おむすびころりん
「おにぎりころりん すっとんとん」陽気な歌声に心が弾む、ピクニックやえんそく前の読み聞かせにピッタリ!どこかでネズミ達が歌っていないかな?耳を澄ませてみよう!
☆3つのおすすめポイント
- 誰もが知っている日本むかし話の「おむすびころりん」をいもとようこさんの優しく温かいタッチの絵で描いています。小学校の教科書にずっと掲載されている、子どもの必読昔話。
- おむすびが転がってコロコロと穴に落ちちゃった。すると聞こえた「おむすびころりん すっとんとん♬」誰が歌っているのかな?可愛い歌声に、おじいさんは踊りだしました。すると・・・
- ねずみからもらって帰ったお土産を、隣のおじいさんも見ていました。早速おにぎりをもって出掛けたけど、欲張りな隣のおじいさんは、どうなるのでしょうか。
☆あらすじ
むかしむかし、おじいさんがたきぎを拾いに出掛けました。お昼になったので、おじいさんがお弁当をひろげると、おむすびがコロコロ、コロコロと転がって、穴の中へ落ちました。
すると、『おむすびころりん すっとんとん もひとつたべたい すっとんとん』と穴の中から聞こえてきました。これは面白い!とおじいさんは今度は自分からおむすびを穴に落としました。さらに声が聞こえます。『おむすびころりん すっとんとん もひとつたべたい すっとんとん』その声があまりにも可愛いので、おじいさんはおむすびを全部穴に落としました。段々楽しくなったおじいさんは踊りだします。そして、なんとおじいさんは踊りながら穴に落ちて行ってしまいました。『おじいさんころりん すっとんとーーーん♬』
落ちた穴の底では、ネズミ達がお出向かしてくれています。おむすびのお礼を伝えたネズミ達は、そのおむすびでお餅をついてごちそうしてくれるそうです。
ネズミ達は歌いながらお餅をついてくれました。その歌には『にゃんこの声は聞きたくない』とあり、「ごもっともだな」と思いながら、ネズミ達の仕事ぶりに感心しながら、ありがたくごちそうをいただきました。
おじいさんがおばあさんの待つ家に帰ろうとした時です。大きいつづらか小さいつづら、どちらかを土産にくれると言うのです。おじいさんは小さなつづらをもらって帰ることにしました。
家についてそのつづらを開けてみると、大判小判がざっくざっく。こんなお宝見たことない!驚いたおじいさんとおばあさんでした。
その話を聞きつけた隣のおじいさんは、次の日さっそくおむすびをもって山へ出掛けて行きました。隣のおじいさんは、穴におむすびをポイポイポイと入れるとすぐに自分も飛び込みました。『おむすびころりん すっとんとん。おじいさんころりん すっとんとん』可愛い声が聞こえてきます。
むすびでお餅をついてごちそうしようとしたネズミ達でしたが、「わしは餅は嫌いじゃ!酒と魚をもってこい!」と隣のおじいさん。歌いながらごちそうを運ぶネズミ達。その歌は『にゃんこの声は聞きたくない』と歌っています。「そうだろう、そうだろう。お前たちは、ねずみだものな」隣のおじいさんはブツブツ言っています。
酒を楽しみながら、「そろそろ土産を見せてもらおうか」と催促すると、ネズミ達は大きなつづらと小さなつづらを持ってきました。
(しめしめ、ここでねこの声を出せば、つづらは二つともワシのもの・・・)
すると、「にゃーーーん」と大きな声でねこ鳴き声を真似たのです。ネズミ達はビックリ仰天!!ネズミ達はいっきに逃げ去りました。その途端、辺りはシーンと静まりかえり、真っ暗になりました。
「つづらはどこだーつづらー」と探しましたがまっくらで、どこがどこだか分かりません。出口も分からず、とうとう隣のおじいさんはもぐらになってしまいました。・・・とさ。
☆際立った特徴
心の優しいおじいさんと欲張りなおじいさんの出てくる昔話です。対照的な二人の結末は、一方は大金持ち、一方は暗い土の中で暮らすモグラにと、全く違う物でした。
「おむすびころりん」の昔話の中で、子ども達に伝えたかったことは一体なんでしょうか?欲を出したり、意地悪をしたらダメだよという事でしょうか?良い行いをすれば良いことが起こるということでしょうか?
昔から伝わる昔話の中でも、小学校の教科書にもずっと載り続けている、子どもなら誰しもが一度は読む「おむすびころりん」というお話の中に、どんな思いがあるのか、お子さんと一緒に考えてみませんか?
☆書店員の感想
おむすびが転がってコロコロと穴に落ちちゃった。すると聞こえた「おむすびころりん すっとんとん♬」誰が歌っているのかな?可愛い歌声に、おじいさんは踊りだしました。すると・・・
「おむすびころりん」といえば、このネズミが歌う可愛い歌が有名ですね。「おむすびころりん すっとんとん」ともうひとつ!もうひとつ!と可愛い声で言われたら、穴にもう一つどうぞと、落としてあげたくなります。優しいおじいさんは実は陽気で楽しい事が大好きな遊び心を持った性格なのかもしれません。踊りだしちゃって、穴に自分まで落ちてしまうなんて、なんてロマンチックで、なんて現実離れした摩訶不思議なストーリーなんでようね。
ねずみからもらって帰ったお土産を、隣のおじいさんも見ていました。さっそくおにぎりをもって出掛けたおじいさんは、どうなるのでしょうか。
とても欲張りな隣のおじいさん。おむすびを転がす所から、欲が出ているように感じます。ごちそうを出してもてなそうとしているネズミに、何も感謝する気持ちもなく、酒を飲んでいます。口には出していないけど、「早くごちそうを出せ!」「早くつづらをよこせ!」と顔からにじみ出ているようにも感じます。
そして、ネズミの「にゃんこの声はききたくなーい♬」という歌を聞いたおじいさんの欲はさらに高まります。『ネズミを脅かして追い払えば、ここに残ったつづらは自分のもの。』やめればいいのに、猫の真似をしてしまったせいで、結局は隣のおじいさんは長い間、土の中をさまよい、そのうちモグラになってしまいます。
大人にしたら恐ろしさまで感じる最悪なエンディングですね。しかし、きっと小さな子どもは、まだその恐ろしさなどは気づかず、純粋にストーリーを楽しむことでしょう。
この物語の一番伝えたい事は一体何だったのでしょうか。読んだ子ども達はどんな風に感じるのか、「隣のおじいさんはどうしてモグラになったのかな?」と話し合ったりすると、伝えたいことが少し見えてくるのかもしえませんね。それが一番の答えであり、話し合う事が、そもそも大切なのかもしれませんね。
昔話って奥が深くて面白いですね☆