くりちゃんとひまわりのたね
大好物の食べ物を山盛りいっぱい食べてみたい…!そんな願望を叶えようと奮闘するハムスターのくりちゃん。とってもキュートです!食べることが大好き、かわいい動物も大好きな人におすすめです。
☆3つのおすすめポイント
- ひまわりの種が大好きなハムスターのくりちゃん。たくさんの種を食べるにはどうしたらいいかな…?一生懸命考えます。お友達のすずめのすずちゃん、たくさんのお友達も協力してくれて、たくさん収穫できました。
- この種、どうしよう…?どうしたら美味しく食べられるかな?調理だけではない、美味しく食べる秘訣をくりちゃんが教えてくれます。
- 色鉛筆のような風合い。ふんわりと優しく、細かいところまで丁寧に描かれています。動物たちの描写や、風景の柔らかいぼかし具合も、くりちゃんワールドをキュートに演出しています。
☆あらすじ
大きいお庭の、小さなお家に住んでいるハムスターのくりちゃん。くりちゃんは、ひまわりの種が大好き。
どうしたら、大好きなひまわりの種をたくさん食べられるのかな。
いつもはお店で種を一袋買っているのですが、くりちゃんは「一度でいいから、山盛りのひまわりの種を食べてみたい!」と、思います。
どうすればいいかな… くりちゃんは一生懸命考えます。
たくさん、たくさん考えて…そして、くりちゃんはひらめきました!
花が咲いて枯れたあと、中心が種になるのを知っていたくりちゃんは、お皿に残っていた種を3つ植えて、花を咲かせてみることにしました。
それからくりちゃんは、大切に育て、ついに芽が出ました。
あっという間に大きくなり、てっぺんがくりちゃんから見えなくなってしまうくらいに高く伸びました。
すると、すずめのすずちゃんがようすを見に行ってくれ、そこから毎日ようすを教えてくれるようになりました。
いよいよ、ひまわりの種の収穫時期です。
けれど、くりちゃんは高くて登れないし、すずちゃん一人では大変です。
どうしましょう…。
ふたりで一生懸命考えました。どのような方法を思いついたでしょうか。そして、種はたくさん収穫できたでしょうか。
たくさん穫れた種をたくさん食べ、くりちゃんの夢は叶ったでしょうか…。
☆際立った特徴
大好物をお腹いっぱい食べてみたい、一度は思い描いたことのある夢です。
じっくり考えたくりちゃんの素晴らしい発想で、夢を現実に、そして自分一人だけでなく、お友達とも美味しく分け合うことの楽しさ、幸福感を伝えてくれます。
ハムスターのくりちゃんと、すずめのすずちゃん、そしてお友達たち。
可愛い動物たちと、ふんわりとした風景に癒やされます。
本は19×19㎝のサイズで、小さいお子さんでも手に取り読みやすく、また、表紙の赤色がパッと目を引くかわいらしい絵本です。
☆書店員の感想
●ひまわりの種が大好きなハムスターのくりちゃん。たくさんの種を食べるにはどうしたらいいかな…?一生懸命考えます。お友達のすずめのすずちゃん、たくさんのお友達も協力してくれて、たくさん収穫できました
ハムスターのくりちゃんは、煙突のある、黄色のかわいいお家に住んでいます。
ニコニコこちらを向いて手を挙げるくりちゃんが、穏やかで愛らしいです。
白と青の屋根のおしゃれなお店で、いつも大好物のひまわりの種を一袋買っています。
家に帰り、カリカリ…と食べます。お家の中もミニチュアの世界のようで、窓からちょこんと見える景色も、一つの風景画のよう。木やお花も飾られて、素敵な暮らしです。
幸せそうな表情をして種を食べるくりちゃん。本当に美味しそうです。
そんなくりちゃんも、ひまわりの種を山盛りいっぱい食べたい!と思い始めます。
そんなとき、どうしましょう。くりちゃんは一生懸命考えます。
考えて、考えて…。
ひまわりの種を植えて、花を咲かせることにしました。
自分で種を増やして食べる、その考えが思いついたくりちゃんはとっても賢いなと思いました。そのあと、一生懸命育てるようすも素敵です。
種から芽が出て、どんどん大きくなっていきます。
くりちゃんのように、お庭などでひまわりを育ててみるのも楽しいかもしれませんね。
さらに大きくなり、くりちゃんからはてっぺんも見えなくなってしまうほど成長しました。
花を見たいけど見られない…
そう悩んでいると、お友達のすずめのすずちゃんがやってきて、飛んで見てきてくれました。とても優しいお友達です。
もう大きなつぼみになっていました。
喜ぶくりちゃんと、ぴゅーんと飛んで戻ってきてくれたすずちゃんの姿が、小さい動物同士仲良く協力し合っているようで微笑ましく感じます。くりちゃんとすずちゃんの見つめ合うお互いの表情が明るく仲良しで大切な友達という間柄を感じました。
ひまわりのつぼみが本物のようで、地面の色の茶色と緑色の混ざり具合、水やりの水が染み込んだようなしっとり感があります。
ひまわりは成長し、眩しいほどの大輪の花が咲きました。
ページ1面に描かれたひまわりが、本当に眩しいような黄色と茶色でパッと目に飛び込んできます。くりちゃんは、見られないので目をつむって想像します。
そしてついに、花が枯れ、種ができました。ふたりは大喜び。
しかし、すずちゃん一人では運ぶのが大変です!
