十二支のおはなし

十二支の動物達がどうして一年の長になったのか・・・あなたは知っている?

☆特徴

  • 絵本のマーチ・行事絵本シリーズ全12巻中の1作。
  • 十二支の由来についてを描いているストーリー。
  • 迫力のある動物達のどアップシーンや、風をきって走っているようなスピード感を味わうことが出来る。
  • 登場人物たちのひょうきんな表情も楽しい!隅々まで面白さが満載!

☆読み聞かせのポイント

  • まず、十二支とはなんぞや?という事を教えてあげたい時にピッタリだと思います。「来年はウサギ年だね」という会話をする年末年始には、もってこいですよ!
  • 動物達の性格・個性を自然と感じ取ることが出来るお話になっています。「犬猿の仲」や、「猪突猛進」などなど、言葉の由来になった出来事も描かれていますよ。ねずみと猫の関係性を描いているラストシーンの出来事が何といっても見所です!!
十二支のおはなし 表紙

☆あらすじ

昔々の、年の暮れのこと。

神様が動物達を集めて言いました。

明日は1月1日。新年の挨拶に来なさい。来た者から順にその年の大将にしてあげる。ただし12番目までね。

動物達は大喜び。みんなが、我こそが!!と考えていました。

特に猫は大喜び。はしゃぎすぎて神様が「来なさい」と言った日を忘れてしまうほどでした。

そこでネコはネズミに聞きました。「御殿へ行くのはいつだっけ?」ねずみは「1月2日だよ!」と嘘を伝えました。

その日の晩。しっかり者の牛は、自分は足が遅いからと夜のうちから御殿へ向かいました。

それを見ていたねずみは、牛の背中にこっそり乗って連れて行ってもらう事にしました。

次の日の朝になり、御殿の前に牛がようやく着くと、その途端にねずみは牛の背中から飛び降りて、「おさきに!」と一番乗り。

牛は「まあ、2番目でもいいかあ」と門をくぐって2番目。

スゴイ速さで走ってきたトラは3番目。後を追って走ってきたウサギが4番目。

辰は雲に乗って御殿へ向かい、稲妻のように空から降りて門をくぐって5番目に到着。

その後も、ヘビ・馬・ひつじ・さる・とり・犬と続き、

最後は、勢いがありすぎて御殿の前を通り抜けて行ってしまったイノシシは、なんとか戻って12番目に門をくぐることが出来ました。

さあ、12番目までの大将が決まりましたよ!

次の日。「1月2日」だと聞いていた猫はというと…。

☆書店員の感想

●「十二支のおはなし」は、年末の読み聞かせにピッタリな題材です!!年賀状を描いている時や、来年はウサギ年だね。なんて会話をする年末に教えてあげることで、新年を迎える楽しみが増える事でしょう。

十二支って一体なんだろう?と考えたことありませんか?十二支の動物達が数千数万の動物の中からどうして12種類が選ばれたのでしょう?

私はずっと不思議でした。そんな時に出会ったのが「十二支のおはなし」です。

実は大人になって初めてこのお話を聞いたのですが、フィクションと分かっていながら、本当に昔こんなことがあったのかも・・・・♬と信じてしまいました。

このお話の何がいいかって、「競争して一年の大将を決める!」という所がいいじゃないですか。

足が遅い牛は前日から歩き始め、賢いねずみがその牛の背中にそっと乗って、いいとこどりする(卑怯)。足が速いトラやウサギが続き、空を飛べる辰は雲に乗って雷のように空から急降下して門をくぐる・・・。みんなの必死さや負けん気の強さがにじみ出ていますよね。

●絵の迫力がスゴイ!!動物達の鼻息の粗さも聞こえてきそうだし、風を切って走る時の激しい風が読者に向かって吹いてくるかのようです。さらに、トラや辰の絶対大将になってやるぞ!という気持ちのこもった吠声も耳元で聞こえてきそうだと思いました。

絵を見て最初に思ったのが、すさまじい迫力だ!!という事です。

トラが門をくぐる場面やイノシシが門前を走り抜けるシーンは、読者にビュービューと風が吹いてきそうな程、スピードや躍動感を感じます。そして、「俺が一番になってやる!!」と強い意思が伝ってくるのもトラや辰です。すごく鼻息が荒いんです!!

牛が歩く夜のシーンでは、遠くの山の中で鳴いているフクロウの「ほーほー」という声が聞こえてきそうな程の静けさや、月明かりが夜道を照らしてくれている、光の温かさを感じます。

ページをめくると交互に味わう事のできる激しさと、温かみ。そして時々登場する神様に使える人間はなんともユーモア抜群の表情!その緩急が最後まで読者を楽しませてくれますよ。

とはいえ、動物全員が爆発的な闘争心を表している訳ではない所も、ぜひ注目したい所です。

実はおとなしそうに見える牛や馬・羊やウサギも、内心では「絶対大将になってやる!!負けるものか!」と思っています。「我こそ一番!」な気持ちがラストシーンの全員集合場面で感じ取れるので必見です!!

十二支のおはなし 裏表紙

●昔ながらの言葉の由来(どうしてそう言われるようになったのか)の理由がこの十二支のお話の中に描かれています。なるほど!と納得の理由ですよ。

私はいのしし年生まれなのですが、小さな時からよく、私の行動を見て「あなたはいのしし年生まれだからね」と言われました。その時はなんかバカにされているような言い方にすごく嫌な気持ちになったのですが、このお話に出てくるイノシシを見ていると、【猪突猛進】って『素直で思ったら一直線!って所がなんて可愛いらしい!』と思えるようになりました。

他にも【犬猿の仲】【猫がなぜねずみを追いかけるのか】などなど、お話の中にその謎を解く鍵が楽しい目線で描かれていますよ。

「十二支のおはなし」のよくできている所は、大将になりたい動物達が1月1日に我先にと神様の元へと向かうというお話の中にこの”動物達を表現した言葉”が盛り込まれている所だと思います。だからこういう言葉があるんだ!と納得してしまう説得力があるんです!

ぜひ、お正月準備を始める季節に、大人も子供も一緒に楽しんで欲しい一冊です★

作品名:十二支のおはなし

著者名:文 内田麟太郎 (公式サイト)(ミーテ インタビュー) 絵 山本孝 (よつば画房ホームページ) (ミーテ インタビュー)

出版社:岩崎書店

※参考文献:KUMONがうた・読み聞かせを応援ミーテ 絵本作家インタビュー

よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。