まくらのせんにん さんぽみちの巻

ユーチューブ動画で保育士書店員が詳しく解説しています

お布団の温かさに癒されたい時にピッタリ!寂しくて寒さでこまっている者をお助けします。

☆3つのおすすめポイント

  1. まくら仙人とかけさん(掛布団)しきさん(敷布団)が、寒さで困っているものをお助けする物語。そのお助け方法は、『包んで温めてあげること』なのです。
  2. まくら仙人が歩いたり走ったりする音がコミカルです。そしてゆっくりドンッと構えている時もあれば、必死に逃げる素早い時もある。そんな色んなまくら仙人のギャップを楽しめる絵本。
  3. 水戸黄門のようにも見えてくる3人です。登場人物の解説が表紙の内側のページに詳しく載っています。さらに面白さが倍増していくことでしょう。

☆あらすじ

まくらの仙人がパフパフモフモフとおいしそうにマシュマロを食べてきます。

「お土産にもらったマシュマロ、気に入ったみたいですね。」『う、上手い!この世にこんなに美味しい物があったなんて!おかわりある?」ちょっと食べすぎてしまったまくら仙人は、しきさん・かけさんが左右から引っ張ると、体がぶにょーんとマシュマロみたいに伸びています。

「体を動かしに行きましょう!」最初は渋ったまくら仙人でしたが出掛けることにしました。

てーろ てーろ てーろ てーろ。『待ってー!一休みしよう!おやつ食べよう!』とまくら仙人。「まだ歩き始めたばかりですよ。」とかけさん困り顔。

道中、ぶるぶると震える年老いた木を見つけました。枯れてしまって寒いそうな。ガタガタガタガタと震える木を、『それはお困りだ。それびろーーーん‼』しきさん・かせさんは体を大きく伸ばし、しきさんは敷布団になって、かけさんは掛布団となって木を包み込みました。まくら仙人は木の首元にすっと入って枕になりました。「あったか~い」

すると、年老いた木の枝に一凛の大きな花が咲きました。『きれいじゃ!大事にな!おたっしゃで!』

てく てく てく てく。道中を進んでいくとシクシクと泣く卵を見つけました。親から離れて卵からかえれないと言っています。『それはお困りだ。しきさん、かけさん』

すると、しきさん・かけさんは卵を敷布団・掛布団になって包み、ふんわかぬくぬくのぬっくぬくーにしてあげました。すると・・・。

パカッ ガオ~ガオガオガオ~!!『わおー恐竜の卵でしたか!おたっしゃでー』スタコラサッサーーー 全速力で逃げるまくらせんにん。「せんにん様、すばやーい!」

驚いて逃げた3人は、さらに道中を進みました。『おっ!しきさん、かけさん、毛の生えたまマシュマロが列を作ってうまっている。』「せんにん様、これは大根畑です。」

その大根達は頭の葉っぱが白い顔にワカメのように垂れ下がっています。霜にやられて元気が出ないようそうです。『それはお困りだ。でも、ちょっとこいつは広いなあ。』しきさん・かけさんも一緒に。

『それ、びろ~~~ん』しきさん・まくらせんにん・かけさんが並んで畑いっぱいに伸び広がりました。すると生き返ったように大根の葉は生き生きと太陽に向かって伸びニッコニコになりました。

『しきさん・かけさん。マシュマロを買って帰りましょう!』「はいはい。」

帰った3人は、山盛りのマシュマロを食べました。パフパフモフモフ おいしー!

まくらのせんにん さんぽみちの巻 表紙

☆際立った特徴

まくら仙人(枕)とかけさん(掛布団)しきさん(敷布団)が、寒さで困っている人をお助けする物語。布団に包まれた時の幸福感を想像してください。そんな幸福感で、寒さに震え困っているものたちを温めて、包み込んで元気づける、人情話です。

体だけでなく寂しく思っている心まで温めるような、あったか布団の優しさと、まくら仙人・かけさん・しきさんの心の温かさを、ほのぼのと描いた絵本です。

☆書店員の感想

寒さで困っているものをお助けする方法は、『包んで温めてあげること』なのです。

最初に登場した年老いた木。それまでは元気に葉を生い茂らせ、冷たい風が吹いても木の皮も厚く寒くは無かったのでしょうね。しかし、年を取ってしまった木は、葉を生み出す力が無いようです。木の皮もしわが入って寒そうに見えてきます。しきさん・かけさん・まくら仙人が温めることで、ほっぺも赤く染まりました。そして体と心がホカホカに温まったようです。

次に登場するのが親と離れてしまった卵です。温めてもらえない卵はふ化することが出来ません。赤ちゃんがパパとママと離れてしまったと言う事ですね。きっと寂しさでいっぱいだったと思います。そんな卵も3人が温めます。パパとママの代わりに愛情を込めて温めたのかもしれません。たっぷり温かさと愛情をもらった卵は恐竜にふ化します。わぁ!ビックリ!!踏みつけられちゃう…笑

最後に登場したのが大根畑の大根達。畑一面の大根達がワカメを頭から垂らしているような強烈なインパクトですが、よく見ると「このままじゃ美味しい大根に育たないよ。悲しいよ」という顔です。どうにか温めてあげたいと思った3人は、協力して巨大な一枚の布団となり、掛布団となって温めるのです。大根の根はもともと土に温められているので、土と協力して温めたといった方がいいのかもしれませんね。おかげでシャキ!シャキ!と1本1本がみずみずしく元気に復活しました。

まくら仙人が歩いたり走ったりする音がコミカルです。

マシュマロにはまったまくら仙人は出掛ける前に食べすぎたせいか、”てーろ てーろ”と歩いています。なんてまぬけ感のある音でしょうか。しかし、歩いていくうちに段々消化されていったのか、歩く音が変わっていきます。卵が恐竜にふ化した時の猛ダッシュはしきさん・かけさんより前を走っています。すごいスピードが出ているようです。スタコラサッサーーーなのでした。

水戸黄門のようにも見えてくる3人です。登場人物の解説が表紙の内側のページに詳しく載っています。さらに面白さが倍増していくことでしょう。

キャラクター設定がしっかりと出来ている本書。まくら仙人・かけさん・しきさんの解説ページが表紙の内側に載っています。性格だけでなく、どうしてかけさん・しきさんはまくら仙人と一緒にいるのか、どう思っているのかが書かれています。ここを読むとさらに面白く感じてくるのではないでしょうか。

ちなみに、まくら仙人。かけさん・しきさん以外にも沢山の弟子を持っているそうですよ。

まくらのせんにん さんぽみちの巻 裏表紙
よっぴー
  • よっぴー
  • 書店員のよっぴーです。2人の男の子と、1人の女の子の母として、毎日育児奮闘中です。
    私は自分の子どもに沢山の愛情を子どもが嫌がる時が来るまで、沢山沢山注ごう。心をもしコップに例えるなら、そのコップが溢れて「もう大丈夫だよ!」となるまで続けようと思っています。それだけは大事にしている信念です。
    絵本を読むのもその一つです。
    大切にしている愛情を伝える方法の1つだと思っています。

    保育士・幼稚園教諭二種・介護福祉士です。
    他に、ベビーシッター・ベビーマッサージ・ベビー’sサインなどの資格も持っています。
    絵本の感想とともに私の育児経験、保育士・幼稚園教諭免許を持つ書店員としてのアドバイスなどをご紹介出来たらと思っています。