さつまのおいも

リビング書店の絵本チャンネルで保育士書店員が詳しく解説しています

秋・芋ほりの季節にピッタリ!お芋たちが美味しく育つために頑張っている事とは?芋ほりの面白さを伝えます♩

☆際立った特徴

  • 土の中で育っているさつまいもが、擬人化されている。
  • 元気で大きく育つために頑張ります!(美味しいお芋になる為に)
  • お芋たちと、子ども達の綱引き開始!(芋ほり)
  • 子ども達に収穫される喜びをユーモラスに描く。
  • 負けたお芋たちの逆襲とは?笑えるラストシーン。

☆読み聞かせのポイント

  • 土の中で暮らすお芋たち。どんな風に生活しているのかな?夜はどんな夢を見ているのかな?一緒に絵を見ながら想像してみましょう!
  • お芋掘りの前に読むのがとってもオススメ!どんな風に掘るのかな?その後のお楽しみも、子ども達に伝えてあげましょう!
  • 「私達の勝ちでごわす」と言ったお芋。どんな意味が込められているのかな?
SONGBOOKCafe 中川ひろたかの絵本読み聞かせやしょう!『さつまのおいも』作:中川ひろたか 絵:村上康成 出版社:童心社

☆あらすじ

お芋は、土の中で暮らしています。

ご飯を食べて、歯磨きして、トイレもお風呂も入ります。

元気に体も動かします。

そして夜はぐっすりと眠ります。夢だって見るんです。

これもみんな、元気な大人になる為。

さあ、お芋の畑に子ども達がやってきました。

お芋のつるを持った子ども達。

土の中のお芋たちと綱引き始め!!

うんしょ うんしょ。負けるもんか。うんしょ うんしょ。

スッポーン!お芋たちが負けちゃったー!

沢山採れたね。豊作だ。

葉っぱを集めて、みんなで焼き芋大会。

ホクホクで甘い焼き芋、子ども達はお腹いっぱい食べました。

そしてら、あちらこちらで、オナラがプー。

これってお芋のせい?

お芋の勝ちだね。

☆書店員の感想

擬人化されたさつまいもたちの日常と努力。全ては美味しく大きく育つため・・・なのかも?

お芋はただ土の中で育って、掘り起こされるのを待っている訳ではありません。どういう事かって?お芋たちは、土の中で”生活”しているそうです。

人間のようにご飯も食べて、歯も磨いて、トイレも行くし、お風呂にも入るそうです。

一体どういうことかというと、本書の中でお芋たちは擬人化されて描かれています。お芋なんだけど、顔があって手足があります。

ニッコリと笑ったり、ダンベルを持ち上げたり、汗をかくほど走ったり水泳もしています。夜になると、「大きくなったら何になりたいかな。ヒーローになろうかな。遊園地にも行きたいな」などと夢も見ます。

なんだかとっても人間らしいお芋。その様子を見ていると、「頑張れー!」と応援したくなります。

さてそんなお芋たち、どうしてそんなに頑張るのかな?と私は考えてみました。

それはきっと「美味しい大きなお芋になりたい!」とお芋たち自身が思っているからなのかもしれないと思いました。大きいだけじゃなくて、適度に運動して、栄養をいっぱい蓄えて、甘くてホクホクのお芋になる為に、日々努力しているのかもしれませんね。

芋ほりの楽しさをさつまいもと子ども達の”綱引き”という形で表現している。その後の落ち葉集めや焼き芋大会も楽しそう!

ある秋の日、大勢の子ども達がお芋畑にやってきました。そこにお芋の長いつるが1本見えます。さて、ここで行われるのは…。そうです。『芋ほり』です。

子ども達はいっせいにつるを持ち、「ソーレ!ソーレ!」と引っ張ります。お芋たちも負けてはいません。『負けるか!ソーレ!』と掘られないように土の中から引っ張ります。これはもう、”芋ほり”という優しいイベントではありません。本気と本気のぶつかり合い!採るか採られるかの引っ張り合いな、”綱引き大会”なのです。

うんしょ うんしょと引っ張り合った結果、お芋達がスルスル―と一気に抜けました。

とうとう負けてしまったお芋達は「私達の負けでごわすー」と目をクルクル。

お日様の下で干されるお芋たち、さぞかし悔しいのかと思いきや、表情はニッコリ笑顔。

どうして笑顔なのでしょう?それは、まだ勝負はこれから・・・だからかな?

焚火をして、焼き芋大★昔はよく楽しまれていた秋の行事。掘るだけじゃもったいない!調理も楽しみましょう!今はどんな風に焼き芋を楽しめばいいのか伝えるきっかけの絵本に。

落ち葉を集めて、焚火をして、その中でお芋を焼く子ども達。今ではなかなか見かけることが出来なくなった焚火ですが、本書が生まれた1995年には、公園や学校のグラウンドなどで、よく見られた光景です。アラフォー世代の私には、とっても懐かしくて楽しい思い出の行事の1つでした。

今は、落ち葉を集めて焚火というのは禁止になっているという事を子ども達に教えつつ、安全が保たれた場所で、大人と一緒に楽しむ事や、お芋って焼くと甘くてホクホクで美味しんだよ。とお話すると良いのではないかと思いました。娘の通う保育園の様子を聞くと、今は先生たちが、子ども達が見守る中、バーベキューコンロなどで焼いてくれるそうです。お芋を新聞紙で巻いて、洗って、アルミホイルに巻くのは、子ども達がやるそうです。娘がとっても嬉しそうに話してくれました。

目の前で調理されるのは、やっぱりウキウキするし、一生懸命掘ったお芋がより一層美味しく感じる事でしょうね。

さつまいもを食べた子ども達。みんなのお腹の中でお芋たちが逆襲します。それはとってもユニークなイタズラ。決めセリフ!にププッと笑っちゃいます!

さあ、焼き芋を食べた子ども達。なんだか様子が変です。

あっちでプ~。こっちでプ~。みんなでプ~の大合奏。これは・・・まさかまさかのお芋パワー。くさーいオナラで、辺りは充満している絵が描かれています。そして、そんな中、焼き芋になってお腹に入ったはずのお芋の顔が、フワフワフワーとオナラの中に浮かび上がってきました。そして、「私達の勝ち!」の一言。なさか、お腹の中から逆襲するとは!?の展開で、「参った!!」と思わず笑って返事をしたくなる、ラストシーンでした。お芋たちはお腹に入って子ども達の一部になってくれたのですね。腸も活発に動かしてくれているのですね。

逆襲だけど、なんて素晴らしい★でも・・・オナラはもう勘弁してー(笑)

◎最後に、「ごわす」という方言が登場します。そこに、本書の題名の「さつまのおいも」の”さつま”という部分にかかっているのでしょうか?これは、私の想像です。

  • 作品名:さつまのおいも
  • 著者名:文 中川ひろたか 絵 村上康成
  • 出版社:童心社
SONGBOOKCafe 見えるラジオ#31 [2020.11.2] 『さつまのおいも』特集。『ごきげんようちゃん』。『あそびのカタログ』。
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。