今度はふたりで悩みます。そして、ひらめきました。
いろんなお友達にお手紙を描いて手伝ってもらうことにしました。
約束の日当日、たくさんの友達が集まってきてくれました。
森の可愛い仲間たち。たぬきやうさぎ、猿もいます。にぎやかで楽しそうです。
すずちゃんも、いろんな鳥たちを呼んできてくれました。
種を穫る人、運ぶ人、受け取る人に分かれ、みんなで協力して種を集めました。一大イベントのようです。
そして、たくさん種が集まりました!
●たくさんの種、どうしよう…?どうしたら美味しく食べられるかな?調理だけではない、美味しく食べる秘訣をくりちゃんが教えてくれます。
くりちゃんよりも大きなお皿に、種は山盛り4杯分です。
そのまま食べるのもいいですが、くりちゃんはその種でケーキを作りました。
ひまわりの種のケーキ、美味しそうですね。一度食べてみたいと思いました。
たくさんのお友達と美味しく食べて、帰りには種のおすそ分けもあげました。
くりちゃんだけで食べてしまったら、美味しさを楽しめるのはくりちゃんひとり。けれど、たくさんのお友達と協力して作業を行い、その美味しさを分け合えたなら、美味しさも楽しさも笑顔も、どんどん増えていきますね。
みんなの笑顔やワイワイ楽しそうな風景から、たくさんの幸福感が得られました。
こちらまで笑顔になってきます。
小学校2年生の長男が小さい時に、時々一緒にクッキー作りをしていました。
たくさんでき、合間につまんでいるとあっという間になくなってしまうのですが、長男は必ずおばあちゃんやおじいちゃんにもあげる、といってラッピングをしたがりました。
手作り感満載のクッキーでしたが、あげるとみんな喜んでくれたので、それが嬉しかったようです。最近では、我が家のサンタは玄関にプレゼントを置いていくのですが、サンタさんにあげたいと昨年からお菓子の詰め合わせをクリスマス前日の夜寝る前に玄関に置いておくようになりました。それも、自分のおやつを食べずにとっておいた分です。(笑)
もらう嬉しさだけではなく、あげる喜びも感じていた長男に、なんとなく微笑ましく思った出来事でした。今は8月末ですが、もう、サンタさんに何をあげようかなと考えているようです。(笑)
●色鉛筆のような風合い。ふんわりと優しく、細かいところまで丁寧に描かれています。動物たちの描写も、風景の柔らかいぼかし具合も、くりちゃんワールドをキュートに演出しています。
ふんわりと重ね塗りされていて、細かいところは色鉛筆で描かれているようです。
種を穫っているときの、地面にいる動物たちの手や足、表情などの細かな部分も一つ一つ丁寧に描かれています。ひまわりの種の中も本当にリアルにびっしりと描き込まれています。
木や空のぼかしも柔らかい風合いになっていて、くりちゃんとお友達たちを優しく包み込んでいるようです。
またおまけで、くりちゃんのフルーツパーラーというタイトルの小冊子がついています。今度は、たくさんの果物と野菜をもらったので、くりちゃんはまた素敵なことを考える…というお話で、こちらのお話でも美味しいものが出てきますよ。8ページのお話で、色とりどりキレイな絵が楽しめます。
くりちゃんのかわいらしい素敵な暮らしと、一生懸命考えたアイディアが、みんなに喜んでもらえる結果になりました。くりちゃんの優しくて賢く、穏やかな人柄が見えてきます。かわいい動物たちにも出会え、温かい気持ちになれます。
- 作品名:くりちゃんとひまわりのたね
- 著者名:どい かや
- 出版社:ポプラ社