まいごのてがみ
お手紙を書くのが好きな子にピッタリ!大好きな人にお手紙を書いてみよう!
☆際立った特徴
- 配達したい手紙が濡れて宛先が読めないから、郵便屋さんが困ってしまう。
- 問題の”ハガキの現物”が本書にくっついている。
- 行く先々で出会う動物達と「あの人じゃない?」と考え、宛先人を探す面白さ。
- 正解が分かった時、差出人が登場!
- 本当はハガキに何と書いてあったのか、”元のハガキ”が本書についている。
- 色鉛筆の優しく繊細なタッチの絵で、とても温かみを感じます。
- 森のみんなが仲が良い事が伝わる様です。
☆読み聞かせのポイント
- 誰に書いた手紙なのか、何と書いてあるのか一緒に考えながら読み進めましょう!
- 可愛いハガキがついていますから、それを見ながら、あなたなりの答えを考えて推測してみても良いですね!
☆あらすじ
ある日、森の入り口でクマの郵便屋さんが困った顔をしています。
「このハガキ、雨に濡れて所々が消えちゃってる・・・なんて書いてあるんだろう?」
差出人がリーちゃんだという事はわかるのですが、他の部分がほとんどにじんで読めません。
通りかかったアライグマさん。手紙を見て「きっと花屋さんに書いたんじゃないかしら?」と言いました。
さっそく花屋さんへ一緒に行ってみると、
「これは私宛じゃないわ。本屋さんじゃないかしら?」とウサギさん。3人で本屋さんへ向かいました。
しかし、本屋のフクロウさんは「これは帽子屋さんあてじゃないかな?」と言いました。
そして4人で一緒に帽子屋さんへ向かいました。
帽子屋さんのハリネズミさん達は「これは僕あてじゃないよ。牛乳屋さんじゃないかな。」といいました。そしてみんなで牛乳屋さんへ向かいました。
牛乳屋さんのヤギさんは「これは僕あてじゃないよ。」と言いました。
みんながどこに届けたらいいんだ…と悩んでいると、ヤギの牛乳屋さんはケーキ屋さんへ行きたいんだけどと言うので、仕方が無いからみんなでついて行く事にしました。
ケーキ屋さんではリスさんが牛乳が届くのを待っていました。
リスさんはクマさんからハガキを見せてもらうと、
「あら、りーちゃんからのハガキだから、宛先はまあやさんじゃないかな?」と言いました。
これでやっと迷子のハガキを届けることが出来ると郵便屋さんは嬉しくなりました。
調度リスのケーキ屋さんもまあやさんにケーキを届ける所だったので、動物達は揃ってついていくことにしました。
まあやさんの家に着き、ハガキをようやく渡すことが出来たクマさん。するとそこに…。
「こんにちは!おばあちゃん!」と大きな声で訪ねてきたのはリーちゃんです。
沢山のお客さんで嬉しい気持ちになったまあやさん。みんなでパーティをしましょうと誘いました。リスさんが持って来たケーキと、摘みたてイチゴと、パンとバターとミルクと、キレイなお花もあります。
大きなテーブルをみんなで囲んで、賑やかなパーティが始まりました。
まあやさんがりーちゃんに聞きました。
ところでハガキには本当は一体なんて書いてあったの?
本当は何と書いてあったのか・・・・答えが分かると、まあやさんはりーちゃんをぎゅうっと抱きしめました。
郵便を届けるってなんて素敵な仕事だろう★クマさんはしみじみと思いました。
☆書店員の感想
ハガキが濡れて宛先が分からない事から始まるお話。さて、誰宛てのお手紙なのでしょう?クマさんが困っていると森の動物達が協力してくれます。
雨に濡れたハガキには「〇〇〇きですか?ほん〇〇〇ぼうし〇〇〇ぎゅう〇〇〇りーより。」と書かれていました・・・私が郵便屋さんなら、絶望的な気持ちになるかもしれません。きっと郵便屋さんのクマさんも森の入口まで来たものの、これからどうしたらいい物かと同じように不安な気持ちが大きかった事でしょうね。
しかし、アライグマの奥さんが声を掛けてくれた事から、事が少しずつ前に進み良い方へ展開していきます。
ハガキを見たアライグマさんが、ハガキの最初の部分「きですか」から、花屋さんじゃないかと思いつきました。「なんの”きですか”」と書きたかったんじゃないかと思ったそうです。二人は一緒に花屋さんへ行くのですが、残念ながら花屋さんではなかったようです。
しかし、花屋さんのうさぎさんもこのハガキの中の「ほん」から本屋さんじゃないかと思いつきました。3人は一緒に本屋さんへ。
残念ながら本屋さんでもなかったのですが本屋のフクロウさんがハガキの中の「ぼうし」から帽子屋さんじゃないかと推理しました。
そしてみんなで帽子屋さんへ・・・その次は牛乳屋さんへ、そしてケーキ屋さんへと、ハガキから思いつく先へ、みんなついて行きます。最後は本当の宛先だったまあやさんの家へ行く事が出来まえて、よかったなー♬嬉しい結末となりました。
ここで面白いのは、力を貸してくれた(一緒に考えてくれた動物達)が次々増えながら次の場所までついて行き、結局まあやさんの家に着いた時には動物が9匹になってたところです。
みんなお節介なのか、宛先が誰なのか正解が気になったのか・・・。でも確かなことは、みんながついてきてくれたお陰で、最後までクマさんは諦めずに探すことが出来ました。1人で探すより、みんなが側にいて一緒に考えてくれるだけで、元気や勇気が湧いてくるものです★とても素敵な住人達だなと思いました。
濡れたハガキが本書の途中に実物がついています。本書のラストシーンには濡れる前にリーちゃんが描いた本当のハガキもついています!
このようなタイプのしかけはあまり見かけないので、とても面白いなと思いました。ハガキが本物とほぼ同じサイズで本書の中の1ページとして挟まっている(付いている)のですが、手書き風な所が、一生懸命りーちゃんが書いたのだろうなと想像を膨らませてくれます。これはぜひちゃんと届けてあげなくちゃ!と思ったクマさんの気持ちも分かる気がします。とっても可愛らしく気持ちを込めてりーちゃんが書いてるのが伝わってくるんです。
そして、濡れて見えなくなった部分を自分なりに推理して、宛先を一緒に考えることが出来る面白さもあります。ぜひこのハガキの実物をチェックして頂きたいです!
そして、ラストには濡れる前のハガキが付いているのです!
「なんて書いてくれたの?」とりーちゃんにまあやさんは聞くのですが、りーちゃんは濡れたハガキを見せながら、「こう書いたんだよ」と口頭で伝えています。
濡れる前のハガキを見れるのは読者という事です。なんと書いてあったかは、本書を読んでからのお楽しみ♬
ヒントは、まあやさんがりーちゃんを最後ぎゅうっと抱きしめた事ですかね★
郵便を届ける仕事ってとっても素敵なお仕事だなとしみじみ感じた作品でした。笑顔や幸せまで届けてくれるのですから★
- 作品名:まいごのてがみ
- 著者名:作 石井睦美 (集英社文芸ステーション インタビュー) 絵 平岡瞳
- 出版社:世界文化社