おばけのあんみつ
お雛様やお月見など、季節感のあるお話から、ヒヤリとするおばけものまで。楽しくて美味しそうな4話が集まっています!時代劇&料理好きな子にピッタリ!
☆3つのおすすめポイント
- 美味しそうなお話が4話も収録!全て読み応えのある物語。昔の日本にタイムスリップした気分を味わえます。
- 季節を感じる物から、ひやっとする物まで、様々なシーンで楽しめます。1話だけみても、全部一気に見ても楽しくて飽きません!
- 戦国時代・・・?を思わせる時代背景の中に登場する【あんころ城】です。”あんころ”と名前がつくだけあって、あんころ城のお殿様は甘いものが大好き!
☆4話のあらすじ
【おはぎのかっせん】
お菓子の好きな、あんころ城のお殿様が大きな大きなおはぎを作って、お彼岸のお墓参りをしました。、列になって、みんなでおはぎを山頂まで運びます。
それを見た山のお城の家来やお殿様は、あんころ城の大群が、大きな大砲の玉を積んで、ぞくぞくと攻めてきました!と勘違いして、ビックリ仰天!城から家来を引き連れて飛び出ました。
山のお城の一群が、あんころ城の陣幕を見つけました。攻める機会を伺いながら、じわりじわりと近づきます。
すると、中から「うーん、もう だめ。」と苦しそうな声が聞こえてきました。
中を盗み見ると、なんと大きな大砲の玉がまっぷたつに割れています。山のお城の家来たちはビクビク ザワザワ・・・。
お殿様が号令を出し、攻めようとしたその時です。
あんころ城のお殿様が叫びました。
「援軍が来たぞー!」
なんと、大砲の玉と思っていたのは”おはぎ”だったのです。大きく作りすぎたおはぎを、食べきれずに困っていたのでした。
つぶあん・きなこ・ごま・あおのり、両軍入り乱れ、大きなおはぎ相手に大奮闘!
歴史に名高い 【おはぎの合戦】です。 おしまい。
【おばけのあんみつ】
お殿様は家来を見渡してギョッとしました。みんなの顔がなぜかやつれているのです。
まるでおばけの集まりよう。
家来たちは、井戸・便所などお城中におばけが出てイタズラをしてくる。速くてつかまえることができないと話し始めました。
何を情けない事を。みんなで作戦を立てるのじゃ!
でも家来たちは疲れ果てて、作戦どころではありません。そこでお殿様は作戦をねりました。 そして、良い事を思いついたお殿様は、大きな鍋で寒天をぐつぐつ煮溶かすと、お風呂に運ばせました。名づけて”あんみつ作戦!”です。
夜が更けて、今夜もイタズラ好きのおばけたちがやってきました。すると、なにやらお風呂の前に張り紙がしてあります。
【特別なお湯をご用意しました。ゆっくりとお楽しみ下さいませ。お殿様より】
そして、おばけたちはお風呂にやりました。そこにはご馳走と温かい湯が用意されています。おばけたちはお風呂の中で、美味しい物を食べて大喜び♪ ところが・・・
あれ、動かないぞ!体が固まっちゃったー!
次の日の朝です。おばけたちは広場に運ばれました。お殿様は、
寒天は冷たくなると固まるのじゃ!さあ、おばけ入りのあんみつを作るぞよ!
それを聞いたおばけたちは、泣き出してしまいました。
お殿様は、おばけを許してやりました。そして、みんなで本物のあんみつを食べました。でもお殿様は少し物足りない様子・・・。
しかしおばけとはどんな味かな。やっぱり一口だけでも食べてみたい。
それを聞いたおばけたちは『ごちそうさまー!!』
二度とお城には現れませんでした。 おしまい。
【たぬきのおだんご】
あんころ城のお殿様。今夜は外国のお客さんを招いてお月見会。
お団子も山のように用意しました。お客さんが来て、みんなでお出迎えに行くと、その隙に子タヌキ達がやってきて、パクパクムシャムシャと食べてしまいました。そこへ、お父さんタヌキがやってきて、「お前たちダメじゃないか!」と子タヌキ達を叱りました・・・が、人間たちが戻ってきたのに気がついて、急いで団子に化けました。
誰一人、タヌキに気がつかないまま、お月見会が始まりました。
お客さんは、ご馳走を沢山食べましたが、どこからかグ~~~とお腹の鳴る音がします。
次に、お団子はたちまち山積みに。
「やや、あやしい団子じゃ!」とお箸であちこちをつつくと、
お父さんタヌキが正体を表しました。
お殿様に捕まったお父さんタヌキを見て、子タヌキ達が現れ、
お団子を食べたのは僕たちなんです。お父さんを許してくださいと泣いて謝りました。お殿様は、タヌキ達を許し、逃がしてやりました。
しかし、お団子が無くなってはお客様に悪いのぉと思っていると、
外国のお客様がまん丸なお菓子をお殿様に出しました。
お土産に持って来たカステラです。まんまるでお月さまみたいでしょう?とっても美味しいですよ!
