みんなの くまくまパン
『くまくまパン』のしろくまさんとくまさんが作る美味しくてユニークで楽しいパンはいかがですか?パンが大好きな子にオススメ☆あなたはどんなパンが食べたい?
☆3つのおすすめポイント
- くまさんとしろくまさんはパン屋さん。美味しいパンを焼いています。ある日カバの王様がやってきて、お城でパンを焼いて欲しいと言われ、日曜日に出掛けました。どんなパンがいいのかな?王様にはどうやら悩みがあるようです。
- 元気のないカバの王子の為に王様もパン作りを一生懸命手伝います。出来上がったパンを食べてもらいたいけど、王子は気がのりません。何か理由があるのかな?
- 窓から見ていた動物達も中に入って、食べたいパンを作ってもらいました。そして、みんなで出来上がったパンを見て喜びます。そして王子が本音を話し始めました。前からお父さんに話したいことがあったようですよ。
☆際立った特徴
あま~いパンが得意なくまさん。しょっぱいパンが得意なしろくまさん。おさななじみの2人がおいしいパンを焼きます。
西村敏雄さんの人気絵本『くまくまパン』の続編です。
彼らはパン屋さんをしています。ある日動物の国の王様がお店にやってきて、お城に来て欲しいと言います。最近元気がない息子の王子の為に。息子を想う気持ちは大きいけど、当の王子は自分が特別扱いされることが嫌なようです。さあ、王様は王子の気持ちに気が付いていません。どう伝えようかな。
くまさんとしろくまさんは、お城で美味しいパンを作りますよ。
参考文献)KUMONがうた・読み聞かせを応援【ミーテ】 西村敏雄さんインタビュー「絵本も子育てもユーモアを大切に」
☆あらすじと書店員の感想
くまさんとしろくまさんはパン屋さん。美味しいパンを焼いています。ある日カバの王様がやってきて、お城でパンを焼いて欲しいと言われ、日曜日に出掛けました。どんなパンがいいのかな?王様にはどうやら悩みがあるようです。
急に街のパン屋さんに、その国の王様がお供を連れてやってきたら・・・ビックリしますね!しかも王様ですから、パンを食べたければお手伝いさんにお願いすればきっと買ってきてくれるし、もしかするとお城で作ってくれるかもしれません。しかし、今回は王様が自らパン屋へ行き、「今度お城へ来てパンを作って欲しい!」とお願いしました。
くまさんとしろくまさんの開いている『くまくまパン』は、街でも人気のパン屋さんで、お客さんが沢山来るお店だそうです。もしかして、そんな噂を王様は聞いたのかもしれませんね。
そして、日曜日に支度をしてお店に向かう2人です。どんなパンを作ればいいかなぁ?どんなパンがお好きなのかなあ?と色々と考えて行ったのしょうね。
お城へ着いて中へ案内されると、王様が出迎えてくれました。そこで、王様は初めて悩みをうち明けました。王様の大事な大事な息子『王子』が、この頃機嫌が悪いため、特別なパンを作って喜ばせてあげたいんだ!と。
さあ、どんなパンを作れば喜ぶのかな?くまさんとしろくまさんは相談して作り始めましたよ。
元気のないカバの王子の為に王様もパン作りを一生懸命手伝います。出来上がったパンを食べてもらいたいけど、王子は気がのりません。何か理由があるのかな?
そこに、王様もエプロンを付けて手伝いに来ました。一国の王様がパン作りなんて!?と思わないで下さいね。大事な大事な息子の為に王様は自分の手で何かしてあげたかったのです。そして、パン作りを手伝い始めた王様は、パン作りの楽しさに気が付きます。えんやこーら!と掛け声を出しながら、「おいしくなーれ、おいしくなーれ」と願いを込めて生地をこねます。そして出来上がった大きなクリームパンと長いソーセージパン。いくら王子が最近機嫌が悪くても、美味しいパンの香りに、きっとお腹が空いて食べてくれるかな?と3人は期待して王子が来るのを待っています。
そんな時、王子よりも先に匂いを嗅ぎつけたのはタヌキでした。窓の外から「おいしそうだなー」と覗いています。せっかく王子に作ったのだから、タヌキにはあげられません。王様は王子に食べて欲しいのです。
そこへ、王子がやってきました。気が乗らないような不機嫌な表情です。いくら美味しそうな香りがしても、見た目が美味しそうでも、食欲が湧かないようです。全く喜ばない王子に、王様は困ってしまいました・・・。
窓から見ていた動物達も中に入って、食べたいパンを作ってもらいました。そして、みんなで出来上がったパンを見て喜びます。そして王子が本音を話し始めました。前からお父さんに話したかった事とは。
そんな時、窓の外から賑やかな声が聞こえてきました。『パンパンパン 食べたいなー♩パンパン食べたい。たべたいなー♩』それを聞いた王子は王様に「みんなを入れてあげて」と頼みます。最初は嫌がった王様でしたが、くまさんとしろくまさんにも言われ、仕方なく入れてあげました。王子と並んで動物達が椅子に座りました。僕はメガネのドーナツが食べたい!私はハートのサンドイッチ!とみんながくまさんとしろくまさんにリクエストします。そして、王子も「ぼく・・・ロボットのチョコパン!」と一緒になってリクエストしました。
いいね!いいね!それ、いいね!!みんなのリクエスト、とてもユニークで美味しそう☆そして王子と動物達は楽しく出来上がりを待ちます。あんこのメガネパンにロボットのチョコクリームパン。家の形のカレーパンや、花の形のマーマレードパンやソーセージロケットパン・・・くまさんとしろくまさんは、みんなが考えた楽しいパンを作りました。
出来上がったパンを見てみんなは大喜び。王様も王子も動物達も心も体もハッピーな気持ちになりました。そして、王子は今まで王様に隠していた、我慢していた思いを話し始めました。
「僕、自分だけ特別は嫌なんだ。パンも、みんなで食べた方がもっと美味しいでしょ?」と。
王子は今までどこか孤独で、特別扱いされるのがとても辛かったのですね。一人ぼっちでお城の部屋にいる事すら、きっと寂しかったのでしょう。特別な存在だからと、いつも言われていると、きっと息が詰まってしまいますね。それにもっと外の世界に飛び出してみたい。誰か友達と遊んでみたい。食事を一緒にしたいと、願っていたかもしれません。
そんな気持ちを今まで我慢していた王子は、今回をきっかけにお父さんである王様にみんなの力とタイミングをもらって、思っている事を話すことが出来ました。王子は、とても勇気がありますね!王様と王子の関係じゃなくても、子どもが大人に気持ちを話すことは、とても勇気がいる事です。
一国の王子ですから、誰よりも大事に育てられたのでしょう。でも、カバの王子は大事にされればされるほど、相手に悪くて素直に言えない・・・という子ども心が見えました。みんなと一緒がイイ!と言えるなんて、国のみんなの事をしっかり考えられるとっても優しい王子に育っているんだと感じますね。
そして、王様は王子の気持ちをしっかり受け止めました。「なるほど、ほんとだね。」素敵な親子ですね。互いを尊重しています。きっとこれからもっと素敵な親子になるでしょうし、この国を大切に想う素敵な王様・王子・国になることでしょう♩
今回くまさんとしろくまさん二人が作ったユニークで楽しい美味しいパンが、王様と王子の悩みを解決しちゃいましたね。
大人気のくまのパン屋。あなたはどんなパンが食べたいかな?
- 作品名:みんなの くまくまパン
- 著者名:西村敏雄 (インタビュー)
- 出版社:あかね書房