったシャンプーが大丈夫になること。
自分なりの面白い!と思えることがどんどん見つかること。
そして、大きくなるということは、自分より小さい人が多くなっていくということ。
小さな人に優しくなれるということ。
その日々の成長すべてに、おめでとうを伝えます。
☆際立った特徴
日々成長する子どもたち。体も心もどんどん大きくなっていきますね。そんな子どもたちにむけた、おめでとうの気持ちが込められた内容です。
お子さんの小さいとき、大きくなったときのそれぞれのようすに対して「あるあるだなぁ」と感じる部分にもきっと出会えます。子どもにも、大人にもあたたかいメッセージが込められています。
絵本の大きさは20.7㎝×22.2㎝で、大人の両手くらいの大きさです。3歳ごろからのお子さんの手にもちょうどよく、読みやすいように思います。
☆書店員の感想
●大きくなるっていうことは。子ども心にふと芽生える素朴な疑問のひとつでもあるかもしれません。それを身近な話題でひとつひとつ答えてくれますよ。
よく長男に、「早く寝ないと大きくなれないよ!」と言って夜寝かせていることが多いです。本人もそう言われるとドキッとするらしく、そそくさとベッドに入っています。
そしてそんな長男に、たしか一度聞かれたことがある気がします。
大きくなると、どうなるの、と。
大きくなったらもう小さくはなれませんね。小さいときの楽しみは今だけなので、存分に楽しんでほしいなという気持ちをそのとき伝えて、ほかに何を伝えたのかはあまり覚えていません…。ですが、もしまたそう聞かれたときは、この絵本を見せてあげたいなと思いました。(もう実際には自分でこの絵本を読んでいたので、きっと本人なりに心に感じた部分があったと思います。)
絵本には、洋服が小さくなったり、前までできなかったことがつぎつぎできるようになること。歯が生えたり、ちょっと我慢ができるようになったこと。できることや考えられることがとっても増えたということが描かれています。きっとお子さんにも共感する部分がたくさんあるように思います。そういえばそうだな、いつの間にかできるようになっていたな、とか、あの時頑張ったからできるようになったんだな、など、いろいろ思い出されるかもしれません。
小さいときの子どもたちのようすと、大きくなったときの子どものようすとが絵で描かれ比較されているページもあり、読んでいるお子さんも自分の成長を振り返り考えるきっかけになるように思いました。
●大きくなったあなたに向けて、おめでとうの気持ちを伝えたい。そして、大きくなるということは、体だけではなく、心も成長するということ。そんな大切なメッセージも込められています。
体が大きくなり、力もついて、手先も器用になり、できることがどんどん増えていきますね。それと同時に心も大きく成長しています。絵本などのお話もちょっと長くて複雑なものも分かって楽しめるようになってきますし、興味・関心の幅も大きく増えていきます。
子どものようすを見ていて、毎日の生活の中で振り返ることがあまりありませんが、ふとしたときに「そういえば、ちょっと前までできなかったのにいつの間にかうまくできるようになったな」と思うことがいろいろあるかもしれません。
子ども自身はなおさら毎日が成長・いろんな発見の連続でしょうから、自分自信の成長についてふと振り返ることはあまりないように思います。けれど、この絵本を通して、お子さんも自分の成長について考える・思い返すきっかけになると良いように思いました。
そして、親御さん目線では、ちょっと前まで小さくてできなかったことができるようになったね、いろんなことを毎日頑張っているね、と、成長をお祝いする気持ちや嬉しい気持ちを絵本を通して伝えるのにも良いように思いました。
●大人目線でもじんわりとくる内容です。進級や進学、お誕生日にもおすすめです。成長を感じ、お祝いし、これからもあたたかく見守っていきたい…。そんな気持ちになる絵本です。
大きくなるっていうことは、どういうことなのでしょう。この絵本のタイトルを読んで、たしかにふと疑問に思いました。実際に自分自身も、いつの間にか大人になっていたような気持ちでいますが、小さいころはなぜか早く大人になりたい、と思っていたほうでした。
そして、子育てをしているときも、長男のときは「早く大きくなってほしい」と赤ちゃんのころは思っていて、いま思えば不思議です。その当時はそれだけ余裕がなかったのかもしれません。必死で初めての育児をしていたので、早く大きくならないかな…、少しでもラクにならないかな…と思っていた記憶があります。
次男のときは真逆で、気付いたら寝返った、座った、立った、歩いた、自ら卒乳した…!といった感じだったので、そんなに早く大きくならないで、という気持ちで毎日過ごしていました。これまた不思議です。
お子さんに対しての育児の時間、接してきた時間はかけがえのないものですね。
絵本の中でも、自分の年齢から、お兄ちゃん、お姉ちゃん、お母さん、ひいおばあちゃんの年齢まで言い合う子ども同士の会話があります。そして、自分が大きくなる、ということは、自分より小さい人が増えるということ、小さい人に優しくなれるということ、というメッセージが最後に書かれています。
お子さんが進級や進学で、下級生と接することがこれからどんどん増えていきます。今まで優しく接してきてもらったぶん、これからは自分が考えて小さな人にも優しくしていく番が来ています。進級・進学に限らず、弟や妹に対しても、小さい人に優しくしよう、守ってあげよう、という気持ちが成長とともに芽生えてくるかもしれません。
そういう気持ちの成長も体の成長とともに感じられるようになってきて、ますますその後押しもしてあげたい親心も溢れてきます。そっと見守りつつ、これからの成長にも楽しみを感じる内容のように思いました。
最後のほうのページでは、公園で小さな子どもからちょっと大きなお兄ちゃん、お姉ちゃんが一緒に遊んでいる絵が描かれているのですが、滑り台を登ったり、滑ったりしているときに手伝ってあげている子、転んだ子に手を差し伸べている子、鉄棒を頑張っている小さな子のお手伝いをしてあげている子など、小さい子どもと大きくなった子どもとが仲良く遊んでいるところがあります。このようすを見て、自然と優しくしてあげられるような雰囲気が素敵だな、と感じました。
桜の花びらが舞い散って、先生が子どもたちに成長おめでとうと伝えています。
子どもの成長を祝い、これからの新たなスタート・新たな成長に向けての1冊におすすめの絵本です。
- 作品名:おおきくなるっていうことは
- 著者名:文/中川ひろたか 絵/村上康成
- 出版社:童心社