お殿様は上機嫌で、お団子の代わりにカステラボーロを月にお供えしました。
みんなはもう一度、ゆっくりお月見を楽しみました。
しかし・・・なんだかお供えしたカステラボーロが減っているような・・・。
すると、ぐーーー。狸寝入りをするお殿様なのでした。 おしまい。
【たんぽぽきんとん】
今日はお雛様。女の子がおめかししてお祝いをする日です。ところが、あんころ城のかのこ姫はおめかしどころか、泥んこまみれ。
今日もお城を抜け出して、春の生き物を探しに行こうとひな壇の後ろに隠れて、見つからずに外へ出るチャンスを狙っています。
侍女たちは雛飾りの真っ最中。お菓子のお重備えて立ち去ってしまいました。後ろから出てきたかのこ姫はホッとしてお重の蓋を開けてみました。すると、
まるで春の野原みたいと喜びました。
すると、それを見ていたお雛様とおだいり様が言いました。
野原のタンポポとはどんなもの?
そこでかのこ姫は、タンポポの咲く野原にみんなで行こうと誘いました。でも、どうやって連れて行ってあげればいかしら・・・
心配ごむよう!いざ行きましょう!と左大臣が言いました。
そこに、口うるさいうばが入ってきました。かのこ姫の持ってるカゴを見て「これは何でございますか?」と蓋を開けようとしたその時です。
ケロケロッ ピョーン!とカエルが飛び出しました。
うば達は大慌てで逃げていきました。その隙にかのこ姫はお雛様達を引き連れて、お菓子を持ってお城の外へ逃げ出しました。
たんぽぽや春の花が咲く広い野原にやってきました。初めてのお出かけにお雛様たちは大喜び!美味しいお菓子と白酒で楽しくお雛様を祝っていると、色んな生き物たちが集まって来ました。
そこへ、お城へ帰る途中のお殿様が通りかかりました。
おじさんも仲間に入れてもらって良いかのう?
かのこ姫は「どうぞ どうぞ ご一緒に!」と、喜んで招き入れました。
野原のお雛祭りは、空が桃色に暮れるまで、賑やかに続きました。 おしまい。
☆際立った特徴
「おはぎのかっせん」「おばけのあんみつ」「たんぽぽきんとん」「たぬきのだんご」の美味しいお話が本書に4話描かれています。
戦国時代・・・?を思わせる時代背景の中に登場する【あんころ城】です。”あんころ”と名前がつくだけあって、あんころ城のお殿様は甘いものが大好き!
あんころ城では、様々な出来事が起こります。時には隣のお城のお殿様に勘違いされて、合戦じゃー!と戦いが始まりそうになることも・・・しかし、お殿様の優しい人柄で全て解決!?します。
お雛様やお月見など、季節感のあるお話から、ヒヤリとするおばけものまで。楽しくて美味しそうなお話ばかりです!
●絵本雑誌「おひさま」にシリーズ連載された中から、特に読者に好評だった4話を収録しているそうです。
★作者国松エリカさんインタビュー 【KUMONがうた・読み聞かせを応援ミーテ】 「長く愛される絵本をつくっていきたい」
☆書店員の感想
本書は、タイトルから、すでになんだか美味しそうですよね。
そんな美味しそうなお話が4話も収録されていて、とってもお得感のある絵本だと思いました。そして、中を見てみると、どれも8ページで描かれているお話なのですが、読み応えのあるしっかりした物語ばかり!
そして、描かれている時代背景がおそらく戦国時代です。城に住むお殿様・お侍さん・家来・侍女など、時代劇を見たことがない限り、今の子ども達はなかなか耳にすることのない人物を表す言葉が登場します。もちろん話す言葉もその時代の言葉です。
そして面白い事に、描かれている外国のお客様もその時代の外国人の服装を描いています。キリスト教を日本に伝えたザビエルのような方もいます。
昔本当に日本にはこんな時代があったのでしょうが、子ども達は異世界に来たかのような錯覚をしてしまうかもしれませんね。
「合戦て何?!」「この人たちちょんまげしているね」など、子ども達は興味津々で話してくれるかもしれません。4話もありますから、1話だけみても、全部一気に見ても楽しくて飽きません!
ぜひ、親子・兄弟で一緒にこの時代へタイムスリップして、美味しいお話を楽しんで頂きたいです!